14
JUL/2020

イーロン・マスクの母が語る「地獄だった20代」 72歳のトップモデル、メイ・マスクに学ぶ“人生を好転させる”ヒント

メイ・マスク、72歳、現役モデル。食生活コンサルタントとして働く傍らモデルの仕事を行い、59歳で白髪にしたことを契機にトップモデルになった。

プライベートでは3人の子どもと12人の孫に恵まれた。長男は宇宙事業関連のスペースXや電気自動車関連のテスラなどを経営する世界的に有名な起業家のイーロン・マスクだ。

そんな彼女の「#ItsGreatToBe72」(72歳って最高)のハッシュタグとともに更新されるInstagramの写真は、凛としていて、惚れ惚れしてしまう。

mayemusk

Woman type読者は20~30代の女性が中心。カリフォルニアに住む彼女とのオンライン取材冒頭でそう伝えると、「分かるわ、ハードな時期よね」と一言。

聞けばメイさんの20~30代は、「自信も自己肯定感も打ちのめされる、惨めな日々だった」という。

夫からのDV、離婚、シングルマザーとしての子育て。さまざまな苦難を乗り越え、自信たっぷりに、毎日をハッピーに生きる彼女が送る、ハートフルなメッセージをお届けする。

20~30代は「誰とでも仲良くしよう」と考えてしまう時期

20~30代は、女性にとって本当にハードな時期だと思います。なぜなら人生におけるレッスン期間だから。立ち振る舞いを学んでいる最中だからこそ、悪い状況に置かれても我慢してしまうんですよね。

例えば3日間のモデルの仕事があるとして、そこで関わる人がすごく意地悪であっても、今の私なら「3日だけだし、別にいい。この先はこの人と関わらないことにしよう」と割り切れます。

食生活コンサルタントの仕事でも、ずっと不満を言っている患者さんに対して、「そのままではあなたはずっとハッピーになれない。改善する気がないのであれば、もう教えるのを辞めます」とお断りをします。

私も忙しいですし、自分にとってマイナスな人に時間を費やして、惨めな気持ちにはなりたくないですから。

mayemusk
オンライン取材当日に更新されたインスタグラム

でも、同じことを若い頃にもできたかと言われると、少なくとも私にはできませんでした。

20~30代って、誰とでも仲良くしようと考えてしまう時期だと思います。身近に嫌な人がいたとしても、「何とか付き合っていかなければ」と我慢してしまう。

自分にとって相手の存在がストレスなのであれば、本当は距離を置いたり逃げたりした方がいいのに、それがなかなかできないんですよね。

21歳で結婚して始まった、地獄の日々

mayemusk

悪い状況から抜け出す技は、年齢とともに身に着くもの。私自身の20~30代を振り返っても、本当にひどい毎日だったのにも関わらず、随分と我慢をしてしまっていました。

私は21歳で結婚し、23歳からの3年間で3人の子どもを産んでいます。特に出産は全く私のプランにはなかったこと。まさに一晩で人生が変わってしまった(笑)

それからはとにかく忙しい日々でした。当時の夫の仕事を手伝ったり、子どもたちに食事を食べさせたり、お風呂に入らせたり。

そして同時に、夫からの暴力や暴言に耐え続ける、地獄の日々でもありました。

「醜い」「馬鹿だ」「つまらない人間だ」と言われ続けて、何度も打ちのめされてきました。そんな生活が10年続き、自信も自己肯定感も、全て失ってしまって。

このままでいいのだろうか。そう考え始めたのは、子どもたちが学校に通うようになった頃。少し自分の時間ができ、考える余裕ができたことで、ようやく子どもを連れて家を出ることを決意します。

そこから、私の人生は大きく変わりました。

mayemusk
3人の子どもたちと

どうにか夫から逃げるために、まずは南アフリカのプレトリアからダーバン(距離間約630km)へ、3人の子どもとともに引っ越し。

私は大人になってから8つの街に住みましたが、引っ越しは毎回、本当に大変です。新しい土地で仕事も人間関係も、全てゼロから始めなければなりません。

特にこの時は土地のことはおろか、どうやって生きていけばいいのか、全く分かりませんでした。当時は本当に貧しくて、外食や映画どころか、子どもたちの制服すら買えない状態で。

それでも、すぐに私の行動には価値があったと確信したんです。なぜなら、全然気持ちが惨めじゃなかったから

その後も離婚が成立するまで、夫に怯える日々は続きました。でも、少なくとも「地獄の日々がずっと続く」という、何の希望もない状況からは抜け出せたわけです。

変化を起こす勇気を持つのは難しい

その後も栄養学の勉強や、子どもたちのために、カナダのトロント、アメリカのロサンゼルス、ニューヨークと移住を繰り返しています。

私の著書のタイトルは『A WOMAN MAKES A PLAN』(日本版は『72歳、今日が人生最高の日』)ですが、これまで何もかも、プランを立てて生きてきたということではありません。大切なのは、不測の事態が起こったときにプランを練り直すこと

メイ・マスク
『72歳、今日が人生最高の日』(集英社)

