【DJ KOO】盛り上げ番長のDO DANCE!!な仕事観「もらった命でみんなを元気に」

仕事が忙しかったり、職場の人とうまくいかなかったり、頑張っているのになんだか報われなかったり。そんな時、ふとこんな疑問が頭をよぎることはないだろうか。

「何のために働いているんだろう」

「今の仕事を続けていていいのかな……」

そんなモヤモヤを吹き飛ばすべく、カラフルな服に身を包む、日本随一の“盛り上げ番長”に取材を依頼!

DJ KOOさん

ダンス&ボーカルグループ『TRF』のリーダー、DJ KOOさん。『EZ DO DANCE』をはじめ、数々のヒット曲を世に出してきた。最近ではバラエティー番組でもおなじみだ。

DJ歴は40年以上。でも実は30歳の時、一度はDJを辞めることも考えたという。そこからどうやって現在のDO DANCE!!なDJ KOOに至ったのだろうか。

DJ KOO、30歳の葛藤「DJを辞めるとしたら今なのかも」

DJ歴はもう40年以上になりました。高校卒業後にDJを始めて、その頃から「生涯DJとして生きていく」という気持ちでここまでやってきたんです。

「好きこそものの上手なれ」じゃないですけど、カッコよく言うと、自分の選択に対して自信と誇りを持ってやってきたから、これだけ長く続いているのだと思います。

今の僕は、仕事や就職、住む場所など、あらゆることの正解は自分で決めていいと思っています。

周りがどうこう言おうと、自分が快適にやれる環境があれば、それが正解

だから、まずは自分の選択を信頼して、自分の正解を見つけて、それを積み重ねていくことが大切です。

DJ KOOさん

……とお話ししながらも、自分の選択に不安を感じる若い人たちの気持ちも分かるんです。

なぜなら、僕も一度はDJを辞めることを考えたから。

20代の頃、DJだけでは食っていけない苦しい時期がありました。DJの仕事よりバイトの比率が高くなり、「人生の中でDJを辞めるタイミングがあるとしたら、今なのかな」と思ったのが30歳の時です。

その時に支えになったのは、奥さんの一言でした。

「あなたが好きなように決めなよ。私はついていくから」と言ってくれて。

実は、『TRF』のプロデューサーである小室(哲哉)さんと出会ったのは、その矢先だったんですよ。

小室さんがやっていた音楽は、今まで僕が知っていた音楽とは全く違うもので、ビビッときたんです。

それで、「明日もスタジオに見学に来ていいですか?」と尋ねたら、「いいよー」と言ってもらえて。それから半年以上の間、小室さんの元に毎日通いました。

DJ KOOさん

その時も「あなたがしたいことをしたら?」と奥さんが背中を押してくれたから、バイトを辞めて小室さんの押しかけ弟子になれた。

稼ぎなんてほとんどなくなったけれど、ワクワクする気持ちに従って突き進んだんです。

そこから『TRF』結成につながっていったわけで、なんだか運命的ですよね。

『TRF』でのデビューは31歳、バラエティー番組への挑戦は52歳

20代後半になると、「もう20代が終わってしまう」「30歳になったら新しいことなんてできない」と悲観的に考える人もいますけど、30歳なんてまだまだ若いし、何歳からでもチャンスは待っています。

それは僕自身の経験を持って言えること。

『TRF』でデビューしたのは31歳だし、バラエティー番組に出始めたのも52歳ですから。

DJ KOOさん

バラエティー番組に挑戦しようと思ったのは、『TRF』が結成20周年を迎えるタイミングで、DJを中心にソロ活動もやっていこうと考えたことがきっかけです。

でも、僕はそれまでバラエティー番組にはほとんど出たことがなかったですし、同じテレビとはいえ、音楽活動での出演とは全然違います。

もう、何が良くて何が悪いんだか、全く分からないんですよ。

音楽活動では小室さんや『B’z』のお二人など先輩たちから教わったり、彼らの姿から学んだりすることが多かったんですけど、バラエティーの場合はそういう存在がいない。

だから「この番組はこういう作りで、共演者はこんな方なんだな……」と、自分で予習をして本番に臨んでいます。

DJ KOOさん

事前準備で使っているノートを見せてくれるKOOさん。KOOさんのスタジオには、これまで予習・復習に使ってきたノートがどっさり積まれていた

例えば『オードリーのオールナイトニッポン』にゲストで出演した時は、過去の放送の内容や当日話すことをノートにメモして行きました

「せっかく呼んでもらったのにスベるのはよくないな」と思っての行動だったのですが……オードリーのお二人にはやたらいじられましたね……。

DJ KOOさん

KOOさんが用意した「YOチェケポイント!!」に、「これはもうやったね」とオードリー若林さんが放送中に赤いマジックで勝手に落書き。それに対して「やめてよ~~~!!」と繰り返していたKOOさん。「だって後で見返すものだから〜! できた項目は自分でチェックいれたいんですよ!」と憤りの理由を教えてくれた

誰かに気持ちを伝えることに、遠慮なんかいらない

バラエティー番組に出始めて10年ほどたちますが、今までとは違うタイプの人たちとお会いできていること自体が、僕の経験と財産になっていると思います。恵まれていますね。

