このままじゃまずい…? キャリア不安から保険業界に転職する営業女性の実情

今、保険業界で女性採用が活況だ。コロナ禍の到来をきっかけに、保険商品のニーズが高騰。各社が中途人材の獲得に乗り出している。

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実際、転職サイト『女の転職type』に掲載されている金融・保険業界の求人数もコロナショック到来以前の2019年から181%にまで拡大。

『女の転職type』編集長の小林佳代子は、「個人向けの生命保険販売だけでなく、保険代理店向けの営業職や、法人クライアント向けに福利厚生を提案するプランナー職など、募集ポジションの多様化も進んでいる」と話す。

メーカー、不動産…コロナ禍に強まる営業職のキャリア不安

中でも、営業経験者から注目を集めているのが、保険代理店向けの法人営業の仕事だ。

「保険代理店向けの営業は、クライアントが法人で訪問の時間や曜日が不規則にならないためワークライフバランスがとりやすく、チーム営業ができるところも転職者に人気のポイント。業界経験不問の求人も多いので、新しい環境で営業力を磨きたい女性たちから応募が集まっています」(小林)

そんな中、異業種出身の営業経験者を積極的に採用しているのが、外資系生命保険企業のジブラルタ生命保険だ。

同社でMR(代理店コンサルティング職)の中途採用を担当する岫ひとみさんは、「ここ1~2年で、メーカーや不動産、アパレル業界などで経験を積んだ女性たちが、『営業力を磨きたい』『スキルアップしたい』という動機で転職してくるケースが増えた」と明かす。

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ジブラルタ生命保険株式会社 代理店営業企画チーム IA採用戦略ユニット 岫ひとみさん

前職は新卒で信用金庫に入庫し、約2年間個人営業に従事した後、ジブラルタ生命保険に転職。現在はMR(代理店コンサルティング職)の採用を担当

その変化の背景にあるのは、コロナ不況の影響だ。

「新型コロナの影響で会社の経営が傾いたり、消費者の生活様式や価値観が変わったりしたことで、営業職を取り巻く環境も変化しました。

きっと、以前と同じように営業活動をしていても成果が出なくなるなど、自分のキャリアに不安を感じた人も少なくありませんよね。

当社のMRポジションに応募してくださる女性たちの中にも、そうした状況の中で『商材の魅力だけに頼るのではなく、自分自身の営業力を磨きたい』と考えて転職を決めたとおっしゃる方が顕著に増えました」(岫さん)

現状のキャリア不安を打破し、個人の営業スキルを伸ばすべく、保険業界に転じる20〜30代が目立つようになったのが印象的だったという。

MRで磨く「営業の総合力」

同社のMRは、ジブラルタ生命保険がパートナーシップを結ぶ代理店を通じ、その先にいるお客さまへ最適な保障をお届けしている。顧客満足度の高い提案ができれば代理店の成功と発展を後押しすることもできる、社会貢献性の高い仕事だ。

マーケットを分析し、各代理店の強みや特性を生かした販促戦略を立案する必要があるため、「MR一人一人の営業力が問われる」と岫さんは言う。

「MRは、われわれの商品を使ってどうすれば各代理店の売り上げを最大限伸ばせるのかを考える仕事です。

その中で、マーケティング力やコンサルティング力、 顧客との折衝能力やコミュニケーション力など、総合的な営業スキルが磨かれます

また、提案を行う相手は保険の代理店を運営する経営者たちがメイン。彼・彼女たちに信頼され、対等に渡り合えるようなビジネス感覚や人間力を持ち合わせているかどうかも問われます。

異業種から転職してきた方だと、金融の基礎知識を身に付けるところからスタートするので、最初は覚えることが多く苦労するかもしれません。

ただ、研修やチームのフォロー体制も整っているので、中途社員の1年以内の離職率は5.8%と非常に低く、女性社員も長く活躍する人が多いです」(岫さん)

保険営業というと「個人ノルマが厳しい」というイメージを持っている人もいるかもしれないが、ジブラルタ生命のMRはチーム営業が基本のワークスタイルだ。

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「営業職なので営業目標はありますが、その目標はチーム全員で達成を目指す指標です。個人戦ではなく、チーム戦でビジネスを成功に導きたい人に向いている働き方だと思います」(岫さん)

働き方改革で女性MRの活躍を後押し

現在MRの採用を担当している岫さんも、信用金庫勤務を経てジブラルタ生命保険に転職し、MRとして働いていた過去を持つ。

「一つの代理店の先には、何百、何千人ものお客さまがいる。そう考えると、自分の営業活動が世の中に与えるインパクトは非常に大きい。

社会的意義のある仕事ができている実感が、当時の私にとってのやりがいでした」(岫さん)

また、入社当時と比較して、近年ますます「女性MRの活躍が目立つようになってきた」と岫さん。その背景の一つに、同社が取り組む働き方改革がある。

「コロナ禍を経てリモートワークも取り入れられるようになり、働き方をアップデートできたことも女性活躍の促進につながっていると感じます。

状況に応じて柔軟な働き方を選択できるようになったことで、よりいっそう多様な人材が活躍できる環境になっていると感じますね。

実際、当社で産休育休をとった女性の復職率は100%。育児と仕事の両立支援が充実しているので、ライフステージが変わっても営業現場の最前線で働き続ける女性が増えています」(岫さん)

今後も、ジブラルタ生命保険ではMRポジションの中途採用を強化し、「女性リーダーも育成していきたい」と岫さんは言う。

「MRとして基本的な業務ができるようになったら、現場のリーダーや、マネジメントなどのポジションにステップアップできます。多様な人材の力を生かしていくためにも、女性リーダーをぜひ増やしたい。

営業経験を生かして長期キャリアを築いていける環境だと思いますので、ぜひ多くの人にチャレンジしてみてほしいと思っています」(岫さん)

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取材/安心院 彩 撮影/吉永和久