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FEB/2012

社員3名、月給5万円からスタートしたクックパッドでの9年間―小竹貴子さん×藤井佐和子さん対談企画

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藤井佐和子 キャリア
藤井佐和子 キャリア

「ありがとう」と言われるもの作りを目指し
月給5万円でクックパッドの立ち上げに参加

藤井:小竹さんがクックパッドに入社されたのは2004年ですよね。ということは、創業メンバーですか?

小竹:創業は1997年で、私が入ったのは2004年です。当時は社長も含めて3人でやっていました。

藤井:クックパッドに入られたきっかけは?

小竹:親友がアルバイトでお手伝いしていたのですが、「いいサイトがあるから、社長と会ってみない」と言われて。社長に会ってみたら、実はそこがリクルーティングの場だった(笑)。当時はWebディレクションの仕事をしていたのですが、どこか違和感があったんです。広告の仕事でメーカーなどのキャンペーンサイトを創っていましたが、どんなにかっこいいサイトを創っても、たった2週間で壊してしまう。作っては壊すようなもの作りを、私はひたすらやり続けるのかな、と。ユーザーからのフィードバックも全然なくて、あったとしてもクライアントから、「キャンペーンの応募が1万件ありました」という程度。もう少し「ありがとう」と感謝されるようなもの作りをしてみたい――漠然とそんなことを思っていたときに、佐野に出会ったんです。

藤井:クックパッドの佐野陽光社長ですね。

小竹:そのとき、佐野がこう言ったんです、「ユーザーと広告主をWIN-WINにできる広告を作りたいんだよね」って。「料理の献立を決めるユーザーにとっては、今は広告は邪魔者でしかないように思う。広告を悪にしないためには、どうしたらいいんだろう」。話をするうちに、どんな課題を抱えているかが分かり、「手伝ってほしい」と佐野に言われたんです。

藤井:それが入社のきっかけですね。

小竹:ただ、当時のクックパッドは、オフィスもなければ売上もないような状況でした。お金がないので給料は5万円(笑)。それで、クックパッドの広告事業を一緒に考えながら、フリーランスでホームページ制作を請け負う仕事も行っていました。いくつか広告メニューを作ったりしましたが、効率的に広告をどう売ったらいいか分からないので、まずはありがちなテレアポばかりしていました。

藤井:テレアポやったんですか。すごーい!

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小竹:ユーザーと広告主がWIN-WINになる広告を作ろうと考え、ユーザーからレシピの投稿を募ってレシピコンテストを企画し、スポンサーを募りました。広告主とユーザーが近い距離にある商品を持っているサービスは他になかったので、「これは売れるのではないか」という手応えがありました。ただ、私もディレクター出身なので、営業のやり方がよく分からない。そんな時に、ひょんなことから営業の経験のある、私は“天才”だと思っている、森下(森下満成執行役・広告事業部長 2011年8月退任)に出会いました。信じられる、心強い仲間に出会ったことで、自分がもともとやりたかった商品作りに専念できるようになりました。

藤井:大変そうだけど、どんどん手応えが出てくる感じですね。事業が安定軌道に乗ったのは、いつ頃ですか。

小竹:2006年ぐらいでしょうか。クックパッドプレミアムサービス(現・会員事業)も軌道にのり始め、法人事業と会員事業の二本柱がしっかり見えてきた頃。事業が安定していない頃は、ユーザー数が増えるとサーバーに負荷がかかってしまうことからしっかりしたSEO対策もできませんでした。ユーザー数やページビューを上げたい。でも、それに対応できるだけのサーバーを買うお金がない、という状況で。優秀なスタッフを採用したくても、それだけの給料払えるのか、みたいな。そんな時期が長かったです。

アフター9の婚活で結婚相手に巡り合い
出産後4カ月で仕事に復帰

藤井:創業間もない頃って、とにかく「身を削ってでも走ろう」という感じですよね。この9年で会社も劇的に変わったと思いますが、一番大変だったことは?

