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FEB/2018

「産休・育休が怖い」――仕事に没頭してきた女性が出産で得たこと・捨てたこと【村上萌×亀恭子】

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仕事は大好き。やりがいも充足感も感じている。
だけど、いつかは子どもも欲しい。
産休、育休で長い期間休んだら、その後自分の居場所はあるのだろうか。
キャリアはどうなるのだろうか。
そんな不安を抱えている女性は多いのではないだろうか。

認定NPO法人フローレンスとFASHION CHARITY PROJECT主催のチャリティーイベント『the Gift』(2018年1月27日開催)において、「女性へのGIFT」と題したトークセッションに登壇した人気スタイリストの亀恭子さんとライフスタイルプロデューサーの村上萌さんも、出産に際して感じた不安を語った。

村上萌 亀恭子
写真左:
ライフスタイルプロデューサー
村上萌さん

メディアブランドNEXTWEEKEND代表。「おてんばな野心を、次の週末に叶える」のコンセプトのもと、季節の楽しみと小さな工夫を提案。ウェブサイト『NEXTWEEKEND』の運営を始め、連動した雑誌『NEXTWEEKEND』の刊行(年2回)や週末イベント、ECストアの運営、その他空間や商品などのプロデュースを手掛ける。著書に『カスタマイズ・エブリデイ』(マガジンハウス)、雑誌『NEXTWEEKEND』(世界文化社)、『週末野心手帳』(ディスカヴァー21)など
instagram:moemurakami_ Twitter:@moemurakami_

写真右:
スタイリスト
亀恭子さん

約3年間のOL生活を経て、2001年女性ファッション誌『Can Cam』からスタイリストとしてデビュー。ベーシックなスタイルにトレンドを上手に効かせた女性らしいスタイリングで、同世代女性の圧倒的支持を集める。トークショー、テレビ、広告出演やラジオなど幅広く活躍中。最近では、フライドポテト&手作りジンジャエール専門店『BROOKLYN RIBBON FRIES』の共同経営するなど活動の幅を広げている。
オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/kame-kyoko/

20代を“仕事”に没頭して過ごしてきた二人。産休、育休で長く「休む」ことへの不安、子育てと仕事の両立への迷いをどう乗り越えてきたのか、対談の様子を一部ご紹介しよう。

ずっと休まずに仕事をしてきたから、産育休への不安は大きかった

司会:村上さんは昨年8月にご出産されたんですよね。産休はどういうタイミングで取りましたか?

村上萌さん(以下、村上):私は変わったライフスタイルを送っていて、オフィスは外苑前ですが、住まいは札幌です。東京と札幌を行き来しながら月に10日間ぐらいは東京で仕事をしていましたが、出産1カ月前からは東京の実家で生活し、毎日会社に通っていました。経過が順調だったので、産休に入ったのは出産のだいたい2週間前です。

司会:ぎりぎりまでお仕事をしていたんですね。大変だったことはありますか?

村上萌 亀恭子

村上:仕事をセーブすることはあったし、周りの皆が気を使ってくれるのが申し訳ないという気持ちもあって、それが大変と言えば大変でした。でもどこかで割り切ってもいたんですよね。育休に入って初めて1日パソコンを触らない日があったんですけど、これまでずっと休まずに仕事をしてきたからそんな時間はなかなかなくて。だからもう「この時を存分に楽しもう」と開き直って、これまでやりたかったことに向き合う時間にしていきました。子供用の袋に刺繍で名前を入れてみようとか、憧れていたママ像を固められるいいチャンスにもなりましたね。

司会:フリーランスで活躍される亀さんはどのように産休を取りましたか?

亀恭子さん(以下、亀):私はスタイリストの仕事を始めて15年目ぐらいで妊娠したので、働いている状態に慣れてしまっていたんですよね。それにスタイリストの仕事は同業他者が多くて新陳代謝が激しい。だから、妊娠が分かった時は喜びとともに、休むことへの不安がどっと押し寄せてきた。

司会:亀さんのように業界で地位を確立していらっしゃるスタイリストさんでも、やはり不安なんですね。

村上萌 亀恭子

亀:個人差はあれ、フリーランスでも企業で働いている方でも、休むことへの不安は皆さんあるだろうなと思います。結局私の場合はお医者さんから動くように言われたこともあって、出産の1週間前まで展示会を回ったりプレスに顔を出したり。出産後も仕事と子育ての両立がどこまでできるか分からなかったから早めに復帰して、出産2カ月後には打ち合わせに参加していました。でも半年後に高熱で倒れてしまって、無理していたんだなって反省しました……。しっかり休めばよかったですね。

村上:本格復帰ではないですが、私も産後3週間で仕事の撮影現場に参加しました。考えていたより元気だと思ったんですけど、今まで通りにやろうとしても、体が変わっていて動かない。出産から6カ月経った今でも、走るとちょっと体に痛みがある。出産が母体に与える影響って思っている以上に大きいし、回復に時間が掛かることを実感していて、「前と同じ」と思わず仕事を詰め込み過ぎないことも大事だと感じています。

これまでと同じように仕事はできない。でも確実に見える景色は変わっている

司会:育休中の過ごし方についてはいかがでしたか?

