21 JAN/2015

自分へのアドバイスを書き出そう! 入社1年目の新入社員が「ラスト3カ月」でやっておくべきこと

ライフネット生命・岩瀬大輔の「若手女子のお悩み相談室」
『入社1年目の教科書』の著者がアドバイス
ライフネット生命・岩瀬大輔の「若手女子のお悩み相談室」

入社前に思い抱いていたイメージとのギャップに戸惑ったり、「この働き方でいいのだろうか?」と漠然とした不安を感じたり……。自分の進むべきキャリアが明確になっていないからこそ、若手女子はさまざまな悩みを抱えているもの。そんなお悩みに『入社1年目の教科書』の著者である、ライフネット生命・岩瀬さんがアドバイス!

ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長兼COO 岩瀬大輔さん
1976年埼玉県生まれ、幼少期を英国で過ごす。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパン(現RHJインターナショナル)を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了。2008年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。『ネットで生保を売ろう!』(文藝春秋)、『入社1年目の教科書』(ダイヤモンド社)、『直感を信じる力 人生のレールは自分で描こう』(新潮社)など著書多数
「もうすぐ2年目になって、後輩が入ってくることが不安です。今のうちに何かやっておいた方がいいことはありますか?」(23歳/入社1年目)

「もうすぐ2年目になって、後輩が入ってくることが不安です。今のうちに何かやっておいた方がいいことはありますか?」(23歳/入社1年目)

過去のメールやスケジュールを見直して
入社時の自分へのアドバイスを考えよう

右も左も分からずに足を踏み入れた社会人生活も、10カ月目を迎えました。新しい年を迎えると、そろそろ上司や先輩から「もうすぐ後輩が入ってくるぞ」「しっかりしろよ」などと、声を掛けられることが増えるのではないでしょうか? だからといって特に身構える必要はないと思いますが、この時期は会社生活にもすっかり慣れ、入社時に立てた目標や計画もおろそかになりがち。新年でもある今は、だらけた自分をリセットする絶好のタイミングともいえます。

人の成長は、直線ではなく曲線で進んでいくもの。特に後半の伸びは大きい。僕も新人時代、最初はうまく仕事を進めることができず、社内的な評価もそれほど高くありませんでした。入社半年くらい経って、ようやく自分なりにコツをつかみ、後半から加速していった経験があります。

ラスト3カ月、さらなる成長を目指すためにも、新年という節目に、心機一転、再スタートを切ってみてはどうでしょうか。

そのために、まずはこれまでを振り返ってみましょう。4月からの10カ月間に、自分は何をやってきたのか、何を身に付けてきたのかを見直してみるのです。僕もやっていましたが、例えばスケジュール帳や、メールを見返してみる。「この時期はこんなふうに過ごしていたっけ」、「そういえば、こんなことを気に掛けていたな」、「このころの私はこんな感じだったな」など、これまでの足跡を振り返ることによって、自分の現在地が見えてきます。意識しないと自分では気がつかないかもしれませんが、去年の3月31日の大学生のころとは間違いなく変わっているはず。その変化を把握した上で、自分が「こうありたい」と思う2年目の姿を描いてみるのです。

おすすめは、10カ月前の自分に教えてあげたいアドバイスを書き出してみることです。人は自分のことには冷静になれないけれど、他人のこととなると、意外と的確なアドバイスができるもの。アドバイスという形を取ることによって、この10カ月間の自分を客観的に自分を見つめ直すことができると思います。また、改めてアドバイスの内容をリストアップしてみることで、1年目でやっておくべきことが見つかるはず。それこそが、あなたにとってのラスト3カ月の課題です。4月になって後輩が入ってきたときに少しでも理想の先輩像に近づけるよう、努力をしてみましょう。2年目になると新人の指導係を任されることも多いですから、この努力が後輩のサポートにも役立つはずです。

余裕が出てきた今こそ
仕事以外の新しいことを始めるのも手

一方で、この10カ月間の自分を受け入れられない人もいるかもしれません。たまたま先日、知り合いから依頼を受けて、新人女性のキャリア相談を受けました。彼女は帰国子女で、語学力を仕事に活かしたいという希望がありました。僕から見れば、今の仕事も素晴らしい経験だと思うのですが、仕事に関するどんなアドバイスをしても、頭では理解できてもモチベーションを高めるまでに至らない様子でした。そこで、英字誌を読む若い人たちの勉強会を紹介したら、仕事以外にも語学力を磨く場があることに気付いたようで、元気に帰っていきました。

今の仕事に満足できない人は、彼女のように少し視野を広げて、プライベートで新しいことに挑戦してみてはどうでしょうか。外に目を向けると、朝活でも週末でも、知的好奇心を満たしてくれる場はたくさんあります。少し余裕が出てきた今こそ、興味のある新しいことを始めてみるのも一つの手です。

新人特権をフル活用!
今のうちにたっぷり恥をかくべし

そしてラスト3カ月、「新人」としての特権を思う存分、使ってみるのもいいでしょう。新人として甘えられる最後の時期ですから、たくさん恥をかきまくってください。

新人だから大目に見てもらえることはいろいろあります。例えば、会議の場で少しくらい的外れなことを言っても後輩の目を気にする必要がない。基本的なことを質問しても、上司や先輩社員は丁寧に説明してくれるはずです。経験を積んでいくと相手の話に少々分からないことがあっても「理解できていないのは自分だけなのでは……」と、スルーしてしまう人もいますが、自分に自信がある人は「それはどういうことでしょうか?」と質問してきたりする。だから、僕自身は基本的なことを素直に質問してくれる人に好感を持っています。「ROEが……」などと説明しているときに、「すみません、ROEって何ですか?」と新人が聞いてくれることで、2~3年目の若手社員だって案外ほっとしているものです。説明している僕にとっても、皆に改めて説明ができる良い機会になります。何度も質問して、会議の進行を止めるのは避けたいですが、新人のうちなら問題ないでしょう。後で先輩にこっそり聞くのもいいですね。

そしてお世話になった先輩たちのお手伝いも率先して行いましょう。一見退屈に思えるような仕事でも、後になって役に立つことはたくさんあります。 いろいろな仕事を見聞きできるのも、新人の特権の一つです。

取材・文/瀬戸友子