照明器具メーカー営業 林絵美さん/機械音痴なのに照明器具の営業!? 夢のためにたった一人で挑戦した日本支社の立ち上げ
仕事でもプライベートでも輝いている女性をクローズアップ! 自分らしいワーク&ライフスタイルで充実した毎日を送っている女性たちから、ハッピーに生きるヒントを教えてもらっちゃおう。

株式会社auroraライトバンクジャパン 営業部
林 絵美さん
大学卒業後、ヘアメイクとして活動。平行して行っていた通訳サポートのアルバイトがきっかけで現職に就き、日本支社の立ち上げ業務に従事。現在は営業を中心に、納品作業や機材のプログラムセット、事務作業など、幅広い業務に携わる
今回紹介するワーキングビューティーは、韓国の照明器具メーカーの日本支社である、株式会社auroraライトバンクジャパンの林絵美さん。入社当時の社員数は彼女ただ一人。機械音痴で分からないことだらけの環境でも、いつも前向きにチャレンジできる“強さ”の秘訣に迫った。
日本支社の立ち上げを通して
起業のノウハウを学びたかった
編集部:まずは、お仕事の内容を教えてください。
撮影スタジオなどで使われている照明器具やカメラアクセサリーの営業です。本社は韓国にあり、日本支社は私を含めた2名で運営しているので、営業だけでなく納品作業や機材のプログラムセット、事務作業など、社内のほとんどの業務に関わっています。
編集部:新卒でご入社されたのですか?
いえ、大学卒業後はヘアメイクの仕事をしながら、週末にアルバイトで展示会の通訳サポートをしていました。韓国に住んでいた経験があるので、韓国語が話せるんです。そこに出展していたのが当社の韓国本社。何度か仕事をするうちに、「日本支社の立ち上げに協力してほしい」と声を掛けてもらったのがきっかけでした。私はいずれ自分のヘアメイクサロンを持ちたいと思っていたので、イチからの立ち上げに携われるのは良いチャンスだと感じ、入社を決めました。
編集部:そのころから日本支社は2名で運営しているのですか?
国内での事業が軌道に乗るまでの1年半は私一人でした。登記の申請や事務所探しから始まり、立ち上げに関するさまざまな作業から事務管理、輸出入関係の手続きなど、全て見よう見まねでチャレンジしましたね。すごく貴重な経験をさせてもらいました。
「お客さまも本社スタッフも信じてくれている」
“逃げる理由を探す人”にはなりたくなかった

編集部:日本支社立ち上げの業務を全てお一人でされるなんてすごいですね! 大変だったことはたくさんあると思いますが、中でも一番苦労したことは何ですか?
実は私、テレビの電源を探すのにも時間がかかるほどの機械音痴なんです(笑)。それなのに、写真・映像撮影業界で何十年も働いている方々を相手に、特注品などの打ち合わせをしないといけない。小手先の知識では通用せず、お客さまの求めていることや自分の伝えるべきことが分からなくなって、立ち上げ初期の商談中に思わず泣いてしまったことがありました。幸いにも、「信じているから、もう少し提案を詰めてきて」と、もう一度チャンスをいただけましたが、いっそのこと逃げ出してしまいたかったです。
編集部:プレッシャーに負けそうになるときってありますよね…。そんな中、どうして逃げずに乗り越えられたのでしょうか?
本社に「私一人じゃできません」と電話をしたら、「こちらはあなたができると信じて任せているのだから『できない』はだめ」と言われて消えかけていたやる気に火がついたんです。お客さまは当社の商品を、本社は私を信じてくれている。ここで投げ出したら、どんな仕事に就いても“逃げる理由を探す人”になってしまう。そう思って、商談中に受けた質問の答えを必死に用意して、2回目の商談に臨みました。分からないことは分からないと正直に伝えたり、本社との電話会議を設定することを提案したりと、できるだけ相手に迷惑がかからないよう心掛けました。
編集部:職場に自分しかいない中で仕事をするには、気持ちのコントロールが重要ですね。モチベーションを維持するために、何か気を付けていることはありますか?
もともと気持ちのアップダウンが激しくて、周りの人と比較して落ち込むことが多かったのですが、「比較するなら昨日の自分と今日の自分」と決めてから調子がいいです。
あとは、気分転換のために、商談が終わったら手帳に一言日記を書いています。昔は「逃げたい」などと書いていたのが、最近では具体的な反省や目標が挙げられるようになっていて、見返すと自分の成長を感じます(笑)。ささいな習慣ですが、こつこつ続けていることが自信にもつながっていますね。
パリ気分で部屋をピカピカに!
休日は掃除をしてリフレッシュ
編集部:オフのときはどんな気分転換をしていますか?
好きな音楽を聴きながら、掃除をするのが大好きです。身の回りがキレイだとすごく気分がいいので。最近は『ミッドナイト・イン・パリ』のサントラがお気に入りです。
編集部:外ではバリバリ働き、家でもきっちり掃除をするなんて、女子のかがみですね!
そんなことないですよ。働いているときはどうしても男性化してしまうので、女らしさを忘れないために”ピンク色”に頼っているくらいです(笑)。実は身の回りの小物はピンクばかりなんです。「私は女なんだよ」って言い聞かせて、女性にしかない良さを失わないようにしています。
編集部:言われてみれば、今お使いのペンもピンクですね(笑)。それでは最後に、今後の目標を教えてください。
営業だけでなく新商品の開発も手掛けているので、より日本市場に合った照明器具を作っていきたいです。日本の商品基準はとても厳しいので、世界中で通用する商品となるケースが多い。お客さまの細かいニーズをキャッチして、ゆくゆくは日本発の人気商品を世界に届けたいと思っています。
また、日本支社の立ち上げを経験したことで、もともとの夢だったヘアメイクサロンの開業について、現実的な視点で考えられるようになりました。その分、難しさや怖さも感じますが、いつかは女性の“キレイ”に関わる仕事に就きたいとも思っています!
大きなプレッシャーを背負い、たった一人で頑張ってきた経験をあっけらかんと話す林さん。つらいエピソードを話しているときにも、彼女の言葉からマイナスの空気は一切感じられない。それはきっと、今の経験が自分の未来につながっていると信じているから――。前向きに日々の仕事に取り組んでいれば、女性はこんなにも強く、輝いていられるものなのだ。



取材・文/菅原さくら(アバンギャルド) 撮影/赤松洋太

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