村上:気持ちの面では焦ることもありました。SNSで他の人がバリバリ働いている姿なんかが目に入ると、気持ちがざわざわして。これまでと同じように仕事ができないことで社員にも負担をかけていましたし。でも、確実に見える景色は変わっていました。出産前とは全く違うひらめきやアイデア、新しく気づけるようになった人の気持ち……、確実に自分の世界は広がっていた。できるようになったことに目を向けて、違う景色を楽しもうと思ったら、気持ちも落ち着いて焦りも緩和されました。

例えば、私は雑誌で「週末の楽しみ」を読者に提案しているんですけど、散々仕事でピクニックなんかをやっているから、大きな声では言えないですが、普段の生活ではちょっと控えめになってしまうこともあって(笑)。でも、子供ができたら仕事でやってきたことも新鮮な気持ちで楽しめるようになりました。

亀:私は子供ができてから、TPO がより明確になった感じがしますね。前は素敵なレストランに仕事帰りのTシャツ・スニーカーで行っちゃうタイプだったんですよ。こういう仕事をしておいて何なんですけど(笑)。でも今は子供といる時は危ないからヒールは履けないとか、時計は外しておこうとか、TPOを気にしなければいけない状況に置かれたことが良い方向に作用しました。自分が経験したことなので、仕事でも自信を持って提案できます。

子供ができても、仕事が楽しいのは変わらない

司会:復帰してから何か工夫していることはありますか?

村上萌 亀恭子

村上:前は札幌と東京を移動する飛行機の中でアイデアを考えていて、「移動時間こそクリエイティブ!」なんて言っていたんですよ。でも子供がいると移動時間は耐えるときでしかなくて。周りにも気を使いますし、パソコンどころか携帯すら見られない。だから今は移動の日は他に予定を入れないとか、ゆとりを持つようになりました。それに今は、子ども中心の生活だから、全然予定通りにいくことがありません(笑)。だから、新年の書き初めは「今」にしました。大事なことを後回しにすると余計大変になるので、やるべきことは「今すぐやる」というのをすごく意識しています。隙間時間で小刻みにやるとあまり時間がかからないというのは、この6カ月の子育て生活で得た学び。

亀:すごく共感します。2歳半の息子を保育園にお迎えに行く時間が18時だとしたら、必ず遅れずに行かないといけないんですよね。タイムリミットがある。それに子供を連れて家に帰ったら仕事はなかなかできないから、1日の時間割、1週間の時間割を立てる感じで、逆算してタイムスケジュールを考えるようになりました。前はそんなことできなかったけど(笑)。時間を有効に使わざるを得なくなって、やることのスピードが上がりました。あとは理解して協力してくれる人たちに甘えまくること。甘え上手になるのも大事なのかなと思います。

司会:お二人はもともと「子供が欲しい」という気持ちはあったのでしょうか?

亀:いつか我が子が見られたらいいなって夢はありましたよ。でも、私も20代後半から30代前半にかけてはひたすら仕事をして、その後は友達とご飯に行く毎日を繰り返していた。それがすごく楽しかったけど、出産には現実問題タイムリミットだってあるし、迷いもありました。

私はもうすぐ40歳になるんですけど、美容なんかも含めていろいろ見直して、人生の後半に向けてライフスタイルを整えた方がいい歳になってきた。若いうちは仕事第一でもいいけど……ちょっとだけ長く生きている先輩としては、少し今後のことを考えてもいいのかなと思います。でも、今も仕事は相変わらず楽しいですよ。


村上:
私も結婚して約6年は子供がいなくて、仕事ばかりしていました。でもそれを楽しみ尽くしたからこそ、バランスよく切り替えができたのかもって思います。計画を立てるのは難しいですけど、「もっとやっとけばよかった」って思いながら子育てをするのはつらいし、無理に仕事を詰め過ぎても「あのかわいい時期にもっと一緒にいればよかった」って10年後に後悔するかもしれない。だから今は、与えられた自分の環境を素直に楽しむのが一番なんじゃないかなと思っています。

取材・文・撮影/天野夏海

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