新型コロナウイルス感染拡大に対するドイツ人の反応は? 現地で暮らす日本人の私が驚いたこと
仕事と子育てを両立しながら日本とドイツの二拠点で生活を送る著者が、ドイツ人女性の働き方や生き方を見て感じたこと、学んだことをお届けしていきます。豊かな人生をつくるワークライフのヒントが見つかるかも!
Woman type読者の皆さん、こんにちは。株式会社MANABICIA(マナビシア)代表の池原真佐子です。
私は現在、ドイツと東京を行き来しながら、『Mentor For』という、女性のキャリア支援に特化したメンター育成と派遣事業を運営しています。
連載10回目となる今回は、この新型コロナウイルス感染拡大に伴うドイツでの影響や生活について、私が肌で感じたことをお伝えできればと思います。
ドイツのメディアでは、日本がいかに危険か報じられている
今年2月に日本での新型コロナウイルス感染拡大のニュースが流れ始め、ダイヤモンドプリンセス号のニュースがセンセーショナルに世界各国で報道されるようになった頃、欧州のあちこちで「アジア人差別」が話題になりました。
私自身も、カフェやサロンなどで「どこから来たの?」と、住んでいる国や地域を確認するような質問をされるようになりました。これは、今までになかったことです。
質問に対して「日本からです」と答えると、全員分かりやすく引きつって固まります。でも、「ドイツ在住だよ」と補足すると、ほっとした表情をする……。そんな分かりやすい出来事が、何度かありました。
日々、ドイツのメディアが日本や中国がいかに危険かを報じているため、こうした反応が出てくるのは、ある程度仕方のないことなのかなとも思います。
日本のメディアでも、海外で日本人が差別に遭ってしまったというニュースが報じられていると思うのですが、個人的には暴言を浴びたり失礼な態度をとられたということはありません。
道行く人も電車で隣にいる人も、私がアジア人で時々咳をしても気にしている様子はありませんし、笑いかけてもくれます。
一方で、ドイツから見ると「日本は危険」という認識が高まっていることは事実です。企業は軒並み、日本出張禁止になっていますし、日本に帰国ができない駐在員やその家族も増えています。
学校、幼稚園が5週間の一斉休講に
しかし3月になり、状況は一変。ドイツを代表する一大イベントでもある春のカーニバルで、集団感染が起き、あっという間に広がっています。
一日、また一日と状況が変わっているため、この記事が公開された時点(2020年3月19日)では全く違う状況になっているかもしれません。
現時点で、ミュンヘンでの生活や女性の働き方がどのようになっているかを、私が感じた範囲でお伝えします(同じタイミングでも、他地域では全く状況は異なることはご理解ください)。
先日、ドイツのメルケル首相が「総人口に7~8割に感染する可能性がある」と宣言。欧州からアメリカへの渡航を30日間禁止するという、センセーショナルなニュースが流れたばかりです。
そして、私が住むバイエルン州(ミュンヘン含む)では、来週から学校と幼稚園は5週間の一斉休講という発表がありました。
では、私たちの生活や働き方にどのような影響がでているのでしょうか?
一斉休講のアナウンスが出た後、子どもを持つ母親同士でチャットが行き交い、皆がショックを受けていました。
労働時間の短縮や、在宅ワーク推進がさらに進んでいる
また、ドイツも日本同様、多くの働く人々に影響が出ています。
企業ではちょうど自宅勤務の命令が出ていることもあり、父親と母親が分担しながら自宅で子どもをみる、あるいは、シッターさんを頼む、友人同士で預かり合うという方法を取っています。
また、ママ友たちが結束し、子どもたちを合同で公園で遊ばせるなどしています。
ただ、大人の働き方でいうと、ドイツではもともとホームオフィスやワークシェア、短時間勤務が浸透しており今回のことで大混乱は起きていない様子です(現時点では)。
とはいえ、さらなる短時間労働の推進施策が打ち出されるほか、出張の制限や、イベントの中止などは相次ぎ、経済への影響は当然大きいでしょう。
日常生活でいえば、数日前に出張で戻った際の日本と比較すると、マスクをしている人がいないせいか、そこまでピリピリしたモードはあまり感じません。
とはいえ、「学校も休みでホームオフィスなので、家に隠らなければ」ということで、パスタやトイレットペーパーの買い占めは若干起きており、どの国でも人々が感じる恐怖や不安は変わりないと言うことを感じました。
学校の一斉休校、日本人とドイツ人の反応の違い
今回のコロナ騒動で一番驚いたことは、学校の一斉休校の措置が取られた際のドイツ人と日本人の反応の違いです。
少なくとも私の周囲にいるドイツ人の親たちからは反対の声は上がらず、「仕方ないよね」という声だけでした。
ドイツの親たちは、「子どもや幼稚園の先生を守ることがまず一番大事だ」と話していました。
日曜日には多くの店が休みであることが習慣で、多少(といっても今回は甚大ですが)の不便も、生活の質を守るためには仕方がないという考え方が、そもそも根付いているからなのかもしれません。
急に訪れた変化や災難も、「何とか一緒に乗り越えていこう」とするドイツ人の姿が印象的です。
この世界的な騒動が、次の執筆のタイミングでは落ち着くことを願っています。
【この連載の寄稿者】
(株)MANABICIA 代表
池原 真佐子(いけはら まさこ)さん
福岡県出身、早稲田大学・大学院で成人教育を専攻。PR会社、NPOを経てコンサル会社で勤務。在職中にINSEADのパートタイムのコーチングと組織開発の修士(Executive Master in Consulting and Coaching for Change : 現EMC)を取得。同時に、エグゼクティブコーチング等の人材育成を手がける(株)MANABICIAを創業。その後妊娠するも、臨月でパートナーが欧州に転勤、東京でワンオペ育児開始。産後1年半が経ったころ、女性のキャリアに特化したメンターを養成するスクール運営、企業の働く女性へのメンターをマッチング事業を行う『Mentor For(「育キャリカレッジ」から名称変更 )』を新規事業として立ち上げる。2年半のワンオペ育児を経て現在はドイツと二拠点生活。2017年に英ユニリーバDOVEでNourishing SecretのCMに、日本を代表する新しい女性として出演。ワーママオブザイヤー2018受賞。「第5回女性起業チャレンジ制度」グランプリ(2019)。その他、日テレNews等のメディア出演も多数。著書『自信と望むキャリアを手に入れる 魅力の正体』(大和書房:日本と韓国で発売)
『日独ワークライフ通信』の過去記事一覧はこちら
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