「最後の転職にしたかった」30代、三児の母の決断。飲食業界からの未経験転職で安定・やりがい・家庭との両立すべて叶えられた理由
新型コロナショックの影響で、生命保険のニーズが高騰。コロナ禍の影響を受け、保険営業職の働き方も大きくアップデートされている。そこでこの特集では、識者・人事・営業職として活躍する女性たちへの取材を通じ、保険業界の女性活躍の実態、仕事の醍醐味を探っていく――
飲食業界から保険業界へ転職した中口裕子さん。子ども3人を育てながら長く働ける環境を求めていたことに加え、保険を提案するという仕事そのものに強く共感したことが転職を決めた理由だったそう。彼女が感じている、現在の仕事の魅力とは?
子育てと仕事の両立に限界。「生涯働ける職場」を求めて転職
――前職は飲食業界に勤務されていたそうですね。なぜ転職しようと考えたのですか。
中口:私は子どもの頃から人と接する仕事がしたいと思っていました。高校や短大時代にはカフェやパン屋さんでアルバイトを経験し、「人にこんなにも喜んでもらえる仕事があるのか」と感激したんです。それで飲食業界に就職し、和食店の店長や食品販売の仕事に情熱を持って取り組んできました。
ただ前職時代に結婚し、2度の育休を経て3人の子どもを育てるようになったことで、働き方を変えたいと思うようになりました。当時は食品販売店の店長職を任されていたのですが、子どものお迎えのために店の営業時間中に仕事を抜けなければいけないし、店が忙しい土日も常に出勤できるわけではない。それでシフト制の働き方に限界を感じるようになり、転職を考えるようになりました。
――なぜ転職先に生命保険会社を選んだのでしょうか。
中口:私はこの転職を最後にしたかったんです。次の職場は子育てをしながら長く働ける環境を最優先に選びたい。だから転職先を選ぶ際は、「シフト制ではないこと」「9時~17時の仕事」「土日休み」などたくさんの制約がありました。
転職サイト『女の転職』にこれらの条件をつけて登録したらさまざまなオファーを頂いたのですが、なかなか引かれるものがなくて。ただ保険営業職の情報を目にした時、漠然とですが「自分がやりたいことに近いのではないか」と感じたんです。保険のことはよく知りませんでしたが、もともと人と接するのが好きで営業には興味がありましたから、話だけでも聞いてみようかなと。
それでオファーをくれた三井住友海上あいおい生命の担当者に会うことにしました。そこで営業職に当たるライフ・コンサルタントの仕事について説明を受けたのですが、「なんて面白そうな仕事なんだ!」と思って。
――どんなところが面白そうだと思ったのですか。
中口:ライフ・コンサルタントは「お客さまの人生に寄り添う仕事」だという点です。そんな仕事って他にないですよね。何かの商品を売ることでお客さまの人生に部分的に関わる仕事はあっても、人生設計のお手伝いをして、その方やご家族の一生を支える仕事は生命保険の営業職しかありません。
もし私が独身の頃だったら、この仕事が面白そうとは思わなかったかもしれない。でも自分自身が結婚し、子どもも生まれて、「これからお金がどれくらい必要なのか」「仕事と育児を両立していけるのか」といったいろいろな悩みを経験してきたからこそ、困っている人や迷っている人の人生に寄り添い、一緒に支えていく仕事を面白いと感じたのだと思います。
――確かに、誰かの人生を長期的に支える仕事はなかなかありませんね。
中口:保険の仕事に関心を持った理由がもう一つあります。実は私が転職する2年ほど前、妹が交通事故に遭って重傷を負ったのです。今もまだ社会復帰できず、妹を支える家族全員が経済的不安を抱えて生活しています。
ライフ・コンサルタントの説明を聞いた時、生命保険があればこうした不測の事態に備えることができたのだと初めて知りました。もっと早く保険の知識を身に付け、もしもの時に備えていたら、妹には違う人生が待っていたのかもしれない。それが私にとっては衝撃で、自分たち家族が経験したようなことが二度と世の中に起きてはいけないと思いました。そのために私も頑張ってみようと思ったことも、保険の仕事を選んだ理由です。
――保険の役割や使命に共感できたことが、転職を決めた大きな理由になったのですね。
中口:病気や死亡といった“万が一”に備える必要性を説明する保険会社は多いのですが、三井住友海上あいおい生命は残りの“万が9999”もしっかり応援するという方針を掲げていて、その点にも共感しました。「子どもの教育費はどうしよう」「住宅ローンを借りられるのか」「老後資金が足りないかも」といった問題は、誰の人生でも起きることです。こうした人生の“万が一ではないこと”についてライフプランをきちんとご提案し、お客さまに喜んでいただいた上で、万が一にも備えてもらえる。そんな仕事は他ではできないと思い、この会社への転職を決めました。
「ライフプランの提案」が私たちの仕事
――販売職や接客のご経験はありますが、営業職は初めてです。不安はありませんでしたか。
中口:不安は少しありました。でも弊社のライフ・コンサルタントは同じグループの損害保険会社の代理店と提携して営業を行なうので、知人や友人などの「自己マーケット」だけに頼るのではなく、代理店を通じてお客さまにお会いできることが多いのは心強かったです。私は主に自動車販売店やハウスメーカーと提携して、車や住宅の購入を検討しているお客さまへの提案を行なっています。
それにもともとの性格なのか、いろいろな人に会ってご要望をお聞きし、それに応えるのは得意なんです。ただ最初の頃に一つだけ苦手だったのが、ライフプランをご提案した後に保険商品を紹介することでした。
――それはなぜでしょう?
