KVH 孫 琳玲さん/中国から単身で来日! 気持ちが理解できたからこそ楽しめた「日本人とインド人の混合チーム」マネジメント

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KVH 孫 琳玲さん/中国から単身で来日! 気持ちが理解できたからこそ楽しめた「日本人とインド人の混合チーム」マネジメント

KVH株式会社
アクティング・マネージャー
孫 琳玲さん

上海交通大学大学院を修了後、2005年5月に来日。大手通信会社に就職し、国際回線の運用部門で、エンジニアとしてのキャリアをスタート。08年にKVHに転職、12年2月にスーパーバイザーに昇進し、その後社長賞を受賞。14年4月、アクティングマネージャーに昇格

今回紹介するワーキングビューティーは、25歳で中国から来日し、現在はITインフラ事業を展開するKVHで、ネットワーク回線の運用を統括するアクティング・マネージャーとして働く孫琳玲さん。2012年には社長賞を受賞するなど、目覚ましい活躍を見せる孫さんのお仕事に迫る!

初めて中国を離れ日本へ
品質に対するシビアさに驚く

編集部:中国から日本企業に就職しようと思われたきっかけを教えてください。

大学院の教授から日本企業を受けてみないかと紹介してもらったのがきっかけです。コンピュータサイエンスや通信・ネットワークを勉強していたので、それが活かせる仕事だと知り惹かれました。第二外国語の授業で日本語を学んでいたので、日本にすごく興味もあって。思い切って面接を受けたら内定をいただき、25歳のとき単身で来日したんです。

編集部:ホームシックになったり、言葉の違いに戸惑うこともあったのではないですか?

中国を離れるのは初めてだったので、寂しいときもありました。でも、部署内には同じように外国から来ている人もたくさんいたし、日本人の同僚もとても温かかったので、安心しましたね。日本語は中国でかなり勉強したのですが、実際に使ってみると通じないことも多かったです。ニュースを見たりして勉強したのはもちろんですが、日本人の同僚に間違った日本語をたくさん直してもらいました(笑)。

編集部:カルチャーショックを受けたことはありましたか?

いろいろありますが、一番は“日本品質”を目の当たりにしたことですね。外国人の私からしたら、「これくらい大丈夫だろう」と思うことも、日本人はミリ単位までこだわっていて、品質に対してすごくシビア。とても驚きましたが、同時に素晴らしいと思いました。

編集部:その後、28歳で現職に転職しているのですね。理由は何だったのでしょうか?

1社目の会社は大手企業だったので、どうしても仕事が細分化されてしまいました。もっと幅広く業務を担当して視野を広げ、知識・スキルレベルを上げたいと思い、転職を決意したんです。今勤めているKVHはもともと前職の取引先だったのですが、いつも対応が細やかで、品質にこだわりがあり、信頼できる会社だという印象が強くて。扱うサービスの幅も広く、さまざまな経験ができるという点にも惹かれました。

昇進後まもなく社長賞を受賞!
日本とインドのエンジニアをマネジメント

KVH 孫 琳玲さん/中国から単身で来日! 気持ちが理解できたからこそ楽しめた「日本人とインド人の混合チーム」マネジメント

編集部:孫さんは、2012年にスーパーバイザーに昇進され、まもなく社長賞を受賞されていますね! そのときはどのようなお仕事をしていたのですか?

当社には、お客さまのトラブルに対応するサービスセンターがあります。その中のすぐには解決できない問題に対して、私たちエンジニアが原因を分析し、対処しています。その業務のごく一部を、“インドのシリコンバレー”ともいわれるITの集積地、インド・バンガロールにいるエンジニアに委託していたんです。そのバンガロールのエンジニアをチームとして機能させ、業務を委託する分野を増やすことが、私のミッションでした。

編集部:具体的にどのようなことをしたのですか?

主にエンジニアのスキルレベルチェックと教育です。日本から優秀なエンジニアをバンガロールに派遣し、バンガロールからもエンジニアを日本に呼んで、3~4カ月の研修を実施しました。そのためのマニュアル作成なども手掛けましたね。幸い、彼らが優秀だったおかげで、うまくバンガロールのチームが立ち上がり、半年という短期間でミッションを達成することができました。

編集部:言葉も文化も違うインドのエンジニアの方をマネジメントしていく中で、苦労も多かったのではないですか?

