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MAR/2021

藤原しおり「芸人のくせに」という言葉が好きじゃなかった。国際女性デーに考える“脱・肩書き”の生き方

国際女性デー

3月8日は国際女性デー。女性を取り巻く環境について、世界中が思いを巡らせる日だ。

まだまだ日本は女性が生きやすいとは言えない社会だけれど、それでも私たちが豊かに、健やかに働いて、生きていくためにはどうすればいいのだろう。

そんな問いをこの人に投げかけてみた。

藤原しおり
藤原しおりさん
1990年、岡山県出身。2020年4月より「ブルゾンちえみ」から「藤原しおり」に改名。肩書きのない働き方を目指す。現在はYouTube、Instagramを中心に発信。雑誌のコラムも連載中。2021年、国際女性デーを記念したイベント『MIMOSA FESTA』のミューズに選出された

「ブルゾンちえみ」としてキャリアウーマンのネタで一世を風靡した彼女は、現在は本名の藤原しおりとしてマルチに活動中。環境問題やSDGsなどの分野への関心も寄せている。

「以前は、他人と自分を比べて落ち込んだり、嫌なことを引きずってしまうことが多かった」と明かしてくれたしおりさん。

コロナ禍の暮らしをきっかけに、ようやく「“今の私”にフォーカスできるようになった」と朗らかな笑顔を見せる。

なぜマインドが変わったのか。そこには、女性がハッピーに生きていくためのヒントがあった。

「これが121位の国か」女性がいない異常さに、気付けない自分がいた

3月8日は、国際女性デーですが、日本では最近「ジェンダーギャップ121位の国」を痛感する出来事がたくさんありましたね。

ジェンダー平等で先進国最下位というのは、すごく残念な結果ですけど、改めて気付かされたことがありました。

藤原しおり

それは、役職者に男性が多くても、それが当たり前だと思ってしまっていた自分です。

最近まで、「女性が少ないっておかしくない?」と、そもそも思えなかった自分がいて。これが121位の国か……と、恐ろしくなりました。

私は会社員として働いた経験はないのですが、思い返せばバイト先の飲食店の店長やオーナーはみんな男性だったんですよね。

もちろん、男性が多いから悪いと言いたいわけではなくて。性別、年齢、価値観など、社会が多様な人たちによって構成されているように、どんな組織もバランスが大事なんじゃないかなと思うんです。

特にコロナ禍が、あらゆる問題をセンシティブにしたように感じています。さまざまな社会課題が浮き彫りになって、みんながそれを放っておけなくなった。

そういう意味では、悪いこともめちゃくちゃあったけれど、コロナは社会が変わる良いきっかけにもなったと感じますね。

「そういう時代じゃないよね」は急に訪れる

藤原しおり

例えば、「不細工」「ブス」「デブ」みたいな言葉って、今はもう口に出すのも恐ろしくなりましたよね。

芸人の中ですら、容姿をいじるようなネタに対しては「まだこんなことをやるのか」って思うじゃないですか。でも、数年前までは容姿いじりも全然普通のことでした。

同じように、女とか男とか、性別に当てはめた発言をすることも、「もうそういう時代じゃないんじゃない?」って、急に変わる時が来るんじゃないかと思います。

とはいえ、社会が変わるスピードが緩やか過ぎて、うんざりする場面も多いですよね。それも分かります。でもね、少なくとも前より悪くなっていることはないと思うんですよ。

3歩進んで2歩下がるくらいのスピード感かもしれないですけど、確実に、ちょっとずつ、社会は進歩している。

藤原しおり

私たちが生きている間に変わらない部分もあるかもしれないけれど、その先の未来で同じことが起きないようにするのは、私たちのちょっとした言動の成果だと思います。

私はよく環境問題をダイエットに例えるんですよ。小さいことも、積み重なれば大きな変化になるっていうのが分かりやすいので。

「これでホンマに変わるんか?」みたいなことも、点と点で見るとすっごく大きな変化になっていたりします。#わきまえない女 のムーブメントもそう。

理不尽なことや嫌なこと、放っておけないことに対して、一人だけじゃなく、みんなの声が集まったから、大きなムーブメントになり、変化を生んだんです。

考えて、考えて、考えて。ようやくケセラセラになれる

理不尽なことに直面したらどうするか、ですか?

