月12回出勤で平均月収30万円超え! ‟タクシードライバー”が女性にこそオススメな職種だといえるワケ【隔勤ドライバーの1日】
今回紹介するのは、東京りんかい交通でタクシードライバーとして働く桜井美香子さん(仮名)。彼女は10年以上続けてきたアクセサリー販売の仕事を辞め、今の仕事を選んだ。
男性社会のイメージも根強いタクシー業界だが、「私も、自分がドライバーとして働くなんて、最初は思ってもみなかったんです。でも今ははっきり、女性にこそオススメしたい仕事だって言えますよ。プライベートの時間の確保と、高収入を両立したい人であればなおさら、“隔日勤務”のドライバーは最高だと思います」と桜井さんは笑顔で話す。そんな彼女に改めて、隔日勤務で働くタクシードライバーの仕事の知られざる魅力について聞いた。
「接客がしたい」「ドライブが趣味」
“好き”を満たす仕事に出会えた
編集部:桜井さんはアクセサリーブランドの販売員としてのキャリアを続け、店長も経験されていますが、なぜ全く違うお仕事のタクシードライバーに転職しようと思ったんですか?
私はお客さまと接することが大好きで、販売の仕事を約10年続けましたが、40代になった時に「将来が見えない」と感じたことがきっかけですね。10年、20年後も働き続けるために、手に職を付けたいなと。最初はキャリアを生かすためにサービスの仕事に就こうと考えましたが、「そういえば、タクシードライバーもサービス業じゃない?」と気付いて。もともとドライブが好きだったし、タクシーってお客さまとたくさん会話ができるから、一石二鳥だと思いました。
編集部:東京りんかい交通は、ドライバーとして2社目ですよね。転職されたのはなぜですか?
所長がおおらかで優しく、私の話をしっかり聞いてくれたのが大きかったです。「母親が高齢で心配なので、頻繁に実家に帰りたい。そのためには連休もほしいし、何かあったときには急なお休みも取りたい」と希望を伝えたら、全てOKだと言ってくれて。「うちの会社なら、安心して大丈夫だよ」という言葉は頼もしかったですね。
出勤は「月12回」のみ! プライベートの時間も余裕がたっぷり
編集部:現在、隔日勤務を選ばれているそうですが、どんな働き方なんでしょうか?
1回の勤務時間は日勤に比べると長めですが、朝の時間に退勤すれば、その日は1日お休みみたいなもの。つまり、月の半分以上は昼間の時間が自由に使えるんです。月12回の勤務なので、自由な時間がたくさんつくれて、プライベートも充実しています。最初は「本当にこれだけしか仕事しなくていいの?」と驚きました(笑)。
それに、勤務時間中には3時間も休憩をもらえますし、一人で走っている時間もあり、定時前に余裕をもって会社に戻ってくるので、残業もほとんどありません。拘束時間は長くても、実際に「働いていると感じる時間」って、実は長くないんですよ。販売員時代には月24日勤務で残業も多く、1日10時間近く働いていました。あの頃と比べたら、今は座り仕事だし、肉体的にも全然ラクだなと思います。
<桜井さんの、ある1日のスケジュール>
14:00 出勤
車両の点検や、釣り銭の用意をし、出発の準備
14:30 実車
街中を走って人の流れを確認。お客さま3組を乗せる
15:30 休憩
トイレ休憩を取りつつ、車内でドリンクを飲んで一息
15:45 実車
墨田区、江東区エリアを回り、8組のお客さまが乗車
18:00 休憩
人の流れが止まる夕食時は、お気に入りのショッピングモールで休憩
18:30 実車
丸の内、銀座方面を回り、仕事帰りのお客さまが5組乗車
21:00 夕食
前から気になっていたパスタ専門店で夕食。のんびり1時間の休憩
22:00 実車
銀座などの繁華街を回り、3組のお客さまが乗車
0:00 長距離の実車
終電を逃したお客さまが3組乗車。郊外までの長距離も。
都内に戻る時は回送に切り替え、一人の時間を楽しむ
2:00 仮眠
車内で仮眠を取る
3:15 実車
女性のお客さま3組が乗車。
5:30 小休憩を取り、実車
あとひと頑張りするため、屈伸・背筋伸ばしストレッチ!
朝の通勤時間帯のお客さまを3組乗せる
8:00 回送
最後にご乗車いただいたお客さまが鎌倉方面だったため、長距離を走る。
帰りは回送に切り替え、朝のドライブ気分で帰社
9:00 退勤
売上げの清算、洗車作業などを済ませて退勤。
シャワーを浴び、仮眠室で休憩してから自宅へ
※他にも、6:30~25:30など、勤務時間は希望により変更できます。
勤務後に綺麗な仮眠室で睡眠を取ってから帰りたいなど、ワークライフバランスに合わせた勤務時間を選択できます。
編集部:自由な時間が増えたことで、生活はどう変化しましたか?
母と過ごす時間をたくさんつくれるようになりました。販売員時代は仕事で疲れきってしまって、3カ月に1度くらいしか実家に帰ることができませんでした。今は週に1度は顔を出せているし、急な休みも取れる環境なので、母も安心してくれています。
それと、友人や彼と食事や旅行に出かけたり、妹や姪と一緒に遊べる時間も増えましたね。姪はテーマパークが好きなので、春夏秋冬のイベントを全制覇しています(笑)。好きなドラマを見てのんびりする時間もつくれるようになりました。親孝行したい気持ちも、大事な人たちと一緒に過ごしたい思いも、自分の時間を満喫するという部分も、すべてクリアできています。
編集部:生活にゆとりができたんですね。
前職時代と比べても、心のゆとりが全く違います。残業もほぼなく、お休みの日も自由に選べて、連休も取れる。柔軟な働き方ができるので、子育て中の女性でも安心して働き続けられると思います。隔日勤務の場合は、最大で11連休を取ることもできるから、旅行好きな人にもいいかもしれませんね。
編集部:働く時間が変わったことで、体調面は変化しましたか?
