CRAZY WEDDING山川咲が語った“後悔しない”人生の歩み方――「挑戦に苦痛は付き物。でも、何もしなかった自分を悔いるよりずっとマシ」

2019年4月20日、『女の転職type』主催の特別セミナー「意思をもって未来を描く!~自分らしく、働きたい女性たちへ~」が開催された。話し手は完全オーダーメイドのオリジナルウェディング事業『CRAZY WEDDING』の創業者、山川咲さん

山川咲

株式会社CRAZY 『CRAZY WEDDING』創業者
CRAZY WEDDING BRAND MANAGER 
山川 咲さん

2006年に入社した人材系コンサルティング会社にて人事新卒採用責任者として活躍。数々のプロジェクトやイベントを立ち上げ、メディアの注目を浴びる。2011年、同社を退職。オーストラリアでの2カ月間の旅を経て、完全オーダーメイドのCRAZY WEDDINGを創業。ウエディングで業界に革新をもたらし、16年5月には毎日放送「情熱大陸」に出演。その後、産休・育休を経てIWAI OMOTESANDOの立ち上げに携わる。著書に『幸せをつくるシゴト』(講談社)がある

意思のある人生を、一つでも多くつくりたい」と参加者に熱く語り掛けた山川さんが、“後悔のない人生”を歩むために大事にしていること、長く仕事を続けていくために意識していることとは何なのだろうか。講演内容の一部をご紹介しよう。

たとえ苦しんだとしても、自分が楽しいと思える人生を

CRAZY WEDDING』を立ち上げたのは、私が28歳の時。当時は、「そんな夢みたいな事業、理想でしょ」「うまくいくわけないよ」と、周囲の人にはよく言われていたものです。実際に起業してから2~3年が経ち、さらに5年が過ぎて事業が少しずつ軌道に乗り出すと、「咲ちゃんならやれると思ったよ!」とみんなに言われました。周りの人の反応が、がらっと変わったんです(笑)

何か新しいことをやろうとすると、初めのうちに“逆風”が吹くのはよくあること。チャレンジの芽を潰すようなことを言ってくる人や、足を引っ張ろうとする人が出てくるものです。でも、それで諦めてしまってはもったいない。一時は苦しんだとしても、自分が心から楽しいと思える人生を生きるのが一番。最後に頼りになるのは自分自身です。

何かにチャレンジした結果、思うような結果が得られなくても大丈夫。思い切りやり切った自信があれば、「もう悔いはない」って違う道に気持ちよく進めるはずですから。「何もしなかった」ことを悔いるより、やれるだけのことをやり切る人生の方がずっと面白いと思います。

夢を見るだけでは何も変わらない。夢を叶えるための行動を

今や「人生100年時代」と言われ、2人に1人は寿命が100歳を超えると言われていますね。20代の人ならあと約80年、いま30代の私でも、約70年も残りの人生が続きます。

私の場合は、あと50年くらい仕事をしていたいかな。70代、80代なんて、まだずっと先のことのように思えるかもしれないけれど、その歳になっても好きな仕事をずっと続けていくために今何をする必要があるのかっていうのは、いつも考えていています。

それと同時に、若いうちから「楽な道」を選んでいちゃダメだっていうのが私の持論。なぜなら、時間もパワーもあるこの時に楽をして生きてしまったら、きっと10年後、20年後の自分は今よりきつい道を進む選択はできないはずだから。進めるときに、あえて苦しい道を進み、自分を鍛える。それが私なりの生き方です。

そうは言っても、私にも怠け者な面があって、ふと気を抜くと楽な方へと流されてしまいそうになります。だからこそ、自分を律する軸として、10年後、20年後に自分がどうなっていたいのか、そこに近づくには今何をしている必要があるのか、意識的に考えるようにしているんです。

誤解しないでほしいのは、未来のことを考えることは、ただ「夢を見る」ことではないということ。過去も未来も、「今」の行動でしか、変えられません。なりたい姿、ありたい姿を思い描いたら、そこにどう到達できるかを考え、必要なことを少しずつでもやってみてほしいと思います。

当たり前のことですが、夢を見るだけなら簡単。夢を叶えるために行動するか、しないかが重要なんです。

行動を起こせば苦しみもある。結果はどうあれ、失敗にはならない

山川咲

先にもお話したとおり、行動を起こした先には、苦しみが待っていることがあります。私自身も、『CRAZY WEDDING』創業当初にはさまざまな苦しみを経験しました。

例えば、オーダーメイドウエディングのための式場探し。場所を貸し出してくれるところを探して電話を掛けても、知名度も信頼もまだない会社のお願いを受け入れてくれるところはほとんどなく、なかなか取り合ってもらえません。泣きたくなるような思いを幾度となくしました。

でも、そこで挫折して諦めたかというと、それはないんですよね。周囲の起業家の皆さんにお話を聞いても、皆さんそう仰る。一度起業をしたら、会社員時代のように給料が自然と振り込まれることなんてないし、明日の仕事が無ければ会社は倒産してしまう。社員を養うこともできないし、自分だって食べていけない。そんな危機感があるから、挫折している暇はないっていう感じでしたね(笑)

今振り返れば創業当初はすごくきつい時期もあったけれど、後悔は一つもなくて、むしろ楽しかった。こんなに何かに熱中できる経験は、他では味わえなかったと思います。それに、どんな結果が待っていても、次につながりさえすれば、「失敗」ってないと思えるようになりました。「失敗はない」そう思えば、勇気を持って行動を起こせるような気がしませんか?

意思を持って、自分の人生を選んでいこう

世の中には、たくさんの暗黙のルールがあります。この暗黙のルールは時にとても厄介で、私たちのチャレンジを阻んできます。例えば、「空気を読む」とか、「協調する」とか、日本の女性は特にそういうものを大事にしろと教えこまれてきたはずです。世の中のルールに従って、皆と足並みをそろえて生きる方が、いいのだと。もちろん、そういうことができる人も素晴らしいですが、私自身はそうはなれなかった。ルールをつくる側の人間として生きていく道を進む方が、私らしいなと思ったので、そちらの道を選ぶことにしました。

結婚式に参加されたことがある方ならお分かりいただけると思うのですが、結婚式って、ルールや慣習がすごく多いと思いませんか? 大事にすべき伝統もあるけれど、もっといろいろな形のウエディングがこの世にあっていいというのが私の考え。だから、『CRAZY WEDDING』では新しい価値観をたくさん送り出していきたいんです。

話を戻しますが、今日ここに集まっている皆さんは、転職活動を始めようという方たちだと思います。あるいは、これからのキャリアを見つめ直してみようと思った方たちですね。そんな皆さんに私から改めて送りたいメッセージは、「自分はどう生きるのか」意志を持って選び取っていってくださいということ。

これから数年をどの会社で過ごすかは、皆さんの人生を大きく左右する決断です。そこで、世間体とか、他人の意見に振り回されてしまわないでほしいなと思います。未来の自分が今を振り返ったときに、後悔しない挑戦ができるか。自分が夢中になって取り組める仕事ができそうか。そんな軸で次の職場を探した方が、人生はきっと、もっと面白くなると思います。苦労さえも楽しいと感じられる、そんな仕事と出会えることを願っています。

文/松永 怜 写真/Woman type編集部

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