いえ、苦労はあまり感じなかったです。それよりも、バンガロールのエンジニアと接することが楽しくて。勉強熱心で、やる気もあり、チャレンジ意欲も高い方ばかりだったので、同じ仕事をする上で議論したりすることも多く、とても刺激を受けました。あえて大変だったことを挙げるとすると、エンジニアって、シャイなので初めて会う外国人とのコミュニケーションに戸惑ってしまうことがあるのです(笑)。東京に来てもらったときも、最初はお互いに黙ってしまいがちでした。早く日本のエンジニアとバンガロールのエンジニア同士が打ち解けられるように、ランチに誘うなどの雰囲気作りを大切にしていました。

編集部:中国から来日した孫さんだからこそ、お互いの気持ちがより理解できたのかもしれませんね。きっとインドの方も孫さんがいて心強かったと思います。

そうかもしれませんね。私のチームは日本人15名、インド人11名のメンバーがいますが、個性が豊かで楽しい人ばかり(笑)。一人一人としっかり向き合い、コミュニケーションを大切にしています。みんなも私の話を聞いてくれるので、とてもやりやすく感謝しているんです。

体を冷やさないために飲み物は白湯
氷水を飲む日本人にビックリ!?

編集部:とてもお肌がキレイですね! 食生活やスキンケアなど、何か気をつけていることはありますか?

いえいえ、何もしていないです。3食必ず食べるとか、冷たいものを飲んだり食べたりしないようにするとか、そのくらいです。職場では白湯を一日中飲んでいますね。中国では冷たい水は基本的に飲みません。女性にとって、体を冷やすことはよくないことと教えられてきたんです。日本は外食をすると必ず氷の入った冷たい水が出るので、ビックリしました。仕事以外で一番カルチャーショックを受けたことかもしれません。

編集部:知らなかったです! たしかにビックリですね。ストレスが溜まったときはどのようにして発散していますか?

うさぎを飼っているんです。今4歳なんですが、耳が垂れていてとてもかわいくて、仕事から帰って会うと癒されます。とてもやんちゃなので、いたずらばかりでイラっとすることもあるんですけど…(笑)。

編集部:今後もずっと日本で働いていく予定ですか?

そうですね。夫も日本人なのでしばらくは日本にいるつもりですが、先のことはまだ分かりません。ただ、中国語、日本語、英語ができるので、いずれはその語学力を活かし、アジアのリーダーとしてグローバルで活躍できたらいいなと思っています。


堪能な日本語で、ゆっくり丁寧に話をしてくれた孫さん。来日当初は日本品質に驚いたと話していたが、きっと今では日本人以上に、品質に対するシビアさや、技術向上に対する情熱を内に秘めているに違いない。アジアのリーダーとして、グローバルで活躍する日もそう遠くはなさそうだ。

KVH 孫 琳玲さん/中国から単身で来日! 気持ちが理解できたからこそ楽しめた「日本人とインド人の混合チーム」マネジメント
ジンベエザメをモチーフにした長皿は、義父からの手作りプレゼント。「見た目もかわいく、大きさもちょうどいいので、お気に入りの一枚。カルパッチョなどを盛りつけるときに使っています」(孫さん)
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数年前、ご主人からプレゼントとしてもらったうさぎのミラーは、いつも持ち歩いている愛用品。「たまたま、かわいいのがあったからと買ってきてくれました。うさぎが大好きなので、とても嬉しかったです」(孫さん)
KVH 孫 琳玲さん/中国から単身で来日! 気持ちが理解できたからこそ楽しめた「日本人とインド人の混合チーム」マネジメント
「イソップのボディバームは、数年前に先輩からもらってから、ずっと使っています。ゼラニウムの香りが好きで、保湿効果も十分。入浴後、乾燥が気になる部分に使っています」(孫さん)

取材・文/岩井愛佳 撮影/赤松洋太