02 MAY/2013

意外に多い事務から営業への転身! ファッション、人材サービス、インターネット業界に人気集まる

営業職の女性が「仕事がハード過ぎて・・・」などの理由で、事務職へのキャリアチェンジを望むというのは比較的よく聞く話だ。

反対に、事務職の女性が営業職への転身を希望するケースはというと、大半の人がおそらく少ないと思うのではないだろうか。が、実は意外と珍しくない。

女性のための転職サイト『女の転職@type』上で、2013年1月~3月の間に、事務職経験者が応募している求人内容を調査したところ、最も多かったのは当然ながら事務職求人への応募。約7割が、同じ事務職への転職を希望している。

しかし、その次に多いのが、実は営業・販売系の求人への応募なのだ。全体の2割以上が、事務職を卒業し、営業系職種へのチャレンジに臨んでいる。
事務職求人は、経験者だけでなく、冒頭で述べたように営業職などのほかの職種経験者からも転身を望まれることが多い、いわゆる人気求人。

同転職サイトでは、大手企業の事務職求人であれば、1週間で数百件もの応募が殺到することもままあるという。

その人気求人に最も受かる可能性が高いはずの事務職経験者たちが、あえて営業・販売職への転身を目指すのには、どんな理由があるのだろうか。

ファッション、人材サービス、インターネット系の営業職が人気

営業職の転職事情に詳しい『typeの人材紹介』のキャリアアドバイザー・伊藤泰子さんによると「事務職は経験を積んでも大幅な年収アップが難しい職種です。また、比較的社内でのルーチン作業が多いこともあって、長く続けていると成長実感を得にくくなり、自身のキャリアに不安を感じ始める人もいます。人とコミュニケーションを取るのが得意、将来的に年収アップしたいという志向の持ち主には、頑張れば頑張っただけきちんと評価してもらえる営業系の職種を望む人も決して珍しくないんですよ」

では、どんな業界の営業職への転職が人気なのだろう?

事務職経験者の営業・販売職求人への応募数を業界別に集計し、応募総数に対する割合を算出。その結果をランキングした。最も応募数を集めたのは、ファッション・ジュエリー業界の営業・販売職求人となった。(『女の転職@type』2013年1月~3月データ)

事務職経験者の営業・販売職求人への応募数を業界別に集計し、応募総数に対する割合を算出。その結果をランキングした。最も応募数を集めたのは、ファッション・ジュエリー業界の営業・販売職求人となった。(『女の転職@type』2013年1月~3月データ)

上記は『女の転職@type』上で、事務職経験者がどんな業界の営業・販売系職種に応募しているのかをランキングしたもの。上位を占めるファッション系の販売職や、人材サービス、IT系の営業職は、募集人数が多く、未経験者も積極採用している業界の代表格だ。

「若い世代にとってインターネットは親しみ深い存在。SNSやブログ、ゲームなど日々自分が使っているものなので楽しそう、とインターネット業界に対しては未経験でもハードルを高く感じることなく、チャレンジする人が多いようです。それに最近は女性向けの恋愛ゲームなどもたくさん出てきています。それらを身近に感じるのか、男性イメージの強いゲーム業界も女性に人気ですよ。また、人材業界は仕事に対する意欲や人柄重視の採用を行う企業も多いので、女性にとってはチャレンジしやすい業界の一つといえますね」(伊藤さん)

人事や広報などの人気職種への道を拓く選択肢

事務者から営業職へのキャリアチェンジは、今までの経験が全く評価されずハードルが高いかと思いきや、実際はそうでもないようだ。

「例えば、事務職で企画書や提案資料を制作していたならば、それらの制作スキルやパソコンスキルを評価されますし、営業目標の進捗管理やプロセス設計などを行っていれば、それも営業職で活かせるスキルや経験と見なされるケースは多いですね」(伊藤さん)

そのほかにも、他部署との調整を行って仕事を進めていれば、“人を動かす力”として評価されることもあるという。事務職時代に培ったスキルや経験は充分に武器になり得る。

また、未経験から人事や広報などの人気職種に就きたいと考えている人にとっては、「営業職への転職」をステップの一つとして取り入れると、実現可能性が高まると伊藤さんは話す。

「ダイレクトに未経験から人事や広報などの職種に転職するのは、現実的にかなり難しいです。そもそも求人案件数自体も少ないですし、やはり経験者の方が採用確率は圧倒的に高くなります。しかし例えば、人事や広報相手に仕事をする営業職を経験すれば、その仕事内容について知識を蓄えることができる。全く何も知識がないよりも、転職時にはアピールポイントになり得ます。また、特定の企業や業界の人事・広報を狙っているのであれば、その企業・業界にまず営業職として入り、そこから社内異動や業界知識を活かしての転職を目指すという選択肢も出てきます」(伊藤さん)

比較的、採用の門戸が広いといえる営業職への転職。ステップアップを狙う女性にとっては、一つの有効なキャリア選択といえそうだ。

取材・文/岩河内 弘美(編集部)