05 SEP/2019

生き方、働き方に迷ったら「ドラフト」を書き出してみよう! 人生100年時代の女性キャリアは脱・固定概念がキーワード

持つべきものは、頼れるメンター!
「後輩たちへ」

長く仕事は続けていきたい。でも、どんな仕事が自分に合っているのか、そもそもどんな人生を送りたいのか、自分のありたい姿が明確にならない女性も多いはず――。そこでこの連載では、さまざまな人生経験を積んできた『Mentor For』のメンターたちが、“豊かなキャリア”を描いていくためのヒントを後輩女性に向けて送ります

こんにちは、『Mentor For』公式メンターの安藤知子です。前回は、ワーキングマザーが前向きに働き続けるためのヒントをお伝えしました。今回は、人生100年と言われる時代に、女性が長く働き続けていく上で大切なマインドセットをお伝えしたいと思います。

「人生100年」が女性のキャリアに与える影響は?

人生100年

「人生100年」という言葉をよく耳にするようになりました。皆さんは「人生100年」をどのように受けとめていますか? 公私共に多忙な毎日を送っていると、「そんな先のことまで考えられないわ……」と感じる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

「人生100年」という概念は、これからのキャリア形成にどのような影響を与えていくのでしょうか? すでに多くが語られていますが、次のような点が挙げられます。

■働く期間が長くなる
キャリアにおいて60歳を区切りのように考える概念が変わります。定年や引退という考え方も希薄になり、今後は70歳から80歳ぐらいまで働く、あるいは生涯現役という考えも広がっていくでしょう。

■働き方が多様になる
20歳前後から60歳までの40年間をがむしゃらに働き、その後は引退生活という今までのモデルとは異なり、途中で学びの場に戻ったり、働きながら学んだり、必ずしもフルタイムでない働き方など、さまざまなスタイルが広がるでしょう。

■キャリアは一本道ではなくなる
第1回目にキャリアをジャングルジムに例えてお話しましたが、そのイメージがより明確になると思います。社会環境やビジネスの変化もより早くなりますから、登っている間にジャングルジムそのものの形やサイズが変化していくこともありますし、一つではなく複数のジャングルジムに登るようなキャリアの考え方も広がるでしょう。

■ライフイベントの位置付けが変わる
働く期間が今までの40年から50~60年に広がると想定し、子育てのコア期間を約20年とした場合、子育てのコア期間の前後が今よりずっと長くなります。例えば、20歳前後で社会人になり、30歳から20年間の子育て期間を終えたら引退まで残り10年という今までのモデルが、子育て期間を終えてからの現役期間が20年以上あるかもしれないとなるわけです。ワーママであるのもキャリアの中の一期間とも言える時代になりそうです。

人生100年時代のキャリア戦略

このような変化の時代に、自分らしいキャリアをつくっていくにはどうしたらよいのでしょうか? 未来は未知数ですが、いくつかのヒントを挙げてみます。

■固定概念から自分を解き放つ
私たちは、物事を分類して名前をつけることが得意です。ただ、時々必要以上に分類・ラベリングをして、それに安心感を求めてしまうことがあります。例えば、「勝ち組と負け組」「バリキャリとゆるキャリ」など、たくさんのラベリングがありますよね。ですが、実際にはキャリアや人生がそれほど単純に分類できるはずはありません。今まで以上に多様性が深まっていく時代ですから、実体のないラベルで自分を縛り続けるのではなく、固定概念から自分を解き放ちましょう。

■自分の“エネルギータンク”に火をつけて進んでいく
これは私がメンタリングでよくする質問の一つです。人はそれぞれ自分自身の燃料、つまり自分を突き動かすエネルギーの源を持っていると思います。それは、個人が大切にしている価値観や好奇心で、そのエネルギーを燃やしながら進んでいる時に私たちはワクワクを感じるのだと思います。固定概念から自分を解き放つということは、自分自身のエネルギータンクに火をつけて進んでいくこと。選択肢が増え続け、正解不正解の無い変化の時代には、自分の信じる方向を自分で定めて進んでいくことがより大切になっていくはずです。

■考え、問い続けること
どのような人生を送りたいのか、理想の働き方とはどんなものなのか……「自分のことが一番分からない」なんて人も多いかもしれません。それはとても自然なことですから、安心してください。でも、分からないながらも考え続け、問い続けることが、長期的な方向を定めることにつながっていきます。

人生100年

私がメンタリングでよくお勧めするのは、漠然とした考えでも、短い文章や単語で構わないので、とりあえず書いてみること。とりあえず書いたものはドラフト、つまり下書きですから、それに縛られる必要はありません。不思議なもので、ドラフトがあると人はそれを書き直したくなるものです。自分自身のドラフトを書き直し続けるのがキャリアであり、人生でもあると思います。

想定より長い人生。まだまだチャレンジできる

私は、多くの読者の皆さんよりずっと年上で、既存の概念に従えばそろそろ「引退」という年齢ですが、「人生100年」という考え方に触れてからは、自分はまだ「人生の折返し地点」にいるのだと考えるようになりました。

人生は想定していたより長い!という驚きもありますが、今から新たなジャングルジムに登ってみることだってできる! とワクワクしています。

一人一人がその人らしくあり、自分の意思で決めて前に進む……、それをサポートするのがメンタリングです。メンタリングを通して、一人一人が個性を発揮できる多様性豊かな社会をつくることに関わっていくことが、今の私が最もワクワクすることですね。

これからも皆さんのお役に立つような活動をしていきたいと思います。記事をご覧いただき、ありがとうございました。

>>Mentor for

安藤知子

【この記事を書いたメンター】安藤知子さん

Mentor Forチーフメンター/顧問。ウイメンズキャリアメンター認定講師。米国CTI認定プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ。日産自動車、日本コカ・コーラ、マース・ジャパンを経て、日本ロレアル副社長・人事本部長へ。マーケティングと戦略人事の二軸を持つ。現在は上場企業の社外取締役、HRコンサルタントやプロメンターとして活動。育児経験もあり、経営幹部から若手女性のメンタリングまで実績豊富