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JAN/2021

和田彩花が”アイドルらしからぬアイドル”を貫く明白な理由「批判されても、私らしさ出す」

和田彩花

私が女であろうが、なかろうが、
私がアイドルであろうが、なかろうが、
私の未来は私が決める

こんなことを口にせずとも叶えたいものだが、
口にしなければ未来を自分でつかむことは難しそうだ

だから、私は口にする
私の未来は私が決める
私は女であり、アイドルだ、

和田彩花 オフィシャルウェブサイトより


 

力強く、確固たる意志を感じるこのメッセージを発信するのは、和田彩花さん。職業は、アイドルだ。

和田彩花

10歳でハロー!プロジェクトのオーディションに合格して以降、14歳で『スマイレージ』(後の『アンジュルム』)の初期メンバーに。

その後、約10年にわたって、ハロー!プロジェクトの一員として、ステージに立ち続けてきた。

2019年6月、アンジュルムを卒業。個人で芸能の道を歩み始めた現在も、和田さんの肩書きは「アイドル」だ。

しかし、冒頭のメッセージからも分かる通り、彼女の在り方は世間が思う「アイドル像」には当てはまらない。

それでも「アイドル」でいることを貫く彼女に、その原動力を聞いた。

「誰かにとって都合のいい私」への違和感が膨らんだ

アイドルになったきっかけは、完全になりゆき。最初はただ、アイドルが好きなだけだったんです。

小学生の頃からハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)や浜崎あゆみさんのファンで、何度もライブに連れて行ってもらいました。

『ミニモニ。』のレッグウォーマーや厚底の靴を真似したり、浜崎あゆみさんのトレードマークだった尻尾みたいなチャームを着けてみたり。

でも、どうしてもアイドルになりたかったわけではなくて。当時は、これといった夢があったわけでもありませんでした。

家族が応募してくれたオーディションがきっかけでハロプロの研修生になったものの、気分は部活の延長線。デビューを意識することもなかったですし、何よりも人前で歌ったり踊ったりすることが恥ずかしくて仕方がなかった。

和田彩花

意識が変わったのは、デビューしてからですね。特に、20歳を過ぎてから。どんなアイドルでいたいのか、どんな活動がしたいのか、自分でちゃんと考えるようになりました。

というのも、それくらいの時期から周囲でいろいろなコンセプトのアイドルの子が活躍するようになっていたんですよ。レトロポップな子、大人な雰囲気の子、奇抜な子……。アイドルの細分化が一気に進んだ時代でした。

アイドルにも個性があっていいんだ」、と思えるようになり、「自分はどうしたいのか」を考えるようになっていったんです。

和田彩花

デビューしたての頃は、衣装のスカートが短くたって「おしゃれな衣装が着られてうれしい」と無邪気に喜んでいました。

でも、そこにあるのは誰か――さらに言えば、特定の性別の誰かにとって都合のいい私だったのかもしれない。

そう気付いてからは、「舞台の上で歌って踊るきらびやかなだけの存在」という、アイドル像に違和感を抱くようになりました。

アイドルが主体性を持つと批判される異常さ

皆さんは、エドゥアール・マネの『死せる闘牛士(死せる男)』という絵画をご存知でしょうか? 以前この作品を観た時に、すごく衝撃を受けたんですよ。「絵画とはきれいなもの」という固定概念が180度覆されて、これはアイドルにも言えることじゃないか、と思って。

私が普段アイドルとして活動していて時々感じていたのは、「アイドルは意見を持つ必要はない」、「いつも笑顔でいて、人が望むことに応えて」、そういう圧力です。

例えば、私がフェミニズムやジェンダー問題について発信すると、批判の声が寄せられることがあります。

それに、「自分の考えをカタチにしていきたい」と語れば、「ただ笑顔で歌っている姿が見たい」というコメントが付くことも。

和田彩花

思ったことを言葉にして伝えているだけなのに、アイドルである私が「主体性」を持っていることがどうしても気に入らない人がいるようです。

「そんなに不満なら、“アーティスト”になれば?」という意見もあるかもしれません。

ですが、どうしてアイドルだとそれができないのでしょうか。アイドルには、誰かが用意したステージで歌って踊ることしか許されないのでしょうか。そんなことはないはずです。

これは、「女性であることの不自由さ」にも通じる話ですよね。「女なんだから、意見を持つな」「人が望むことだけをして」というのは、違和感があります。

「らしさ」にとらわれ続けるのは、私の生き方ではないなと思いました。

だから私は、アイドルという立場で声を上げ続けたいと思っています。誰もが自分の個性を押しつぶさずに生きていける未来をつくるために。

強くない私が、強くいられる理由

とはいえ、私も強い人間というわけじゃない。

声をあげたときに叩かれたり、否定的な意見を浴びせられたりすれば、悲しくなるし、気持ちが折れそうにかることもある。世の中が求めるアイドル像とのギャップに苦しむこともあります。

和田彩花

そんな時に自分を支えるために大事にしていることは、「辛い」という気持ちを無視しないようにすること。

辛かったからといって忘れようとしたり、軽く流したりしない方がいい。心の中でずっと大切にとっておけば、きっと何かのきっかけで救われる時がきます。

例えば、本を読んだり、美術作品を観たりして、何かをインプットした時。「あぁ、あの気持ちはこういうことだったんだ」って気付く時がきて、そこで折り合いがついたりすることもあります。

和田彩花

「こうあるべき」というしがらみに対抗し、選択肢を増やそうとするのは大変なことかもしれない。それでも、声を上げ続ければ、同じ考えを持つ人とつながることができる。仲間が増えるほど、気持ちも強くいられますね。

例えばInstagramでフェミニズムやジェンダーに関するメッセージを発信すると、韓国やメキシコなど海外の方からも「勇気をもらった」「応援しているよ」ってコメントをいただけることがあるんです。

だから、もし何かに辛い思いをしている人がいるならば、「一人じゃないよ」と伝えたい

世の中には同じ思いを抱えている人がきっといるし、その思いが届くように、私はこれからも「アイドル」として発信を続けていきます。

<プロフィール>
和田彩花

1994年生まれ、群馬県出身。2009年4月にアイドルグループ『スマイレージ』(後に『アンジュルム』に改名)の初期メンバーに選出され、リーダーに就任。10年5月『夢見る15歳』でメジャーデビューし、同年「第52回日本レコード大賞」最優秀新人賞を受賞。17年からハロー!プロジェクトの6代目リーダーに就任する。19年6月18日をもって、アンジュルム、およびハロー!プロジェクトを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、美術史にも関心を寄せている。20年10月、Forbes Japanの『30 UNDER 30 JAPAN 2020』に選出
・オフィシャルウェブサイト:http://wadaayaka.com/
・Twitter:@ayakawada
・Instagram:ayaka.wada.official
・YouTube:Ayacho-Ayaka Wada
・Facebook:@ayaka.wada.official
・ブログ:和田彩花オフィシャルブログ

取材・文/石川 香苗子 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER) 編集/秋元 祐香里(編集部)

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