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AUG/2020

料理も仕事も「ちょっとの丸暗記」で驚くほど楽しくなる。クックパッド小竹貴子さんに聞く“自分らしく働く”を叶えるヒント

毎日の食事こそおいしいものを楽しみたい。でも、毎日のことだから手間をかけるのは面倒――。

手早く、おいしい料理を作るコツは、「ちょっとの丸暗記」と話すのは、料理レシピ投稿・検索サービス『クックパッド』の編集担当本部長・小竹貴子さん。

小竹貴子さん
クックパッド株式会社
コーポレートブランディング・編集担当本部長
小竹貴子さん
1972年石川県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。株式会社博報堂アイ・スタジオでWebディレクターを経験後、2004年有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)入社。広告主とユーザーのwin-winを叶えた全く新しいレシピコンテストを生み出す。06年編集部門長就任、08年執行役就任。09年日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2010」を受賞。12年、クックパッド株式会社を退社、独立。16年4月クックパッドに復職、現在に至る。また個人活動として料理教室なども開催している。シンプルでおいしく、しかも手順がとても簡単なレシピが大人気で、生徒から「料理のハードルが低くなった」「毎日料理が楽しいと感じられるようになるなんて」の声多数

小竹さんの最新著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』(日経BP)では、「味つけの基本はすべて大さじ1」など丸暗記ポイントを紹介し、料理が楽しく得意になるコツを伝授してくれている。

実は、この「ちょっとの丸暗記」スタイルは、仕事にも応用できるという小竹さん。料理と同じように、毎日の仕事が楽しく得意になるコツを聞いた。

味つけは「適量」ではなく、すべて「大さじ1」が基本

料理に関わる仕事をしていると、世の中には、料理が好きで得意な人ばかりではないことを痛感します。「料理は嫌いではないけれど、ちょっと苦手」だとか、「毎日忙しくてなかなかできない」という人も多いのです。

小竹貴子さん

私自身も20代半ばまでは、ほとんど料理をしていなかったので、その気持ちはとてもよく分かります。毎日のことだから、手の込んだことばかりするのは面倒ですし、かといって、美味しくなくては楽しくない。

『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』は、そうした「好きだけど苦手」「できない」という人たちに向けて作った本です。

私の経験から見出した、手を抜いても美味しくなるいくつかのポイントを丸暗記してもらうことで、料理のハードルを下げることを目指しています。

そのために意識したのは、押さえるべきポイントを、思い切りシンプルに言い切ってしまうこと。

例えば、料理が苦手な人たちにとって、「適量」とか「少々」という言葉はとてもやっかいです。適当にアレンジしていい部分なのか、きっちり押さえておかなくてはいけない部分なのか、レシピを見てもよく分からない。

でも、私の料理の味つけは、すべて「大さじ1」が基本になっています。

サラダなら「オイル1:お酢1」、和食なら「しょうゆ1:酒1:みりん1」が基本の比率なので、これを丸暗記すれば失敗なしで、いろいろな料理が作れます。

一般のレシピ本とは違って、基本的な考え方を説明しながら、丸暗記ポイントを一目で分かるようにまとめたので、ある男性読者は「受験の参考書みたい」だと仰っていました。言われてみれば、確かにその通りですね。

まあ、受験よりは覚えることは簡単で、一回覚えるともうレシピを見なくても作れるようになるんですけど。

他にも、「これでいいんだと思えるようになった」「もう一度料理をやってみようという気持ちになれた」などの声が多く寄せられました。この本をきっかけに、たくさんの方が実際に一歩踏み出してくれたようで、うれしかったですね。

基本の型と自分らしさは、明確に分けて考えてみる

「ちょっとの丸暗記」のベースにあるのは、押さえるべき部分と、曖昧な部分を明確に切り分けて考えること。言い換えれば、絶対に外せない基本の型、ルールのようなものと、自由にアレンジしていいクリエーティブな部分とを区別するということです。

