バイト、派遣を転々……“スキルなし人間”だった私が未経験でエンジニアになれた理由「やっと、自分を好きになれました」
この連載では、さまざまな働く女性たちが「なぜ今の仕事を選んだのか」にフォーカス。自分と同世代の女性たちの仕事観をのぞき、自分の目指すキャリアを明確にするための材料にしてみよう!
コロナ禍、世の中の不安定さが増していく中で、これから先も長く働き続けていくための武器となる「手に職」の大切さを痛感した人は多いのではないだろうか。
システム開発・ネットワーク・インフラ構築などを手掛けるワークスアイディで働く山本奈央さんも、「手に職」を求めて転職に踏み切った一人だ。

ワークスアイディ株式会社
チーフ
山本奈央さん
1993年生まれ。短大中退し、コールセンターでのアルバイトを1年間経験。その後、派遣スタッフとして複数のコールセンターで勤務。2018年7月にワークスアイディ株式会社にITエンジニアとして入社し、20年4月より現職
山本さんが選んだ仕事は、エンジニア。数ある仕事の中から、「自分にぴったりの手に職は、エンジニアだ」と考えたのだという。
なぜそう思ったのか、そして「手に職を磨く場」としてなぜ現在の会社を選んだのか。山本さんの“シゴトジャッジ”の軸について詳しく聞いた。
職場を転々とする中で募ったキャリア不安
「とにかく、手に職を付けたかったんです」
エンジニアを志した理由を尋ねると、山本さんは即座にそう答えた。
山本さんのキャリアのスタートは、コールセンターのテレフォンアポインター。アルバイトでの雇用だった。その職場があまりにも激務だったため、入社1年で逃げるように転職。その後は派遣社員として働いた。
「そろそろ正社員になりたい」と思うようになったのは20代半ばのころ。とはいえ、これといったスキルもなく、「手に職を付けなければ」という危機感が湧き上がってきた。
「アルバイトや派遣としていろんな職場を経験するなかで、クリーンな企業ばかりではないということを身をもって学びました。なので、仮に何があってもすぐに次の場所に移れる状態にしておきたいな、と思ったんです。
そのためには、どこでも働けるようなスキルが必要ですよね。だから、就職先を探した時にも『手に職がつくこと』を最重視しました」
山本さんが「手に職」にこだわったのには、もう一つ理由がある。医療従事者として働く母の背中を、幼いころから見てきたことだ。
「日勤も夜勤もこなす母の姿を見て育ったので、自立した女性への憧れがあったのかもしれません。
それに今は、女性だからといって結婚して養ってもらうことがスタンダードな時代ではない。『自分のことは自分で食べさせていきたい』と考えていました」

「これから先、時代がどんなふうに変わろうと自力で生き抜く力が磨かれるような仕事を見つけたかった」と山本さんは当時の心境を振り返る。
その中で、エンジニアという選択肢が彼女の頭に浮かんだのはなぜだったのだろうか。
「自分の将来についてあれこれ考えていた時に、『食いっぱぐれるリスク』が低い職業は何かな、と考えたんですよ。
そこでぱっと思いついたのが、エンジニアでした。エンジニアは、自ら新しいものを生み出すことができる職業というイメージがあって。リモートワークもしやすいから、もし地方に住むことになっても場所を問わず働けるかなって」
エンジニアになりたい、と漠然と思うようになった山本さんの脳裏に浮かんだのはコンピューター好きな父の姿だった。父親の影響もあり、ITやWebは昔から身近な存在だったのだ。
「他の仕事も検討したのですが、どれもピンとこなくて……。事務職はルーティンワークのイメージがあったので私には向かない気がしたし、接客業や営業職はうまくできる自信がない。
実は、コールセンターでもIT関連の案内業務を経験していたので、エンジニアだったら『自分にもできるかも』という気がしたんです」
単純ですよね、と、山本さんは笑った。