もちろん今の状態に満足しているのであれば、そのままでOK。たとえ上司と合わなくても、家に帰ってハッピーだったらそれはそれでいいのかもしれません。

でも、毎日がつらいのであれば、「このままの人生じゃ嫌だ」と思うのであれば、やはり一緒に過ごす人や環境を変えなければいけない。

その一方で、変化を起こすには、相当な勇気が必要であることもよく分かります。追い詰められた状況に陥らなければ、その勇気はなかなか持てないものです。

今がどんなにひどい状況であっても、そこから逃げ出したときに何が起こるかは分かりませんし、うまくいくとも限りません。

環境が変わることで、自分自身を失ってしまったような気持ちになることもあるでしょう。そもそもどう行動を起こしたらいいのか、分からないこともあると思います。

だからこそ、変化を起こすのはすごく怖いんですよね。

例えば、私が食生活コンサルタントとしてサポートをしている患者さんに、職場の同僚へのストレスから、ひどい食生活を送ってしまっている女性がいました。

私がアドバイスしたのは、とにかく職場環境を変えること。実際に彼女は人事に相談して、同僚を変えることに成功。楽しく仕事ができるようになり、食生活も改善しました。

彼女にとって職場環境の改善を訴えることは、仕事を失うかもしれない恐怖が伴ったはず。それでも行動を起こせたのは、その時の彼女が全然ハッピーじゃなかったからだと思います。

あなたはいつだって、違う選択肢を選べる

私自身も限界まで追い詰められて初めて、そこから抜け出すことができました。プランを練り直して方向転換をするのに、10年もの時間がかかってしまった。

ただ、振り返って思うのは、「もっと早くあんな状況からは脱するべきだった」ということ。失った自信を取り戻すには、やはり変化が必要です。

周りの誰かがあなたの自信や自己肯定感を損なうような言動をしているのであれば、そこから逃げましょう。「そのままのあなたでいいんだよ」と言ってくれる人を見つけて、そういう人たちと付き合ってください。

たとえ今のあなたにとって、付き合う人を選んだり、変化を起こしたりするのが難しかったとしても、新しくプランを練り直して、惨めな状態から抜け出すことは必ずできます。

あなたはいつだって違う選択肢を選べるし、それを試すこともできる。そのことを忘れないでください。夫とうまくいかなかったり、仕事が合わないと感じてしまったりしたときは、状況を変えたっていいんです。

もちろん他のことを試した結果、うまくいかないこともあるかもしれない。つらい気持ちになるかもしれない。でも、もっと楽しい人生が待っている可能性は大いにあります。

若い頃の私の人生は本当に悲惨でしたけど、72歳になった今は最高にハッピー。

私の本が「幸せになれるんだったら変化を起こしてみようかな」という、皆さんの希望や心の支え、そして何かしらのヒントになってくれることを願っています。


mayemusk

【Profile】
スーパーモデル/食生活コンサルタント
メイ・マスク(Maye Musk)

1948年4月19日生まれ。現役スーパーモデルとして活躍する傍ら、栄養士の資格を持ち、食生活コンサルタントとしても働く。宇宙関連を経営としたスペースX社の共同設立者およびCEO、テスラの共同設立者およびCEO、テスラの子会社であるソーラーシティの会長を務めるイーロン・マスクを長男に持ち、同じく経営者の次男キンバル・マスク、映画監督の長女トスカ・マスクを女手一つで育てる。インスタグラムのフォロワーは30万人以上。数々の雑誌で表紙を飾り、70代を迎えてからもますます仕事の幅を広げている
◆インスタグラム:mayemusk
◆Twitter:@mayemusk
◆OfficialHP:https://www.mayemusk.com/

取材・文/天野夏海 企画・編集/栗原千明(編集部)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Woman typeの最新情報をお届けします

あわせて読みたい記事

85歳・世界最高齢モデルが語る「愛と感謝」に満ちた70年の仕...

85歳・世界最高齢モデルが語る「愛と感謝」に満ちた70年の仕...
生きる伝説としてモデル界のトップに立ち続け、今なお引く手あまたのカルメン・デロリフィチェさん。「若さ」がもてはやされる業...

【夏木マリ】「できないことを死ぬまで探し続けたい」くすぶって...

【夏木マリ】「できないことを死ぬまで探し続けたい」くすぶって...
各界のプロフェッショナルたちの“仕事へのこだわり”を明らかにしていく連載【プロフェッショナルのTheory】。今回は、女...

【日本溺愛イタリア人】ラ・ピーナが語るTOKYO女子の魅力と...

【日本溺愛イタリア人】ラ・ピーナが語るTOKYO女子の魅力と...
イタリアで大人気のラジオDJ/ミュージシャン、ラ・ピーナさん。彼女の著書『I LOVE TOKYO』は、イタリアで5万部...

「幸せよりも、夢中になれることを探しなさい」少女漫画家・大和...

「幸せよりも、夢中になれることを探しなさい」少女漫画家・大和...
時代を越え、漫画を通してさまざまなヒロインを生み出してきた大和和紀先生。昨年画業50周年を迎え、『はいからさんが通る』が...

あなたにオススメの記事