10 APR/2023

女性は給料が上がりにくい? 男性は体力仕事を振られる? 職場に潜むジェンダーギャップの実態【958名調査】

グラフ

アンケート実施期間/2023年2月1日~2月16日 有効回答数/958名
調査方法/女の転職type会員、type会員、およびクラウドワークスでのWeb調査


今回の調査で分かったこと


●約6割が職場でジェンダーギャップを感じている
●ジェンダーギャップが理由で転職を考えた女性は男性の2.5倍
●自身の性別について女性は「職場で不利になる」と回答、男性は「影響しない」と回答

今回は職場のジェンダーギャップ(男女格差)について男女にアンケートをしました。

職場にジェンダーギャップがあると回答したのは、男女ともに約6割にのぼり、職場において「女性(男性)だから」や「女性(男性)らしさ」という固定概念やプレッシャーによって、生きづらさを感じるという回答も、男女ともに半数以上を占めました。

具体的にジェンダーギャップを感じるシーンとしては、約4割の女性が、女性であることが理由で「給料が低い」「お茶だしや掃除などを任される」と回答。男性においては約半数の人が、男性であることが理由で「体力のいる仕事を任される」経験をしていることが分かりました。

一方で、男女で回答に開きが出た質問も。ジェンダーギャップが理由で転職を考えたことがあるかどうかを問うと、男性13.0%に対し、女性は31.8%と2.5倍という結果に。

自身の性別について、職場でどう影響するかという質問においては、女性は「やや不利になる」が最も多く45.7%に対し、男性は「影響しない」が39.4%で1位でした。

女性は男性よりも職場でのジェンダーギャップを不利に感じ、転職を考えるに至っていることが分かる結果となりました。

Q.1 今の職場にジェンダーギャップ(男女格差)はある?

Q1

今の職場にジェンダーギャップがあるかどうかを男女それぞれに尋ねたところ、「ある」と答えた人は、女性64.1%、男性59.4%で女性の方が多い結果となりました。

「非常にあると思う」と答えた人は女性27.0%、男性17.7%で大きなギャップがあります。

Q1-2

※女性のみ

女性の回答について年代別に見てみると、ジェンダーギャップが「非常にある」は、年代が上がるごとに上昇。

特に40代は、3人に1人が「非常にある」と感じており、格差を強く感じていることが分かります。

Q.2 ジェンダーギャップが理由で転職を考えたことはある?

Q2

ジェンダーギャップが理由で転職を考えたことがあるかどうかを尋ねたところ、男女ともに「ない」が多数派ではあるものの、「ある」は女性31.8%に対し、男性13.0%と2.5倍の開きがありました。

Q.3 職場で「女性(男性)だから」や「女性(男性)らしさ」という固定概念やプレッシャーによって、生きづらさを感じることはある?

Q3

職場で「女性(男性)だから」や「女性(男性)らしさ」という固定概念やプレッシャーによって、生きづらさを感じることがあるかどうかについては、男女ともに「たまに感じる」が最も多く、女性44.0%、男性40.6%でした。

ただ、「頻繁に感じる」も加えた感じる派は、女性58.3%、男性50%と女性の方が多くなっており、Q.1やQ.2の結果からも分かる通り、女性の方が転職したいと思うほどのジェンダーギャップを感じ、生きづらさにもつながっていそうです。

Q.4 職場において「女性(男性)であること」による不利益を受けたこと(感じたこと)はある?

Q4

※女性のみ
※複数回答あり

女性において最も多かったのは「給料が低い」で40.3%、次いで「お茶だし、掃除などを任される」39.5%、「給料が上がりにくい」39.3%となりました。

「特にない」が18.6%あるものの、多数の女性が職場で格差を実感していることが分かります。

Q4

※男性のみ
※複数回答あり

一方男性は、「体力のいる仕事を振られる」54.3%、「急な仕事、あふれた仕事のしわよせがくる」33.9%、「難易度の高い仕事や責任の重い仕事を振られる」32.7%が上位になっています。

「特にない」は女性とほぼ同じ18.1%で、男性も多くが職場でジェンダーによる偏りを感じていることが分かりました。

Q.5「女性(男性)であること」は職場でどう影響する?