小竹貴子さん

例えば、切り方、火を入れ方、味つけなど、料理をする上で必要な基本的なスキルがあります。これについては、ポイントを押さえて丸暗記してしまうほうが手っ取り早い。

一方で、材料の色合いを揃えたり、器を変えてみたり、自分らしさを発揮する部分は、思い切り自由に遊べばいい。

実はこの考え方は、仕事にもそのまま当てはまります

例えば、自分らしさを発揮することばかり考えていて、「自分はこうだから」「私はこうしたい」という主張はするけれど、ビジネスの基本ルールや作法を知らない。そういう人のところに、楽しい仕事は舞い込んでこないでしょう。

今の時代は、とかく「自分らしさ」が求められがちです。

会社に入ったばかりの人でも、いきなり「あなたは何がしたいの?」と聞かれたりします。すると、「自分らしさ」こそが大事なことなんだ、と感じる人も多いかもしれません。

もちろん、一人一人がいろいろな選択肢を持ちながら、自分らしく働いていくのは素晴らしいことです。ただ、ビジネスをする上での「基本の型」はやっぱり必要だと感じます。

まだキャリアの浅い20代の人の中には、この二つのバランスがとれなくて、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。そういう人には、基本のビジネススキルを「ちょっと丸暗記」することをお勧めします。

まずはお手本を真似することから。「自分らしさ」は後からついてくる

では、何を丸暗記すればいいのか。まずは周囲を見渡して、「この人すごいな」「このやり方はいいな」と思ったものを、ひたすら真似することから始めてみてはいかがでしょうか。

小竹貴子さん

私自身も料理を始めたばかりの頃は、栗原はるみさんのレシピ本をまるまる1冊、何度も何度もレシピ通りに作って丸暗記しました。

仕事でも同様です。まだ3人しか社員がいなかったクックパッドに入った頃は、手取り足取り仕事を教えてくれる上司はいませんでした。

なので、目の前の仕事で成果を出すために、社外の人でも誰でも「これは」と思うやり方を見つけてはひたすら真似をしていきました。その中で、これは使えるというものを自分のものにしていきました。

だから私にはロールモデルがたくさんいます。振り返ればその経験が、今の自分をつくってくれたように思います。

手当たり次第に真似をして、成功と失敗を繰り返す中で、基本スキルは自然と身に付いてくるものです。すべてレシピ通りに覚えなくても、料理でいう「大さじ1」さえ押さえておけばいいんだ、というような大切なポイントも次第に分かってきます。

小竹貴子さん

本当に大切なことというのは、料理も仕事も実はそれほど多くあるわけではないのです。

仕事に関して言えば、報告、連絡、相談をするとか、毎日きちんとメンバーにあいさつをするとか、まずは、ごく当たり前のことをしっかりとできるようになることを目指すことが大事。

自分らしさは、その後から追い求めていっても遅くはありません

重視すべきは、「基本の型」と「自分らしさ」この二つのバランスだと思います。基本スキルを身に着ければ、仕事ができるようになる。そこに自分らしさが加えると、さらに仕事が面白くなる。

基本スキルと自分らしさの両方を備えてこそ、毎日の仕事で着実な成果を上げ、楽しく働いていくことができるようになるのではないでしょうか。

取材・文/瀬戸友子 撮影/赤松洋太


著書情報

ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる

ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる(日経BP刊)

料理が楽しく・得意になるには、おいしくつくれることが一番の近道です。クックパッドの立ち上げメンバーとして、さまざまなレシピに触れ、自ら料理してきた小竹貴子さんが「手を抜いてOKなところ」「こだわった方が良いポイント」を簡単なルールにして解説。「調味料はすべて大さじ1」など、ちょっとの丸暗記で日々の料理が楽しく、おいしくなります。

価格:1,650円(税込)
発行日:2020年6月1日

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