「挑戦」と「取捨選択」が大切! 気鋭のデザイナーが考える、30代からの人生を輝かせる秘訣
仕事でもプライベートでも輝いている女性をクローズアップ! 自分らしいワーク&ライフスタイルで充実した毎日を送っている女性たちから、ハッピーに生きるヒントを教えてもらっちゃおう。

株式会社じげん
室井 瑛理子さん
制作会社のWebデザイナー職を経て、2008年、じげん初のデザイナーとして入社。『アルバイトEX』を初め、数々のサービスの立ち上げから運用・改善までを手掛けるほか、会社ロゴやコーポレートキャラクター・じげんぶ君の登場するノベルティグッズなどのコーポレートツールのデザインにも携わる
今回紹介するワーキングビューティーは、株式会社じげんの室井瑛理子さん。おっとりとした語り口調とは裏腹に、同社初のデザイナーとして、社内のデザイナーの地位確立からチームの立ち上げまで奮闘してきた実績を持つ。30代を迎え、ますます輝きを増す彼女のその秘訣を聞いた。
孤軍奮闘の中で積み上げた信頼
大事なのは自分からアプローチすること
編集部:もともとは制作会社のWebデザイナーだったそうですね。じげんに転職を決められたきっかけは何があったんですか?
制作会社ではクライアントさまの立てたコンセプトに沿ってオーダー通りにWebサイトなどの制作物を仕上げるのがデザイナーの役割。それはそれで大事なことですが、決められた枠を超えられない物足りなさを感じることがありました。もっと踏み込んで、ユーザーと近い距離でデザインがしたい。そんな想いが明確になり、それができる環境があると感じたじげんに転職を決めました。
編集部:当時はまだ社内にデザイナーはいなかったと聞いています。その中に一人で飛び込まれて苦労も多かったのでは?
そうですね、社内のメンバーはエンジニアと営業ばかり。圧倒的な男性社会でした。最初はエンジニアの専門用語も全く分からなくて、まるで宇宙語かと思ったくらい(笑)。その中でデザイナーの役割や意義を理解してもらうためには、まず自分からアプローチすることが大事。そこで専門用語を調べたり、プログラミングを勉強したり、相手ときちんと会話ができるように自分の知識を広げていきました。そうしたら、初めは「この仕様に合うようにデザインを整えてくれ」って一方的に頼まれるだけだったのが、「ユーザー視点で考えて、もっとこういうふうにしませんか」と提案ができる関係になった。サービスの企画を考えるときも営業とエンジニアだけで完結していたのが、「最初からデザイナーと一緒に考えた方が良いものができるよね」って言ってもらえるようになって。デザインフェーズだけでなく、新規サービスの企画から参加できるようになっていきました。
編集部:そもそも、デザイナーって、サービスの企画からタッチするものなんですか?
一般的には違う会社が多いかもしれません。でも、それができるじげんの環境は、デザイナーにとってとても魅力的だと私は思っています。デザインって、一般的にはどうしても見た目だとか表面的なものに捉われがちですが、私たちの最終的なミッションは自社サービス、さらにはじげんという会社のファンを増やすことです。そのためにはサービスの根幹から関わって、どんなサービスならユーザーさんに喜んでもらえるか、ユーザーさんに使いたいと思っていただけるかということから考えて提案していかなければいけないと思っています。
チームのメンバーは大切な存在
仲間の数だけできることが増えていく

