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SEP/2019

ロリータ看護師・青木美沙子がドレスもナース服も脱がない理由「20代でやってよかったことは、稼ぐ力を磨いたこと」

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これから進む道、20代でどう決める?
「私の未来」の見つけ方

今、女性の働き方・生き方は多種多様。何でも自由に選べるって素敵だけど、だからこそ、何を選択し、どこに進めばいいのか悩んでしまう。「私らしい未来」は一体、どの道の先にあるんだろう……?
そこで今回Woman type編集部では、さまざまな女性たちに聞いてみました。「私らしい未来」、みんなはどうやって見つけたの!?

「ロリータファッション」が、日本発のカワイイカルチャーとして、今、世界で一大ムーブメントを巻き起こしているのをご存知だろうか。

そして、そのブームの火付け役とも言えるのが、“ロリータファッションのカリスマ”青木美沙子さんだ。

青木美沙子
モデル/正看護師
日本ロリータ協会会長 外務省「カワイイ大使」
青木美沙子さん

1983年千葉県生まれ。東海大学医療技術短期大学卒業後、看護師として日本ロリータ協会会長。外務省よりカワイイ大使に任命され、ロリータファッション代表として文化外交にて25か国45都市歴訪。ロリータファッション第一人者として活動中
Twitter:@aokimisako
ブログ:https://lineblog.me/aokimisako/

15歳で原宿ストリートマガジン『KERA』(ジェイ・インターナショナル)の読者モデルとなり、日本ロリータ協会会長に就任。2009年には外務省より「カワイイ大使」に任命され、現在も中国やヨーロッパなどを中心に日本発のロリータファッションの魅力を精力的に発信している。

さらに、青木さんは現役の看護師でもあるというから驚きだ。短大卒業後は大学病院などで看護師として働いてきたが、今は週に一度程度、訪問看護の仕事をしているという。

今年、青木さんは36歳。「いい歳なのに、まだロリータを続けるの?」「看護師がロリータなんて」「そんな格好をして恥ずかしくないのか」「結婚できないよ?」……否定的な言葉はこれまでにたくさん浴びせられてきたという。

それでも、「ロリータであり、看護師でもある。これが私らしさ」と胸を張る彼女に、今の生き方にたどり着いた道のりと、自分らしさを貫く生き方について聞いた。

夜勤明け、髪をブリーチして昼は雑誌の撮影へ
ロリータ看護師が生まれた理由

15歳で看護科のある高校に入って、ほぼ同時期に読者モデルとしての活動を始めました。実は看護学校を卒業する20歳の頃は、「専業のモデルにならないか」って誘われたこともあったんです。だけど、その時はモデルになる道を選びませんでした。

なぜって、看護師になることが私の子どもの頃からの夢だったから。そして、看護師に大切なのは何より現場での経験だと思ったからです。

青木美沙子

学校で看護の資格を取っただけでは、正直何の役にも立ちません。最低でも3年ぐらいは実務経験を積まないと、点滴や注射のスキルも、さまざまな緊急対応も身に付かない。だから、その時は大学病院に就職することにしました。

ただ、モデルの仕事も楽しかったので、休日はモデルの活動にあてていて。朝までがっつり病院で夜勤をこなし、家に帰って髪をブリーチして、昼は雑誌の撮影へ繰り出すなんていうことも多々ありました。今思えばすごい体力ですよね(笑)

そんな私に最初の転機が訪れたのは、25歳の時でした。

外務省から、日本のポップカルチャーを世界に発信する「カワイイ大使」に任命されたんです。正直、どうしようか悩みました。大好きなロリータファッションの魅力を伝えていきたいとは思ったけれど、海外出張も増えるし、中途半端にやるくらいなら看護の仕事は辞めた方がいいのかなぁって。

あれこれ悩んで、親や友だちに相談すると、皆が口を揃えて言ったのは「看護の仕事は辞めない方がいい」ということでした。「モデルでどうやって食べていくの?」「安定した仕事を捨てたらもったいないよ」って。

結局、「ロリータモデルの仕事に専念してみよう」と思って、看護の仕事から離れた時期もあったのですが、20代後半になった私が気付いたのは「やっぱりどちらの仕事も自分に必要だ」ということでした。

だって、どっちもあっての私だし、両方の仕事が同じくらい好きだったから。それで、人に何を言われようと、「両方やろう」と決めました。

日本と中国、男性からの反応は大違い!「僕のためにオシャレしてきてくれてありがとう」

青木美沙子

一方で、そもそも、「ロリータファッションの何がいいの?」とか「30代にもなってなぜロリータを続けるのか」とか、疑問に思われる方もいるかもしれませんね。

私がロリータファッションを愛している理由は、とてもシンプルなんです。美しくて、可愛い。それはもちろんですが、自分に自信を与え、強くしてくれるファッションだからです。

ふわふわのパニエに足を通し、フリルやレースが贅沢にあしらわれたワンピースに身を包めば、自分が愛する自分になれる。コンプレックスを忘れ、幸せな気持ちになれるんです。年齢を重ねたからって、そういうものを手放す気にはどうしてもなれませんでした。

ただ、日本の男性にはまるっきりモテませんよ(笑)。スカートの中が何層にも重なり過ぎて、「どうなってんだ!」ってドン引きされたこともありますし!