中口:正直に言うと、私は100人のお客さまに会ったら100人全員に保険に入ってもらおうとは全く思わないんです。私がお会いするお客さまの悩みは、ほとんどが保険以外のことです。「家を買いたいので、資金計画の相談に乗って欲しい」「結婚を控えているが、どうやって家計管理をしていけばいいのか」といった悩みが中心で、まずはお客さまにライフプランをご提案することが私の仕事になります。それでお客さまは十分喜んでくださっているのに、「では保険の話を」とはなかなか言い出せなくて……。
でも今では必ず保険のご提案をするようになりました。それは私自身に「お客さまに幸せになって頂くには、万が一まできちんとケアしなければいけない」という使命感が生まれたからだと思います。その万が一は明日起こるかもしれないのに、お客さまが保険で備える機会を私が奪ってはいけない。そう思うようになりました。
ただし、「この保険商品はいかがですか」と無理に押しつけたりはしません。保険の基本的な考え方や入り方を説明した上で、お客さまの人生を支えるのに足りない部分があればそれに適した保険をご紹介しますし、すでに入っている保険商品がお客さまにぴったりであれば「それで十分なので新しい保険に入る必要はありません」とお伝えします。保険に入るか入らないかは、お客さまがお決めになることですから。それでも「中口さんから保険に入りたい」と言ってくださる方も多くて、とてもありがたく思っています。
――「100人全員に売ろうとは思わない」とのことでしたが、営業職ならノルマがあるのでは?
中口:会社から与えられるノルマはありません。もちろん査定の基準はありますし、数字は見なければいけませんが、どこまで頑張るかは自分で目標設定できるので、それもこの仕事の魅力だと感じています。
それに営業というと一人で頑張るイメージがあるかもしれませんが、私は上司や同僚にものすごく助けられています。お客さま先に同行してほしいとお願いしたら、皆さん嫌な顔一つせず自分の時間を使ってくれて。むしろ困ったことがあったら声を上げないと逆に怒られるくらいで、「ピンチの時はどんどん手を上げなさい」と言われます。私がこうして仕事を続けられているのが、いつも助けてくれるチームの力があってこそです。
「固定給+業績給」で手にする安心とやりがい
――保険営業職は業績によって収入が左右されやすく、給与が安定しないというイメージを持つ人もいます。この点についてはいかがですか。
中口:弊社の報酬制度は「固定給+業績給」なので、大きな不安はありませんでした。他社はフルコミッション(完全歩合制)のところもありますが、私たちは業績に関わらず毎月一定の収入が得られます。特に新人の頃は自分がどれくらいの業績を上げられるか分からなかったので、最初は苦しい時期があったとしても、収入がゼロにならなければ生活していけるだろうという安心感がありました。
業績給については、3カ月ごとに更新される成果給や成果手当があり、さらに四半期ごとと年度ごとのボーナスがあります。頑張って数字をつくればお給料にその分が跳ね返ってくるので、ボーナスを多めにもらえるとモチベーションになりますね。今年1月には成績優秀者として会社から表彰される機会があり、頑張って良かったと思えました。
――転職の理由だった仕事と家庭の両立についてはうまくバランスを取れていますか。
中口:今の仕事は時間の使い方を自分で管理できるので、ワークライフバランスはとても取りやすいです。いつお客さまにお会いするか、どの時間に休憩を取るかといったことも自由が効きます。会社からは土日に仕事をしないように言われていますし、やむを得ない事情で週末に仕事をする場合も、必ず翌週の平日に振替休日を取らなければいけません。まだまだ取りたい資格があるので、勉強の時間を確保しやすいのも助かっています。
――コロナショックで対面での営業が難しくなっていますが、仕事に影響はありませんでしたか。
中口:お客さまとオンラインで面談する機会は確かに増えましたが、今は逆に、こんな時だからこそ直接会って話を聞きたいという方も多いんですよ。例えば住宅の購入を考えていて、通常なら資金面をそれほど心配しなくていいお客さまから、「コロナ禍の影響でこれからどうなるか分からないから、念のため相談したい」とご依頼を受けることもあります。先が見えない時期だからこそ、ライフ・コンサルタントに話を聞いてみたいというニーズは増えていると感じます。
――今後の目標を教えてください。
中口:ここまで情熱を持てる仕事は他にないと思っているので、できるだけ長く働きたいですね。子ども3人を育てながら、誇りとやりがいを持って仕事を続けていきたい。ライフ・コンサルタントの仕事を極めることが今の目標です。
この仕事はお金の勉強もできるし、普段なら出会えないような人に出会えて、子どもの教育のことや老後のことなど人生についていろいろな話をお聞きできます。それが自分の身になるし、仕事で学んだことを子どもに教えたり、自分の家族のために役立てることもできる。ライフ・コンサルタントは、私のような子育て中の女性にもぜひお勧めしたい仕事です。
取材・文/塚田有香 撮影/吉山泰義
>>三井住友海上あいおい生命保険株式会社 神奈静LC支社の求人はこちら
>>『女の転職type』保険営業など金融業界の営業系求人はこちら
『変わる、保険営業のシゴト』の過去記事一覧はこちら
>> http://woman-type.jp/wt/feature/category/work/insurancesales/をクリック