妊活、出産を経て仕事観はどう変わった? 40代ワーキングマザーが「結婚を先延ばしにするほど仕事中毒だったころ」を振り返る

20代後半の女性たちがよく口にする、「30歳になっちゃう」という言葉。なぜ私たちはこんなにも30代になるのが怖いのだろう?
これからの人生について、一人であれこれ悪い想像をしてしまうから? それなら、少し先の未来を歩く先輩たちが、何に悩み、何に喜びながら30代を過ごしてきたのかを知れば少しは不安がなくなるかも。すでに30代を乗り越えた“40’sウーマン”たちが語る等身大の言葉に耳を傾けてみよう。

妊活、出産を経て仕事観はどう変わった? 40代ワーキングマザーが「結婚を先延ばしにするほど仕事中毒だったころ」を振り返る

アメリカンホーム保険会社(アメリカンホーム医療・損害保険(株))
スポンサーマーケティング本部 業務サポート室部 代理店サポートユニット
ユニットマネージャー
佐古順奈さん(43歳)
1971年生まれ。大学卒業後、新卒でアメリカンホーム保険会社入社。契約管理部門に配属となり、申し込み書類の確認など営業の事務サポートを担当する。34歳の時、同社が外資系保険会社保有の保険契約を買収する際に実施された1年間の契約移行プロジェクトに参画。その後、営業サポート部門内の代理店支援を手掛けるチームにてリーダーを務め、2007年に課長職に相当するユニットマネージャーに昇進。私生活では35歳で結婚、40歳で第一子を出産

30代前半まではとにかく仕事一辺倒
結婚はついつい先延ばしに

新卒でアメリカンホーム保険会社に入り、今年でちょうど20年になります。自分でもこれほど長く勤めるとは思っていませんでした。入社したころは、「これから数年は仕事を頑張って、27歳くらいで結婚して、30歳までに出産して、もしかしたら仕事を辞めて専業主婦になるかもしれないなあ」なんて思っていましたから。ところが、結婚する気配が全くないまま20代が過ぎ、気が付けば30代になっていた(笑)。結局、私が結婚したのは35歳の時で、出産したのは40歳です。

結婚が後回しになったのは、とにかく仕事が楽しかったから。職場の人間関係にも恵まれて、20代のころは仕事で苦労した記憶がないほどです。最初に配属されたのは、営業の事務サポートを担当する部署でしたが、異動がないまま30代になったので、当然ながらその分野の業務知識も身に付くし、周囲の人から質問や相談を受けたことにも答えられるようになります。同世代の女性の同僚は結婚や出産で辞めてしまうことも多かったので、残った私は皆から頼りにされるのがうれしくて、ますます仕事にのめり込むようになりました。当時もお付き合いしている男性はいましたが、仕事があまりに楽しくて、相手が結婚の話を持ち出しても、「まだしばらくはこのままでいいや」と断っていたんです。

10年近く同じ部署で仕事を続け、そろそろ新しいことにチャレンジしたいなと思っていた34歳のころ、私の勤める会社がある外資系の保険会社が保有する保険契約を買収することが決まり、 契約管理を引き継ぐプロジェクトに参加することになりました。1年間にわたってその外資系保険会社(保有契約買収後はアメリカンホームの横浜プロセッシングセンター)に常駐し、毎晩遅くまで残業が続くハードな仕事でしたが、それがまた楽しかった。プロジェクトに参加したのは初めてだったので、チームの仲間と力を合わせて、目標へ向かって頑張るという体験が私のモチベーションにさらに火をつけてしまったんですね(笑)。そのころ、すでに今の主人と交際していましたが、例によって「仕事が忙しいから」と結婚はついつい先延ばしになりました。

出産のタイムリミットに気付き
37歳で本格的に妊活を始める

妊活、出産を経て仕事観はどう変わった? 40代ワーキングマザーが「結婚を先延ばしにするほど仕事中毒だったころ」を振り返る

ただ、そのプロジェクトをやり遂げ、仕事のペースも以前と同じくらいに落ち着いた時、ようやく「そろそろ自分のことを考えた方がいいのでは」と思うようになったんです。最大の理由は、出産のタイムリミットが迫ってきたことでした。そのことに、本当はもっと早く気付くべきだった。これが私の30代における最大の反省点です。こうして35歳で結婚、37歳で妊活を始めましたが、お医者さんにも「もう少し早く来るべきだったね」と言われましたし、実際に妊娠するまで2年近くかかってしまいました。ただ、これは今振り返るからそう思えるのであって、その渦中にいる時はなかなか気付かないものです。30代半ばまでの私は、「仕事に100%の力を注ぐのが当たり前」だと思っていたし、そんな生活を純粋に楽しんでいましたから。

子どもを産むまでに、仕事に全力投球してきたことは決して無駄ではなかったと感じています。時間を自由に使えるうちに、「これが自分の限界だ」と思えるくらい仕事を頑張った経験があれば、それが結婚・出産後も働き続ける自信につながるからです。

私は35歳の時に課長職に相当するユニットマネージャーに昇進し、現在も職場では管理職としての責任を負っていますが、1年前に育休から復帰してからはずっと、9時から15時までの時短勤務を続けています。限られた時間内でリーダーとしての仕事を果たし、育児と両立するのは簡単ではありませんし、現在の職場の皆の協力があってのことはもちろんですが、私が何とか踏ん張れているのは、独身時代に限界まで頑張った経験があるからです。特に外資系保険会社のプロジェクトをやり遂げたことは私にとって大きかった。だから今、大変なことがあっても「あの時もちゃんと乗り越えられたんだから大丈夫」と思えるのです。

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