そうですね。睡眠時間が増えたので、体調を崩して仕事を休むことがなくなり、持病の偏頭痛も軽くなりました。とはいえ、時間に余裕があるので、ついつい遊びの予定を入れ過ぎてしまい、プライベートが忙しくって。なので、月に1度は意識して「ぼんやり過ごす日」をつくるようにしています(笑)。
幅広い層のお客さまに感謝してもらえる。
街の一員として人助けするやりがいも。
編集部:仕事において、一番のやりがいとは何でしょうか?
当たり前の話ですが、販売員の仕事では、常にお客さまに「ありがとうございました」と言う側の立場なんですよね。けれど、タクシードライバーはその真逆で、お客さまから「ありがとう」と言ってもらえるんです。「気分良く乗せてもらった」「楽しい時間を過ごせた」と褒めてもらえることも多く、時にはチップをくださる方もいますね。接客の仕事が好きな自分にとって、そうした感謝の言葉をいただく瞬間が大きな喜びになっています。
また、お客さまの幅も広く、老若男女さまざまな方がいるので、それぞれのお客さまのご要望に応えていくやりがいがあるんです。例えば、ご年配の方が病院に行く時には、車から降りて受付までお連れしますし、若い女性なら人生相談に乗ることもあります。また、同じ街を走ることが多いから、地域のお巡りさんとも仲良しになりました。先日、酔っ払って道に倒れている方を発見した時にお知らせしたら、感謝の言葉をいただきました。街の一員として人助けができる喜びも、タクシードライバーならではかもしれないですね。
毎日、いろんな方に出会う楽しさ、いろんなことが起きる面白さがある上、ちょっとした心遣いですごく感謝してもらえます。しかも、基本的には自分の好きなエリアを走れるので、横浜やお台場のキラキラとした夜景を見ながらドライブ気分に浸れる時もあるんですよ。「こんないい仕事、他にないよね〜!」と思っています(笑)。
編集部:販売員時代と比べて、お給料の面はどうなんでしょう?
そこについても、本当に満足しています。 販売員の頃は、どんなに頑張っても給与は月収25万円いかないくらい。私はあまり頑張り過ぎず、のんびり働きたい派なんですが、それでも今は、大体月収30万円程度にはなっていますね。過去最高では、月収38万円をいただいたこともあるんですよ。頑張り次第では月収50万円以上も目指せるので、やる気につながりますね。しかも、東京りんかい交通の場合は、入社してから1年間は月収30万円が保証されているので、未経験の人でも安心できると思います。
「女性が働きやすいムード」が自然に出来上がっている
編集部:女性のための手当など、福利厚生面も充実していると聞きました。どんなものがあるんでしょうか?
誕生日手当や記念日手当、託児所手当など、女性を応援してくれるさまざまな手当がありますね。入社祝い金も10万円でますし、制度がとても手厚い会社だと感じます。
私は特に、美容に使うための「なでしこ手当」がお気に入りです。2カ月に1度、1万円を支給してもらえるので、手当が出たら美容院を予約するのが習慣になっています。販売員時代はお給料も少なく、忙しさも相まって、年に1度しか美容室に行けないこともありましたから、今の方がお洒落を楽しめている気がします!
また、前職では、トイレやシャワー室などの設備が男女兼用だったり、スペックが良い車は男性ドライバー優先だったりしたんです。でもこの会社は、トイレや更衣室、パウダールーム、仮眠室まで女性専用の設備を別棟で用意してくれていますし、女性だから車が選べないなんてことはありません。「女性を大切にする、という意気込みが他とは違うな」と思います。
鏡張りでイスもあるパウダールームは百貨店の化粧室よりもキレイだし、スポーツジムみたいな更衣室も素敵で、シャワー室は自宅のお風呂よりもキレイ(笑)。勤務終了後には、シャワーを浴びて、仮眠室で一眠りし、パウダールームでお化粧を直し、そのまま出掛けることもあります。
編集部:ドライバーというと男性が多いイメージですが、女性だから働きにくいということもなさそうですね。
はい。冒頭でもお伝えした通り、所長も一人一人の状態に気を配り、家庭の事情なども踏まえた上で希望通りの対応をしてくれますし、悩みごとや困りごとがあればきめ細かくフォローしてくれます。職場全体に「女性を大切に育てていこう」という姿勢があるためか、女性が働きやすいムードが自然に出来上がっていますね。長く笑顔で働ける環境をつくってくれているのはありがたいです。
編集部:最後に、転職活動中の女性たちに向けてメッセージをお願いします。
私の場合、販売職からタクシードライバーという、全く違う業界へ転職をしましたが、働く環境を変えたおかげでストレスもゼロになりました。よく眠れるようになり、毎日笑顔で過ごせています。私にとって、タクシードライバーは「天職」なのかも! 皆さんも思い切って環境を変えたら、今よりもっとハッピーな毎日が見つかるかもしれません。
取材・文/上野真理子 撮影/赤松洋太