小竹:とにかく夢中だったし、大変だったので、あまり覚えていないんですけど、自分の時間がなかったことでしょうか。睡眠中に携帯電話が鳴ったりすると、「ああ、出なきゃ」、みたいな。ただただ大変大変……と言いながら必死にやっていましたが、つらいなと心から思ったことはあまりなかったように思えます。

藤井:そんな忙しい生活のなかで、結婚と出産を経験されたわけですよね。

小竹:06年に結婚して、09年に出産しました。

藤井佐和子 キャリア
藤井:女性にとって仕事と家庭の両立は大きな問題ですよね。私もよく、「仕事で忙しくしていると婚期を逃すんじゃないか」と相談されることがあるんですが、小竹さんはどのように。

小竹:お恥ずかしいながら、よく合コンは行っていました(笑)。ちょうど34、35歳の頃、米国のテレビ番組『セックス・アンド・ザ・シティ』がブレイクして、女子同士7、8人でつるんでワイワイ恋愛トークするのが楽しくてしかたがなかったんです。仕事が終わった21時頃にみんなで集まって……。元気なIT企業の人たちが合コンに来ると、仕事の話で盛り上がったりもするので、縦横いろんなつながりができて、得るものも大きかったですね。今の夫ともそんなつながりで結婚に至りました。

藤井:ええ! そうなんですか……(笑)。出産のとき、産休・育休はとられたんですか。

小竹:出産したときは役員になっていたので、産休・育休や雇用保険の制度は適用されなかったんです。出産が09年3月で、マザーズ上場が7月。それまでには戻ってきてほしいと言われていたので、わずかですが4カ月だけ休んで仕事に戻りました。

アイデアが生まれたら1回はやってみる
失敗したらすぐに仕切り直せばいい

藤井:すぐに仕事に復帰されたんですね。復帰後はどんなお仕事を?

小竹:上場した09年に、編集長の職を離れて社長室室長になりました。組織が急成長すると社員の数が増えて、意思疎通がしにくくなりました。会社がより成長するためには、クックパッドらしさというか、文化をより研ぎすましたものにしなければいけない。それで、私が責任を持つことになりました。これはまた新しいチャレンジで、試行錯誤だらけでなかなか大変な仕事でした。まず着手したのは、社員同士が部署の垣根を越えて、一緒に料理を作る「まかない制度」です。材料は会社がサポート、社員はクックパッドを見ながら料理して、仲間と一緒に食べる。家庭で行われている料理を通じてのゆるやかなコミュニケーションの場を会社の中でも作りました。もちろんサービス向上にもつながることでしたし、「料理を作る」ことで得られるものって本当に多いんだと多くの社員は気づいたと思います。

藤井:それにしても、小竹さんってアイデアが豊富ですよね。アイデアが生まれたら、まずやってみて、これは失敗だなあと思ったら……。

小竹:やめます。「失敗しないと成長しない」と言われていて、失敗を許容してくれる企業風土があったのは本当にありがたい会社です、今思えば。

藤井:今は、会社も社員も「失敗するのが怖い」という時代ですよね。「面白いけど、でもさあ」みたいな(笑)。仕事をする中で、小竹さんが一番大事にしているものってなんですか。

小竹:「まず動く」ということですね。頭の中だけで考えていると否定的な方向に行きがちですが、とりあえずは1回やってみる。それで「やっぱりだめだ」と思ったら、早いうちにやめる。

藤井:準備に時間をかけすぎると、すぐに「やめよう」とは言えないですもんね。小竹さんのお話を聞いていると、「ワクワク」「楽しむ」というのがキーワードなのかな、と感じます。

小竹:ウンウン唸って仕事をするより、やりたいこと、そして楽しい気持ちで仕事に取り組んだほうが、いい成果が得られると思っているので。

藤井:最近は「あなたはどうしたいの」と聞くと、「そこなんですよね」と言う人が多くて(笑)。そういう人と小竹さんの違いって、何なんでしょうね。

小竹:私は欲張りで、「あれもやりたい、これもやりたい」というタイプなんですよ。欲張りすぎて搾りきれず、破裂してしまうときもありますが(笑)。逆に、何かを「やらされている」と感じるときはつらいですよね。

取材・文/吉田燿子 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER)

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