実は私、忘れられないタイプなんです。「寝たら忘れる」どころか、逆に寝むることができなくなっちゃう。「考えても意味ないよ」とか「ケセラセラ」って言われても、私は全然ケセラセラになれない(笑)

藤原しおり

だから、「現時点での私の意見はこうだ」って自分が納得できるまで、めっちゃ考え尽くします。

例えば、誰かに何か言われて傷ついたら、それに対して「でも、私はこうなんです」って反論する文章を考えるんです。

私は子どもの時から口喧嘩が苦手で、その場で言い返せないタイプでした。

でも、それが悔しいから、次に同じことがあったときにちゃんと意思表示ができるように、頭の中で自分の意見を固めるようになって。それを今も続けている感じですね。

そうやって自分なりの意見を考えて、日記に文字でしたためて、「もうこれ以上考えられません」ってところまでいって、ようやくケセラセラになれます。

「芸人のくせに」という言葉が大嫌いだった

藤原しおり

これまで私が特に悩んできたのは、一つの型にはめられることでした。肩書きで固定されて「芸人のくせに」って言われるのが本当に嫌だったんです。

「芸人って言ったって、あなたの持っているイメージと、私が持っているイメージは違うものなのに、なんであなたのイメージを押し付けてくるの?」って。すごくストレスでした。

でも、言われて傷つくっていうことは、そこが自分のネックになっているんですよ。

気になっていることをつつかれるから傷つくわけで。「これが今の私が向き合わなきゃいけないテーマなんだ」と思ったから、「芸人らしさ」や「芸人のくせに」っていう言葉についてはめちゃめちゃ考えましたね。

私の理想は、肩書きのない世の中に生きること。

初めて会った時に「芸人やってます」とか「編集者やってます」とか、そういう風に肩書きを言う方が分かりやすくはあるんですが、もうそういう価値観さえもなくなっていいんじゃないかな、と。

藤原しおり

だってみんな、いろいろしてるじゃないですか。会社員の方だって副業をしていたり、職業も一つじゃなくなってきて、肩書き一つじゃ言い表せなくなっています。

いきなり初対面の人に「好きな異性のタイプは?」って同性愛であることを前提に質問することが少なくなってきているように、「あなたの職業は何ですか?」っていう質問もしなくなっていくかもしれませんね。

相手を何かの型にはめることでしか理解しない、受け入れない世の中は、変わっていくといいなと思います。

隣の芝は常に青い。せめて「比べちゃってる自分」に気付いて

女だからどう生きるべき……っていう時代ではなくなりつつあるとはいえ、「何歳までに何をするか」っていう逆算があるのは、女性ならではの悩みですよね。どうしたって、出産適齢期というものは変えられませんから。

「気分的にはまだ独身でいたいけど、子どもを2~3人産もうと思ったら〇〇歳までには〇〇をして……」っていうタイムリミットがあります。

男性よりも、年齢を踏まえてライフプランを考えざるを得ない場面が多いのは事実です。

ただ、焦るっていう感情は本当にメンタルによくない。実際、2020年はたくさん焦って、すごく疲れたんですよ。

藤原しおり

当時は、「ブルゾンちえみ」を辞めてすぐにイタリアへ留学する予定でした。でも、コロナの影響で行けなくなってしまって。

最初は「何かしなきゃいけないのかな」と思いました。「コロナ時代をどう生きるかが今後の人生を左右する〜」みたいなフレーズを山ほど見て、私も焦っていましたけど、意味ないなって心底思いました。

それで、2021年の年越しのタイミングで、「よし、もう焦らないことにしよう」って決めたんです。すると、ずいぶん楽になりましたね。

特に、人と比べると焦ってしまう。でも、みんなの価値観が違う中で、誰かと自分を比べても、本当に意味がないと思うんです。

といっても、比べないのは無理。条件反射的みたいなものじゃないですか。だから、比較し始めちゃったときは「あ、ダメ! 比べないっ!」って自分に言い聞かせています(笑)。