未経験入社からわずか半年でつかみとった開発デビュー
山本さんのエンジニアとしてのキャリアは、思いも寄らないところからスタートすることに。派遣先のコールセンターに常駐していたエンジニアから「うちの会社で働いてみたら?」と誘いを受けたのだ。
その会社こそ、今山本さんが勤めているワークスアイディだった。
「エンジニアになりたい思いはあるものの、私には学歴も経験もない。門前払いされてしまうのでは、という不安もありました。
でも、『未経験で入社している人もいるから大丈夫だよ』という言葉に背中を押されて、チャレンジを決めたんです」
緊張しながら臨んだ面接は予想外にフランクで、無事採用。「研修で基礎から学べる」と聞き、安心したと当時を振り返る。
さらに、エンジニアという仕事について知れば知るほど、「自分にぴったりだ」という思いが確信に変わっていった。
「エンジニアはいろんなプロジェクトに関わりますし、クライアント先に常駐することも多い仕事です。
私は新しいことを覚えたり挑戦するのが好きなので、理想的でした。ずっと楽しいこと探しを続けられる仕事なんだ、って。長く働き続けても、飽きることなんてないんだろうなと思います」

研修を経て最初に配属されたのは、大手設計事務所のワークフローシステム開発プロジェクト。テスト工程に携わる中で、山本さんの中で「私も開発をしたい」という思いが膨らんでいった。
「研修の時もプログラミングが一番楽しかったし、プログラミングスキルを磨けば『手に職』にもつながりやすいんじゃないかな、と思ったんです。
でも、研修を終えたばかりで実務経験もない自分が『開発をやりたい』と言ったところで、クライアントも納得しないだろう、ということも理解していました」
冷静に考えた山本さんが取った行動は、資格取得だった。通勤時間と帰宅後に独学での勉強を重ね、見事Pythonの資格を取得。勉強開始から3カ月、入社からわずか半年だった。
「資格を取って間もなく、当時アサインされていたプロジェクトのクライアントが『次は開発をやってみる?』と声を掛けてくださったんです。
そのプロジェクトの言語はJavaだったので、資格自体が評価されたわけではなかったのですが、『未経験から半年で資格を取った』『それだけ学ぶ意欲があるエンジニアなんだ』という点を見ていただけた結果だと思っています。
自らチャンスをつかめたことがうれしかったですし、着実に前に進んでいると実感できました」

受け身の仕事をやめたら、「働く楽しさ」に気付けた
アサインされたプロジェクトは取得した資格とは異なる言語だったものの「一つの言語をマスターすれば、他の言語に応用するのは難しくない」と山本さんは言う。
その言葉通り、山本さんはPythonやJavaに加え、C#などの言語スキルも身に付けて、さまざまな開発に携わっていった。もともとエンジニアリング未経験だった山本さんだが、意外にも、壁にぶつかることはなかったという。
「いつも近くにサポートしてくれる人がいたので、困ることはなかったですね。
特に、最初に入った開発プロジェクトには60代の超ベテランエンジニアから年の近い先輩、同僚まで、さまざまなメンバーがいたので、全員から学ばせてもらいました」
何よりも、「開発に携わるために」という思いが、山本さんの原動力だった。
「デビュー当初は右も左も分からなくて、慣れるまでは大変でした。
でもそれ以上に、知識やスキルが増えて成長していく実感が得られることがうれしかった。やりたい仕事ができることが、こんなに幸せだなんて思いませんでした」
さらに、エンジニアになったことで仕事に対する姿勢が変わり、働くことが楽しくなったと山本さん。
「振り返ってみると、アルバイトや派遣で働いていた頃はいつも受け身だったし、与えられた仕事をこなすことしか考えていなかった。
でも今は、自分が熱中できる仕事に取り組めているおかげで、もっとこうしたい、と能動的に動けます。『自ら身に付けてきた』と胸を張れるスキルがあるおかげで、自分に自信が持てるようになりました」

