ネット広告代理店、営業3年目「年収300万」は安過ぎ? 転職のプロが職務経歴書から適正年収を査定したら衝撃の結果が……!
働けども働けども上がらない給料。これって普通? 私のスキルが足りないだけ? そんな疑問を抱く女性たちの職務経歴書をキャリアアドバイザーが査定。適正年収と今後の年収アップの方法を、職種別に伝授します。さぁ、みんなの仕事の「真実の価格」はいくら?
今回キャリアアドバイザーが査定するのは、25歳・営業職Aさんの職務経歴書。Aさんは大学卒業後、都内の広告代理店に就職。今年入社3年目を迎えたところで、現年収は300万円だ。
Aさんの経験、スキルを見た時に年収300万は適正なのか……? さっそく職務経歴書の詳細と、査定結果を見てみよう。
【年齢】25歳 【性別】女性
【学歴】大学卒
【現年収】300万円
【職務内容】
大学卒業後、インターネット広告代理・コンテンツ制作会社に入社し3年間在籍(現職)。インターネット広告の法人向営業に従事
【担当業務】
新規開拓(TELアポ・飛び込み)/既存顧客フォロー/売り上げ管理/メンバー育成(同行営業・指導)
【取り扱い商品・サービス】
インターネット広告全般(バナー・アフィリエイト・SEM・SEO)/ 効果測定システムを使った運用支援/広告クリエーティブ制作
【営業スタイル】
新規顧客開拓(50%)、既存顧客への再開拓(50%)
【実績】
・20xx年 売上個人目標を105%で達成
・20xx年 売上個人目標を120%で達成
・20xx年 チームリーダーを担当(メンバー3名)
年収300万円は低過ぎる。Aさんの妥当な年収は400万円~
現年収:300万円
適正年収:400万円程度
若手で先輩のサポートのもとでなければ実績を出せていない場合や、目標達成ができない場合などは、年収300万円程度になることも。
Aさんは25歳と若く、現在勤めている企業も新卒入社。それを考えると、今の年収が極端に低いとは言い切れません。
しかし、職務経歴書の実績や経験で判断すれば、400万円程度が適正年収と言えます。
そう考える理由は、次の五つです。
①個人の売上目標で達成実績がある
Aさんは個人目標をしっかり達成していますし、年次を重ねる中で達成率もアップしています。
営業職として一定のスキルを持っており、周囲のサポートがなくとも個人の力で会社に貢献できる人である可能性が高いと推察できます。
②新規開拓と既存顧客へのアプローチのバランス感
営業の中にも「既存顧客への対応は担当していない」「新規開拓は苦手」という人は少なくありません。一方、Aさんはどちらも同じ割合で担当しています。
一連の営業プロセスを経験していることから、どのような顧客に対しても成果を出せる自立した営業であることが分かります。
③取り扱い商品・サービスが幅広い
取り扱い商品のラインナップを見ると、この会社が扱う幅広いサービスを手掛けていることが分かります。各社の課題に応じて適切な商品・サービスを選択し、提案できていることが伺えます。
④成長産業で実績を出している
インターネット広告は、コロナ禍以降もニーズの高い成長産業。利益率の高い業界でもあるので、給与水準も高いのが特徴です。
また、年功序列ではなく実績に応じて給与が支払われる能力給の会社も多い。20代半ばの営業職であれば、400~500万円くらいの年収を狙うことも可能な業界です。
⑤チームリーダーの経験がある
後輩指導に携わっているということは、人に教えられるだけのスキルと、そのポジションを任される信頼があるということ。
模範的な営業として会社から認められ、未来の管理職候補として期待されていると仮定すれば、その評価が給与にも反映されてもよいはずです。
現時点では、適正年収より100万円ほど低い給料になってしまっているAさん。
社内で年収アップのための交渉してみるのも一つの手ですが、交渉の余地がない場合、営業経験者として転職すればすぐに年収アップが叶う可能性が高いでしょう。
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【狙い目の業界・企業】
最も狙い目なのは、これまでの営業実績や身に付けてきた商品知識を武器に、同業界の企業へ転職すること。
今の会社より企業規模が大きい会社を選べば給与水準も上がりやすく、100~200万円ほど年収アップできる可能性があります。
他の業界が気になる場合には、成長性と利益率の高い業界を選ぶのがベター。
例えば人材業界などは全体的に年収が高い傾向にあるので、営業経験を生かして転職すれば業界未経験だったとしても年収アップしやすいです。
【選考でアピールすべきポイント】
営業職経験者が、選考時にアピールすべきポイントは大きく分けて三つ。「具体的な営業実績」「扱ってきた商品・サービス」「新規開拓経験の有無」です。
特に営業実績については、職務経歴書にも詳しく記載しましょう。
Aさんも達成率を記載していますが、可能であれば「いくらの目標金額に対して、どれだけの実績を上げたのか」まで明記できるといいですね。採用担当に、どの程度の仕事能力がある人なのか、イメージしてもらいやすくなります。
また、Aさんは後輩育成も担当しているので、チーム全体の達成率もぜひアピールしてほしいところ。「自分でも実績を上げながら、チームを率いていくことができる」という点は、管理職候補としてより高い年収を提示してもらえる可能性が出てきます。
今回は、営業職のAさんの職務経歴書を例に、適正年収と年収アップ転職を叶えるポイントをお話ししました。
営業職にとって、収入に直結する一番のポイントはやはり営業成績。ですが、それ以外にも給与に影響するポイントはたくさんあります。
新規開拓に自信がある人、後輩育成が得意な人など、あなたにも評価されるべき長所があるはずです。転職を考えた時には、ぜひそれらのポイントも積極的にアピールしてくださいね。
≪次回は販売職の女性の適正年収を考えていきます≫
取材・文/上野 真理子 編集/秋元 祐香里(編集部)