藤原しおり
私、またやってる!って気付くことが大事

他の人を見て「私なんてあの人と比べたら全然だめだ」なんて落ち込んじゃうのが一番よくないから、まずは「比べてしまっている自分」がいることを自覚するのが第一歩になるんじゃないかな。

もしSNSを見て比べちゃうのなら、ミュートして見ないこと。意外と見なければ忘れるんですよ。

私は比較地獄から抜け出すために、インスタのフォローを一旦全部外したんですけど、そうしたら誰をフォローしていたかもう忘れちゃった(笑)

今は見たい情報があれば、名前とかキーワードで検索して見るようにしています。そうしたら、自分の心をざわつかせる情報を無意識のうちに見なくて済むじゃないですか。

日々、自分の中に入ってくる情報を整理しておくことは意外と大事ですよ。

「今を生きられるようになったのかもしれない」

藤原しおり

私は先々の計画を立てるのが好きで、目標があると頑張れるタイプ。だから、ちょっと前まで、今みたいな先が見えない状況がすごく嫌だったんですよ。

でも、私が留学しようとしていたイタリアの人たちは、「今を生きようよ」ってよく言うんです。

過去でも未来でもなく、「今を生きる」っていいなと思いつつ、私にとっては難しい考え方でした。でも、コロナ禍の暮らしの中で、段々と「目の前のこと」に焦点を当てられるようになってきました。

そうしたら、毎日がめちゃめちゃ楽しくなったんです。もしかしたら私、今を生きられるようになったのかもしれない。そう思えています。

私は今30歳。やっぱり焦る年齢だし、きっと皆さんもそうだと思うんですけど、もう十分頑張っているから、「何かしないといけないんじゃないか」「自分は怠けているんじゃないか」って、考えなくていいと思うんですよ。

コロナ禍で暇になっちゃった人もいるかもしれないけど、それはそれでいい。本来は、こうして生きているだけで、十分頑張っているんですから。目の前のことを楽しみましょ?

「十分頑張ってる」「焦らずいこう、マイペースに」って、私も自分によく言っています。

藤原しおり

コロナ禍に学んだことや、発見したことは、この先も忘れずにいたい。

私は最近、ようやく「今の私」にフォーカスできるようになりました。コロナ禍で時間に余裕ができて、自分が心から好きだと思えることや、やりたいことに向き合えるようになったんです。

例えば料理。私、料理は不得意だと思っていたし、自分は食に興味がない人間だと思っていたんですよ。前は、キャリアウーマンで生活感がないキャラでしたしね(笑)

でも、最近はめちゃめちゃ料理が好きなんです! 好きじゃないと思っていたことが急に真逆になって、「暮らしを楽しむ自分」っていう生活感のある新しいキャラクターを発見しました。

新しい自分に出会えてワクワクしているのは、コロナ禍での生活のおかげ。しんどいこともあったけど、取捨選択して削ぎ落として、やっと自分の好きなことが分かってきた感じです。

自分の中では今、かなり良いマインドで過ごせていますね。だから、この感覚を忘れずに、この先はやりたいことの濃度を濃くしていきたいですね。

藤原しおり
お花は昔から好き。部屋には一輪でもいいから、お花を飾りたい。お花屋さんに行ったときには、「今日はどの子を連れて帰ろ~かしら〜?」っていう感じでお店を探索します

イベント情報

『ラ チッタデッラ』が贈るミモザの祭典「MIMOSA FESTA 2021」
2/15(月)~3/7(日)開催中
>>詳細はこちら
2月25日に開催された「MIMOZA FESTA(ミモザフェスタ) 2021」のスペシャルトークライブには、今年のミューズに選ばれた藤原しおりさんが出席。ミモザカラーの華やかなワンピース姿で登場した。

取材・文・構成/天野夏海 撮影・編集/栗原千明(編集部)

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