26 JUN/2020

“いい辞め時”とはいつなのか。コロナ禍で「自分の会社が嫌い」になった女性たちへ3つの助言【Waris 田中美和】

live your life

はじめまして! 今回から連載させていただくことになりました、田中美和と申します。

私はWaris(ワリス)という会社を仲間と共同経営しつつ、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会という団体で理事としても活動し、多様な生き方・働き方を支援しています。

Warisではフリーランスとして働きたい女性と企業との仕事のマッチング事業をしたり、離職女性の再就職支援事業をしたりしています。

Warisのビジョンは「Live Your Life すべての人に、自分らしい人生を。」なのですが、私自身、一人でも多くの方の「自分らしい人生」をつくることに関わりたいと思い、日々活動しています。

“いい辞め時”とはいつなのか。コロナ禍で「自分の会社が嫌い」になった女性たちへ3つの助言【Waris 田中美和】

さて、緊急事態宣言が解除されて1カ月ほど経ちますが、読者の皆さんはどんな日常を過ごされていますか?

今回のコロナ禍をきっかけに仕事観、キャリア観が変化した方は少なくないかもしれませんね。

「会社がリモートワークを認めてくれない」
「コロナ禍を受け、経営層や上司が下す判断にことごとく納得できない」

……など、新型コロナウイルスの感染拡大という緊急事態で会社の真の姿が見え、嫌になってしまった……! という人も多いのではないでしょうか。

実際、転職サイトの求人に応募する人が増えているという話を聞きますし、フリーランス協会が今年4月下旬~5月にかけて実施した調査(※1)では、回答した会社員のうち約3割が転職を、約5割の人がフリーランス(個人事業主)を、そして約7割弱の人が副業を検討中(それぞれ実践中の人も含む)という結果が出ています。

いずれもかなり高い数値だったので、調査した私たちも驚きました。危機的事態に際して今後のキャリアを見つめ直す人が増えているのかもしれません。

実は私も10年以上勤めた会社を辞めて独立したのは東日本大震災がきっかけでした。

大震災で「本当に人生は一度切りなんだ」と実感し、であれば「自分が本当にやりたいことをやって悔いなく生きていきたい」と思ったことに背中を押されたのです。

「やりきった感」があれば「辞め時」かもしれない

“いい辞め時”とはいつなのか。コロナ禍で「自分の会社が嫌い」になった女性たちへ3つの助言【Waris 田中美和】

「今の会社が嫌」「辞めたい」とお話しする方に対して私がお尋ねしているのが、「今の会社で『やりきった感』はありますか?」ということです。

「十分な経験をした」「可能な限りスキルを習得できた」など、「やりきった実感」があるのでしたら、そろそろ会社の「辞め時」かもしれません(もちろん日常的なハラスメント行為がある、心身の体調を崩すほど長時間労働であるなどの場合はこの限りではありません!心身の健康を第一に自分らしく働ける場所を探してくださいね)。

具体的に転職や独立の意思が固まっている人は、転職サイトやフリーランス向けのマッチングサービス、クラウドソーシングサービスなどに登録して活動をスタートさせましょう(フリーランスになりたい女性向けのアドバイスはまた次回以降のコラムで解説します!)。

ただ、コロナ禍で現段階では採用活動を縮小・一時休止している企業が多いのは事実です。

そこで今回は「今の会社は嫌、でも具体的に転職や独立などの意思が固まっているわけではない」という女性の皆さんへ三つのアドバイスをお伝えします。

1)職務経歴書をアップデートしてみよう

「え? 転職活動するかどうかも分からないのに職務経歴書……?」と感じる方がいるかもしれませんね。でも職務経歴書は自分のキャリアを振り返り言語化するとてもベーシックで身近な「キャリアの棚卸しツール」なんです。

そもそも転職活動をされたことがない方だと「職務経歴書を書いたことがない」という方もいらっしゃいます。また、前回の転職活動から数年経っている場合、職務経歴書をアップデートしていない場合もありますよね。

この数年の間にどんな経験をして、どんな知識やスキルを身に着けたのか? ぜひ一度足を止めて振り返ってみてはいかがでしょうか?