編集部:入社当初、デザイナーは室井さんだけ。それが今、デザインチームは10名規模にまで成長しました。デザイナーの採用には室井さんが全て関わっていると伺っていますが、チームづくりをする上で大切にしていることはありますか?
じげんはまだまだ成長過程のベンチャーですから、採用では一緒にワクワクしながら会社を育てられる人かどうかを重視しています。チーム運営で言えば、コミュニケーションを最も大切にしています。違うプロジェクトを担当しているデザイナー同士でもチームとしてノウハウを共有できるように、情報交換は意識的に行うようにしています。
編集部:運営方法が確立されていない段階からチームを運営していく上で、どんな点が大変だと感じますか?特に、デザイナーユニットは女性が多いと聞きましたが。
チームとしてはビジョンに向かってまっすぐ走りたい状況のなか、実際には働くメンバーの個別の事情にも配慮する必要がある、そのバランスの取り方でしょうか。でも特に女性の部下や後輩に対しては同じ女性だからこそ、うまく気持ちを汲み取ってフォローができる場面もたくさんあったように思います。そして、じげんはまだ新しい会社なので、会社全体の制度をどのようにしていくべきなのかを考えなければいけないケースも多いんです。例えば、メンバーが出産してワーキングマザーになったりした場合、どのような働き方を望むかはその人次第ということで、それぞれが働き方を選べる制度ができたり。最近は女性社員も増えて、皆でアイデアを出してさらに女性が働きやすい制度を会社に提案したりするようにもなりました。状況に合わせてどんどん変わっていける環境なのは、嬉しいですね。
編集部:今では「室井さんがいるから私も頑張っている!」という後輩メンバーも多いと聞いています。入社から今までの歩みを振り返ってみると、どんな気持ちですか?
そういった声をいただけるのは、とても幸せですね。日々起こるいろいろな問題を一緒に乗り越えてきたからこそ、一人一人との繋がりを強く感じられます。私一人でできなかったことが、仲間が増えることでできるようになる。そこにやりがいや楽しさを感じています。この間、チームのみんなで旅行に行ったんですよ。そこで改めて一致団結したのを確認することができました。私にとって、チームはすごく大事な存在ですし、心から信頼できる仲間です。とても感謝しています。
30代は、自由で楽しい
取捨選択を重ねてベストな環境をつくる
編集部:ちなみにプライベートでハマッていることはありますか?
実は半年前くらいから仕事帰りに茶道教室に通い始めたんです。仕事一筋だった20代を終え、30代になってもっとメリハリをつけたいなと思ったのが、茶道を始めたきっかけ。キレイな姿勢でいようと意識するようになったり、女性として勉強できるところがたくさんあります。
編集部:やっぱり30代になって意識の変化は生まれましたか?
20代の頃って、実は30代になるのがちょっと怖かったんですよ。でも30代になってみて思うことは、「30代ってすごく楽しい」ということ。今は自分が本当に好きなことを自分で選択している実感がある。やっぱり自分の好きなことをやれるのが一番幸せなんじゃないかなと思います。そして30代は、家庭に仕事に、女性の生き方が分かれていく世代。どんな道を選んだとしても、大事なのは「自分はこんなことがしたい」って気持ちを持ち続けることなんじゃないかなって感じていています。身近な人を例に考えてみても、目標を持って日々仕事をしている30代の女性たちってすごくキラキラしているはずですから。私もそういう人になれるように、ちゃんと目的意識を持って生きていきたい。時には頑張っている自分にご褒美をあげながら、また次の目標へ。そうやって、40代になっても60代になっても、いつまでもキラキラと輝いてられたらなって、思います。
編集部:素敵な目標ですね。では、以前のご自身と同じように将来に不安を感じている20代の女性にアドバイスを送るとしたら?
自分の気持ちに素直になって、自分の好きなことをやるのが一番、ということですかね。気付かないところで思わぬ出会いがあったり、やってみたら意外と自分に向いていることってたくさんある。だから20代は先入観にとらわれず、何でも挑戦してみると良いのではないでしょうか。そこから、自分に必要なものや自分が心地よいと感じるものを30代で取捨選択していけばいいと思います。
女性らしい柔らかさと、タフな冒険心とをバランス良く兼ね備え、将来への希望を忘れないその姿勢こそが、室井さんを輝かせている秘訣だろう。人生をとことん楽しく味わい尽くす彼女なら、きっとこれからも素敵に年齢を重ねていくに違いない。



取材・文/横川良明 撮影/吉永和志
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