「上司が嫌い」で転職ってアリ? 見限ってOKな“会社を滅ぼすダメ上司”3つの特徴【連載:転職サプリ】
これまでのカウンセリング件数は2万件以上! 女性に大人気のキャリアカウンセラー水野順子さんへの連載取材で、長く働き続けたい女性に役立つ転職・キャリアの情報を発信していきます。初めての転職活動に役立つノウハウも盛りだくさん! 長期的な視点で今後のシゴト人生を考える上でも参考にしてくださいね。
転職を考え始めたきっかけは、職場の人間関係……。
そんな女性は多いのではないだろうか。実際、『女の転職@type』の会員アンケートでも、転職理由に職場の人間関係を挙げる人は少なくない。特に、勤め先の上司や経営者への不満を募らせて「転職」に踏み出すパターンが圧倒的多数となっている。
しかし、どんな職場であっても、複数の人が一緒に働く以上は人間関係の問題はついてまわる。単純に、上司や経営者など目上の人との性格が合わない、考え方の不一致がある、などの理由から転職を決めてしまってもいいものだろうか。
上司が大嫌い!
→感情的な転職はNGだけど、自らの身に表れる「危険信号」に目を向けて

キャリアカウンセラーの水野順子さんは、感情的に転職を決めることはオススメしないとしつつ、「人間関係のストレスが精神面や肉体面で支障をきたしている、あるいはきたしそうだという“予兆”がある場合には、転職を考えてみてほしい」と話す。
一方で、根が真面目で頑張り屋な女性たちの中には、自らの身に表れる危険信号のサインをつい見落としがちだ。もっと自分が頑張るべきなのでは? 体調が悪いのは自分が弱いからなのでは? と忍耐力のなさを責めてしまう人もいる。
だが、自分の健康を守れるのは、まずは自分。ストレスの元が明確なのであれば、すぱっとそれを断つ勇気も大切だ。
水野さんは「トラブル時に責任を部下になすりつける上司」、「感情的でコロコロ方針が変わる上司」、「部下をけなすだけの上司」ばかりがいる職場なら、成長の妨げになるばかりか精神面でもかなりの負担になるため、すぐに別れを告げてもいいのではないかと語る。
「上司とは、本来部下にとって『頼りになる』存在であるべき立場の人です。トラブルで逃げ出したり、問題を部下のせいにしたり、根拠なく感情的に方針を変更したりするのは上司にあるまじき行為です。また、後輩の育成もまともにできないような人物ばかりがマネジャーについているなら、その会社の未来自体怪しいですね」(水野さん)
問題上司の価値観や行動を誰かが変えるには相当の苦労がいる。自分のマインドセットを変えてみる、思い切って転職をしてみる、他人を変えるより自分を変える方が簡単だろう。
経営方針に不満!
→「社内の憶測」に振り回されず、自分で事の真意を確かめよう
また、中小企業などで経営者との距離が近く働いている人の場合は、上司のほかに、経営者の考え方や経営方針に不満や疑問を抱くこともある。
だが、この場合は「社内の噂」や「憶測」に自分が振り回されてしまっていないか、冷静に考えてみてほしいと水野さんは注意を促す。
「企業の経営者に対しては、さまざまな噂が立つものですが、実際に本人の口から考えを聞いてみたら全く印象が違うこともよくあります。経営判断に対して『なぜ』という気持ちがある場合、企業規模によって状況はかなり異なるものの、上司や経営者本人に自ら説明を求めてみてもよいでしょう。思い込みだけで判断するのはリスキーです」
一方、給与の未払いや遅延など、お金に関わることでトラブルがある場合や、労働環境を改善する意識のない経営者は「すぐに見限ってOK」と水野さん。
「社員を労働力としてしか見ておらず、自社の社員を大事にしようとする意思のない経営者」や、「好き嫌いだけで社員を評価する経営者」、「大風呂敷を広げて言うことだけは大きいが、実現しない経営者」などは特に信頼がおけないという。
「会社は“利益を上げる”ことが最終ゴールの組織です。それゆえに、社員はそのための『労働力』であることは確かです。ただ、そうはいっても社員を大事にできない経営者の下に、まともな人材は育ちません。
そういう環境では、経営だっていつかは行き詰ってしまいます。また、経営者も人なので、好き嫌いはあって当然。しかし、それを前面に出して気に入らない人を排除しているようなら、会社の多様性を欠き、優秀な人材にこそ見放されることになりますね。
有言実行できない経営者も、組織をリードする者としては不適切。会社全体の士気を下げる存在になりがちです」(水野さん)
黙って諦めるより、まずは声を上げて現状改善の道も探ろう

ここで一点注意しておきたいのは、自分が抱えている不満や不安、上司や経営者との考え方の相違をちゃんと本人に伝えておくことだ。立場が違えば物の見方や考え方が違って当然で、話し合った結果折り合いがつくこともある。
会社を辞めるのは、今のご時勢決して難しいことではない。20~30代世代にとって転職はもはや当たり前のものだし、長く働いてくれる女性を採用したい企業の求人だって山ほどある。
辞めるのは簡単だからこそ、本当にそれが正しいのか、今の会社に「残る」という選択肢が自分にとってより良い決断になることはないか、声を上げ、対話を挟んだ上で判断してみてほしい。
結果的に転職することを選んだとしても、後悔せずに新しい職場に向えるだろう。
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【お話を伺った方】
キャリアカウンセラー
水野順子さん
株式会社キャリアコレクション代表取締役、All About女性の転職ガイド。公務員・外資系大手人材サービス会社を経て独立。キャリアカウンセリングや研修・講演を通じ、メンタルケアや人間関係の築き方などを含めた女性のキャリア支援を行っている。過去に20,000人以上へのキャリアカウンセリングと、60,000人以上への講演・研修によるキャリア支援実績がある
■ホームページhttp://www.mizunojunko.com
取材・文/栗原千明(編集部)
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