Q5
自身の性別について、職場でどう影響するか尋ねてみたところ、女性は「やや不利になる」が最も多く45.7%に対し、男性は「影響しない」が39.4%で1位でした。

「とても不利になる」「やや不利になる」を合計した不利と捉えている人は女性54.5%に対し、男性19.7%と1/2以下という結果に。

それぞれのフリーコメントを抜粋してご紹介します。

女性

・子供を産むのは女性なのでやはりどうしても産休は必須。妊婦には厳しい仕事で産休ギリギリまで働き続けることができなかった(20代/神奈川)

・管理職が女性で、男性に優しく女性に厳しい面が見られた(20代/埼玉)

・愛嬌(あいきょう)で昇給が決まる。「え~できなぁい」とか言わなきゃいけない(30代/神奈川)

・結婚して、子供がいないと働きづらいです(40代/愛知)

・非正規の女性社員だけお菓子配りをさせられました(40代/鹿児島)

・電話対応、受付対応、共有の備品や水の補充などは女性に任される。また、上司はスニーカーなのにパンプスを履いてこいと言われる(40代/東京)

男性

・仕事と育児(家庭)のバランスを考えた時、仕事を優先することを暗に求められる(30代/東京)

・営業成績で女性に負けて恥ずかしくないのかとつめられた(30代/神奈川)

・上司が女性にこびて意見を重く扱うため、まともな合議にならない(40代/神奈川)

・何に付けても女性が守られ優遇されている(40代/愛知)

・採用現場では、同じ能力なら女性より男性が採用される。進学だけでなく社会に出ても合格率が高いのは男性(40代/東京)

Q.6 職場のジェンダーギャップ解消のためには、何が必要だと思う?

Q6

※複数回答あり

トップ3までは男女ともに同じで、1位「社長(経営層)の意識が変わること」、2位「誰でも育児や介護の休暇が取りやすい環境にすること」、3位「男性の意識が変わること」でした。

ただ、「男性の意識が変わること」と回答した人は、女性57.5%なのに対し、男性40.6%とギャップがあります。

また「そもそも国がジェンダーギャップを解消する政策をもっと推進すること」については、女性は4位にランクインし47.2%の人が回答しているのに対し、男性は21.7%と2倍以上の開きがあります。

「リモートワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方ができる環境が整うこと」や「女性を積極的に重要ポジションに登用すること」も女性と男性で10%以上の開きがあり、意識の違いが現れる結果となりました。

「その他」のコメントは以下のようなものがありました。

女性

・活躍したい女性ばかりではないことを理解し、無理やり持ち上げて役職につけることがないようにする(20代/東京)

・女性自身が自分のやりたい仕事に積極的に手を挙げ、登用されやすい環境が整うこと(30代/兵庫)

・名もない仕事は女性がする、という風潮をなくすことです(40代/鹿児島)

・男性だけでなく、「みんな」が意識を変えていくこと(40代/長野)

・女性同士の足の引っ張り合いやイジメを解消する(40代/兵庫)

・女性が女性を差別するのをやめる(40代/福井)

・女性自身が働きにくい世の中は、男女共に生きにくい世の中だと理解した方が良いと思う(40代/東京)

・結婚・子育て・介護で一度フルタイム不可になっても復帰できる支援・受け入れ態勢(40代/神奈川)

・ある一定の年齢以上の男性は男尊女卑の考え方で凝り固まっているので、国が今の常識として研修などで彼らに正しく伝え分からせるべきだと思う(40代/東京)

男性

・十分に活用されていない国の制度や会社の福利厚生の利用が奨励される雰囲気が職場にできること(30代/東京)

・女性にもキツイ仕事を、男性に男らしさを求めないようにするのが必要(30代/千葉)

・男女ともに「男性だから」「女性だから」という判断をしないようにする(30代/群馬)

・性差が業務に影響しないくらい技術革新すること(40代/神奈川)

・女性の意識も変わること(40代/東京)

・国自体がジェンダーギャップを真剣に考えていない。国会でも用意された文面を読むだけ。議員も女性がもっと活躍できるようにならないといけない(50代/山梨)

・もっと女性を登用すればジェンダーギャップが解消されるのかと言えば、単に男女が入れ替わるだけであり、ギャップの解消にはならないと思います。管理職や重要なポジションに登用する人物が、真のジェンダーギャップ解消推進者であれば、いずれの性別でも構わないと思います(50代/東京)

ジェンダーのステレオタイプ化は5~7歳の間に起きる

「パイロット」「外科医」「消防士」という職業を思い浮かべたとき、無意識に男性を想像する人は多いのではないでしょうか?

こうしたジェンダーのステレオタイプは、子どもの頃から触れている絵本やテレビなどによって知らず知らずのうちに刷り込まれているのだとか。

ドイツの絵本では、お父さんが赤ちゃんをお世話している様子が描かれていたり、女医さんが登場するものがあったり、ジェンダーステレオタイプに配慮したものが多くあるそうです。

ジェンダーギャップ解消には、こういった刷り込みがあることに目を向け、少しずつ意識を変えていくことが大切なようです。

>>ジェンダーギャップを無くすためにできることは? 日本とドイツの「子ども向け絵本」を見比べて学んだこと

※調査データ(グラフ)は、小数点第2位以下は四捨五入しているため、合計しても100にならない場合があります。
※本記事は『女の転職type』のコンテンツを一部編集の上転載しています

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