第一線で活躍されている方に助けてもらう中で、「かっこいいな」「すげえな」と感じることで刺激を受けたり、物事を柔軟に考えられるようになったり。

前はもっと自分の思考の器の中で物事を考えていたけど、それが広がった気がします。

特にそれを実感したのは、ビートたけしさんや所ジョージさんの番組に出た時です。

地方から収録に向かうから、お二人にお土産を買っていこうと思ったんですよ。

でも、お二方のような大御所に何を買えばいいか分からないじゃないですか。「そもそもお土産を買って行ってもいいのかな?」なんて考えちゃって。

DJ KOOさん

結局、その地域の定番のお菓子をお渡ししたんですけど、すごく喜んでくれました。

さらに所さんは「お礼にTシャツあげるよ」とプレゼントをくださり、たけしさんは番組のオープニングで「お土産買ってきてくれたんだよ」と話してくださった。

その時に「そのままの気持ちを伝えるのが一番いいんだな」と思ったんですよね。

「お土産を渡したらどう思われるかな」と思い悩むよりも、「お土産を渡したい」という気持ちを伝える。

それまでの僕は自分の頭の範囲内であれこれ考えていたけど、相手は自分の物差しで測れないんだから、素直になった方がいい。

その方がちゃんと気持ちが伝わるんだなと気付きました。

誕生日メッセージなんかもそうですよね。お祝いの気持ちがあって「送ってもいいかな」「2日遅れちゃったけどどうしようかな」と悩んでるのなら、送っちゃえばいいんですよ。

DJ KOOさん

『モーニング娘。'22』の牧野真莉愛さんにもお誕生日メッセージを送ったそう。「『うれぴー!』って、いつもの彼女の感じで返信をいただきました」

あとは、DJの選曲の発想も柔軟になりました。

これまでは自分の趣味に寄った選曲ばかりしてきたけれど、「この曲をかければお客さんは喜ぶはず。それなら前後にこの曲をかければ、盛り上がりのピークがいっぱい作れるな」というように選曲の幅も広がり、遊び心が出てきました。

いつでも今が一番“最KOO”! HAPPY DO DANCE!!

DJ KOOさん

撮影中も『EZ DO DANCE』をかけて盛り上げてくれたKOOさん

これから新しくやりたいこともいろいろあります。

まずはお笑いライブ。僕はお笑いが好きで、コロナ前は『DJ KOO寄席』と題して、僕の好きな芸人さんを集めたイベントをやっていました。それを秋頃から再開しようと思っています。

あとはパンフェスですね。僕、すごくパンが好きで。全国のおいしいパン屋さんを巡っているんですけど、最近では自分でもメニューを考案して、キッチンカーをやっています。

この夏は実験的に、湘南の海の家に出店してみました。僕も現地で売ったりして、面白かったですね。

今後はパンとDJを組み合わせたフェスができないかなと考えています。

DJ KOOさん

キッチンカーでは『DJ KOOのチーズステーキサンドイッチ』やカレーパンなどを販売。「奥さんや娘から日々流行をリサーチしているので『最近の女子はチーズが好きだから絶対これだ!』みたいな感じでメニューを決めました」

僕は「自分の好き」をみんなに共有するのが好きなんですよ

その結果、みんなが元気になってくれたらうれしいし、僕も好きなもののことをもっと好きになれる。

そもそもDJの主役はお客さんです。クラブやイベントは、一生懸命仕事したり勉強したりしている人が日常を忘れて遊びに来る場所。そういう人たちに非日常を味わってもらうのが僕の仕事です。

そして、仕事に関して「自分が主体ではない」という思いは、5年前に脳動脈瘤の手術から復活したことでより強くなりました。

DJ KOOさん

それまでは「自分がかっこいいと思う選曲をするDJ」だったけど、今は「みんなが元気になる曲をかけるDJ」でありたい。いただいた命ですからね。

そうしたら自然と仕事の幅も広がったんです。アニメやゲーム、アイドルなど、いろいろな分野の方から声を掛けてもらって、新しいコラボレーションが次々に生まれています。

DJを40年続けて、60歳を過ぎてさらに新しいことができるのは、すごく楽しいですよね。

これからも「みんなを盛り上げるぜDO DANCE!!」という気持ちで、いつでも「今が一番“最KOO”!!」な感じで生きていきたいです。

DJ KOOさん

退出時、「皆さん、健康第一で!健康最KOOだぜ!!」と取材陣に声を掛けてくれたDJ KOOさん。最後までDO DANCE!!な取材でした

<プロフィール>
DJ KOOさん
1961年8月8日生まれ、東京都出身。トータルCDセールスが2100万枚を超え、今なお多くの人に愛され続けているダンス&ボーカルグループTRFのDJ、リーダー。 ソロとしては、「触れ合う人々をエネルギッシュに! 元気に! 笑顔に!」をモットーに、ダンスクラシック、EDMから、J-POP、アニソン、ゲーム音楽まで幅広い音楽をDJスタイルにてプレーし、共感、賛同を得ている。 2017年から日本の文化である「お祭り」「盆踊り」とのコラボレーションをエンターテインメント型ジャパンカルチャーとして発信し、国内外において精力的に活動を行っている。バラエティー番組にも多数出演。幅広い層のファンを獲得している
YouTube:KOOTUBE Twitter:DJKOO_official

取材・文/天野夏海 撮影/桑原美樹 企画・編集/栗原千明(編集部)

書籍紹介

DJ KOOさん

『あと10歳若くなる! DJ KOO流 心・体・脳の整え方』(PHP研究所)

医師の理想とKOOさんらしさの絶妙な“落とし所”が満載! バラエティーで大活躍・還暦超えアーティストDJ KOOの元気の秘訣とは? 仕事、メンタル、食事、睡眠、人生、人間関係……全部に効く54の「小さなルーティン」を紹介
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