もともとは「手に職を付けたい」という思いから選んだエンジニアという仕事。その目的は達成されたか尋ねると、「7割くらいかな」と控えめな回答が。
「一人のエンジニアとして自走できるようになった実感はありますね。でも、まだまだできることはたくさんあるかな、って。
それに、エンジニアとしてのスキル以外にも、身についたものはたくさんあるんですよ。私はもともと人見知りが激しい性格でしたが、クライアントやチームメンバーなどさまざまな人とコミュニケーションを重ねていくうちに、人と接することが得意になりました」
思わぬ副産物に、山本さんは笑顔を見せる。
入社3年目の2020年にはチーフに昇格し、さらなる成長を目指す山本さん。最後に、今後の目標を次のように語った。
「フルスタックエンジニアみたいに、何でもできちゃう人になりたいんです。使う言語や役割にしばられることなく、『この案件、できる?』と聞かれたら『できますよ』と答えられるような。だって、それってすごくかっこいいと思いませんか?(笑)
できることが増えれば、その分楽しいことも増える。もっともっと楽しいこと探しを続けていきたいですね」
実際、入社後も自ら学び資格を取得するなど、着実に力を付けてくれています。未経験入社3年目でのチーフ昇格は弊社内でも早い方ですが、自発的に行動できる点が認められ、満場一致で決定となりました。未経験で入社してくる女性たちの良きロールモデルとしての活躍を期待しています。
ワークスアイディの女性に特化した新エンジニアリングスクール「Work Camp」、2021年冬スタート
2021年冬より、ワークスアイディ運営のエンジニアリングスクールが開始となります。
自社雇用を前提としたカリキュラムで、「ITとは?」という基礎知識から学ぶことに加え、「エンジニアとして就業する」というゴールにこだわっているからこそ、修了後はワークスアイディでの社員雇用を前提とした「学んで終わり」ではない新しいスクールです。
【コース紹介】
・1カ月コース
コミュニケーション研修、IT基礎力向上、ネットワーク基礎、インフラ基礎、開発基礎
1カ月コース受講後は、ワークスアイディでの雇用が前提となっています。
※コースの受講費に関しては現在調整中です。
詳しくは後日「Work Camp」特設ページにて公開いたします。
【対象者】
・IT業界未経験でも、エンジニアとして働くという意思/覚悟がある方
・就業のブランクがあってリチャレンジしたいと考えている方
≪他業種経験の方もチャレンジ可能!≫
ワークスアイディに在籍するエンジニア222名のうち、4割が女性です。活躍している女性の大半が元接客業経験者。アパレル、美容師、飲食業、旅行業などの経験者が多数在籍しています。
【入塾・受講フロー】
▼お悩み相談・就職前相談
▼入塾面談
▼審査実施
▼入塾・受講
▼自社雇用(受講のみ、雇用先紹介も可能です)
≪卒業後のポジション≫
・システムエンジニア
・プログラマー
・テスター
・PMO
・ヘルプデスク
・運用保守
【募集人数】
5名
※入塾面談を実施いたします
【受講期間】
2021年冬 月初1日から1カ月間
※週5日、1日あたり6時間(10時~17時)を予定
【場所】
ワークスアイディ株式会社 東京本社
東京都渋谷区渋谷2-15-1 渋谷クロスタワー23F
【問い合わせ先】
workcamp@worksid.co.jp
「Work Camp」ページについては、鋭意作成中のため今暫くお待ちください。
申込はページリリース後に開始予定。情報は随時更新いたしますので、詳しくはワークスアイディのホームページをご確認ください。
<ワークスアイディの過去の記事はこちら>
>>「プログラミング知識だけ」では実務で役立たない? 未経験“エンジニアデビュー”に必要なスキルとは
>>アパレル店員からエンジニアに転身。技術を学び続ける「つらさ」が「楽しさ」に変わったターニングポイント
★ワークスアイディ株式会社の求人情報はこちら
取材・文/上野真理子 撮影/明星暁子 編集/秋元祐香里(編集部)
『シゴトジャッジ・ルーム』の過去記事一覧はこちら
>> http://woman-type.jp/wt/feature/category/rolemodel/judge/をクリック