2)オンラインキャリアカウンセリングを受けてみよう

「これから自分がどうしたらいいか分からない……」そんなモヤモヤを抱える方は、オンラインキャリアカウンセリングサービスを活用するのも手です。

私たちWarisも『Warisキャリアエール』というオンラインでのキャリア相談サービスを展開していますが、ここ数年で気軽に利用できるオンラインのキャリア相談サービスが一気に増えたのをご存知でしょうか?

cotree(コトリー)』さんや、『meetcareer(ミートキャリア)』さん、『MyCounselor(マイ・カウンセラー)』さんなど、いずれも女性の経営者が想いを持って立ち上げたサービスばかりです。

「え? キャリア相談って転職サービスを利用すると無料で受けられますよね?」と思った方……それはそうなのですが、転職サービスで受けられる「キャリアカウンセリング」とこうした有料のキャリア相談はまったく異なるものです。

“いい辞め時”とはいつなのか。コロナ禍で「自分の会社が嫌い」になった女性たちへ3つの助言【Waris 田中美和】

転職サービスの無料のキャリアカウンセリングは、当然のことながら「仕事紹介」や「転職支援」を前提にしたものですので、サービス登録後に希望しても全員が受けられるとは限りません。

また、マッチングにあたって適切な情報を収集する目的で実施しますので、相談者さんに寄り添ってイチからキャリアの棚卸しをしたり、「今後どうしたらいいんだろう?」という漠然とした悩みを相談する場にはなりにくい現実があります。

こうしたオンラインキャリアカウンセリングのような場で他者の手を借りて自分を見つめ直し、今後のビジョンを考えるのはおすすめの方法です。実際、『Warisキャリアエール』の利用者は6月に入り急増しています。

3)オンラインセミナー/イベントで視野を広げよう

コロナ禍がもたらした変化の一つがセミナーやイベントの「オンライン化」です。

もちろんこれまでもオンラインでのセミナーやイベントはありましたが、あくまでリアルなイベントがあった上での補足的な手段としての動画配信に過ぎないケースが大半でした。

しかし、今や新型コロナウイルスの感染予防を考慮すると、リアルよりもオンラインでのセミナーやイベントの方がより良いのは確かで、さまざまな企業・団体がオンラインセミナー・イベントを開催しています。

しかも、オンライン開催であれば、場所代などのイベント運営費用が低く抑えられることもあり、参加費無料のものが多いのもうれしいポイントです。

“いい辞め時”とはいつなのか。コロナ禍で「自分の会社が嫌い」になった女性たちへ3つの助言【Waris 田中美和】

開催テーマは「コロナ時代をどう生き抜くか?」といった大きなものから、「Withコロナ時代の広報に求められるものとは?」などの職種を切り口にしたもの、「ローカルと都市の関係から考えるアフターコロナの働き方」といったライフスタイルやワークスタイルをテーマにしたものなど多種多様です。

先日、私も「女性のセルフリーダーシップ」をテーマにしたオンラインセミナーに参加したのですが、講師は西海岸在住のアメリカ人女性で、アメリカはもちろん、日本、シンガポール、そして日本の中でも東京だけではなく関西や沖縄など多様なエリアから参加者が集まっていたのが印象的でした。

オンライン化することで、リアルではなかなか会えない人や知見に触れられるのは活用しないともったいない!

ぜひさまざまな考え方に触れて「これから自分がどうありたいか」「何をしていきたいか」について思いをめぐらすヒントにしてみてはいかがでしょうか。

人生100年時代、日本人女性は世界的に見て非常に長寿ですし、年金の支給開始年齢の引き上げなどもありえますから、私たちは70歳や75歳まで働く可能性を常に考えておく必要があります。

現在30歳の女性の場合、これからまだ40年(!)働き続けるわけですね。会社の寿命よりも個人の働く期間の方がずっと長い時代に私たちは生きています。

焦らず、じっくり、軽やかに。自分らしく私らしく働ける環境を探していきましょう。

(※1)一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「コロナ禍でのフリーランス・会社員の意識変容調査結果

田中美和

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和

大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事