でも、海外でお仕事をするようになってびっくりしたことがあります。さっき“日本の男性には”と言いましたが、中国に行ったら、ロリータファッションがすごく男性ウケするんです! 私もビックリしましたが、中国は今空前のロリータブームでして、ロリータファッションの女の子の隣を歩くのは男性のステータスみたいになっているんです。

ロリータファッションって、お洋服はそこそこ高価だし、着るのも一苦労。ヘアやメイクにも時間がかかるから「僕のためにこんなにオシャレして来てくれたんだね!感動しちゃうよ……」って、中国の男性は心から喜んでくれるんです! 日本じゃ絶対ありえないですけどね(笑)

青木美沙子
ヨーロッパやアメリカにも行きましたが、ファッションをバカにされたことはありません。あと、「今いくつなの?」って年齢を聞いてくるのは日本人くらいです

ね? 環境が変われば、年相応とかそういうものの価値観って、まったく意味を成していないんですよ。「もう30なんだから」とか「看護師なんだから」とか、そういうことで悩む必要はないなってつくづく思います。

ただ、こうやって話していると、私がすごく強い人間なのでは? ってよく言われるのですが、そういうことではなくて。私も人の考え方とか意見に流されることはよくありますし、「このままでいいのかな」っていう迷いもずっと心の奥底にはあるんです。

でも、好きなものを好きって胸を張る人生はやっぱり最高だし、それが私らしい生き方だから、それだけは続けていきたい。

今はそれが、ロリータと看護の仕事。「好きなこと」は人生経験とともに変化していくかもしれないけれど、好きでいられる限りは二足のわらじをずっと続けたいですね。

「自分らしく生きたい」と思うなら、経済的に自立しているって大事です

青木美沙子

じゃあ、自分を強くしてくれるような「好きなもの」ってどうすれば見つかるのか。悩んでいる20代の方がいるんだとしたら、堅苦しく考える必要はないと思いますよ。

ジャニーズでも、韓流でも、タピオカでもいい。誰にでも一つは、「ちょっと好きかも」ってものがあるはず。そういうものと出会えたら、少し深掘りして、好きなものについて調べて詳しくなってみるといいんじゃないかなって思います。

だけど、「皆が好きなことを仕事にすべきか」というと、そうは思いません。いいじゃないですか、バリバリお金を稼ぐことが好きだって人がいても、子育てや家庭のことに専念したいっていう生き方があっても。人は人、私は私。人生の選択は人と比べて優劣をつけるものじゃありません

あと、“自分らしく”みたいなテーマだと、私みたいに他の人がやっていないようなことをやっている人がメディアに出てくるでしょ(笑)? でも、そうじゃないと自分らしくないかっていうと、違うと思います。着実に働いて、安定した収入を得る人生だって、それがいいと思うなら、それが「あなたらしさ」です

私ね、ちゃんと自分の力で稼ぐって、「自分らしく」生きていく上ですごく大事なことだと思うんですよ。「やりたいことだけやってハッピーライフ!」なんて、あり得ないじゃないですか。生きていくにはご飯も食べなきゃいけないし、家賃も光熱費もいります。実家暮らしでもいいけれど、親だっていつまで元気が分からない。

誰にもとやかく言われず自由に生きていくためには、経済的に自立していることが大前提です。

青木美沙子

私がいろいろなチャレンジをしてこられたのも、20代のうちから看護師として着実に稼ぐスキルを持っていたからです。自分は自分の力で何とか生きていけるぞっていう自信があったから、人と違う人生の選択ができたところもあると思うんです。「失敗してもどうにかなる」っていう自負があれば、大胆なこともできるものですからね。

いろいろお話してきましたが、年齢を重ねても、自分らしく、より良い未来を生きていきたいと考える20代の皆さんには、「まずは稼ぐ力・自立して生きていく力を身に付けましょう」と言いたい。その上で、どう生きるかは皆さん次第。

人と比べず、自分の好きなことを大事に。自分で選んだ道を迷いながらでも進んでいけたら、きっと幸せな未来がやってくるのではないでしょうか? 私自身もそう信じて、ロリータ看護師を続けていきます。

取材・文/石川 香苗子 撮影/赤松洋太 企画・編集/栗原千明(編集部)

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