営業職の「後悔しない転職」をかなえる三つの行動とは? インサイドセールス歴13年の彼女が一度辞めた会社に再入社を決めたワケ【レノボ・ジャパン】
「営業の仕事は好きだけれど、ワークライフバランスを考えると、今の職場で長く働き続けられるイメージが湧かない」
営業職に就いている女性の中には、こんな悩みから転職活動を始める人も多いかもしれない。
結婚・出産などのライフイベントを経た後も、最前線で営業の仕事を楽しみながら、家庭も大切にできる。そんな職場は、どのように見つけたらいいのだろう。
「家庭があるからといって、仕事で何かを我慢したことはありません」
そう話すのは、パソコンをはじめとしたIT製品を展開するレノボの日本法人、レノボ・ジャパン(以下、レノボ)でインサイドセールスとして働く吉原優江さんだ。
子育てを機に2014年に一度は同社を退職し、専業主婦を経て一時は異なる職に就くも、「営業職のやりがいも、働きやすさも得られる職場」を求めて転職活動をした結果、レノボに再入社することに。
なぜそのような決断に至ったのか、営業職として長く働ける職場に転職するために意識したポイントや、吉原さんが感じる営業の仕事の魅力について聞いた。
一度辞めた会社に再入社「今のレノボなら、営業を続けられる」
── 吉原さんはレノボに入社する前も、パソコンのインサイドセールスの仕事をしていたそうですね。
そうなんです。前職でもインサイドセールスの仕事はとても楽しかったのですが、委託業務だったので「自分たちのサービスを育てている」という感覚がなくて。
メーカーであれば、自社製品に愛着を持って働けそうだなと思い、レノボに転職しました。
── 結婚のタイミングで一度レノボを退職したそうですが、その理由は?
以前退職したのは2014年なのでもう10年近く前なのですが、当時はまだ営業部内に育児と仕事を両立している女性がほとんどおらず、産休・育休を取得してもなお働き続けられるか不安に感じたからでした。
一度、自分の人生・キャリアについてゆっくり考えようと退職を選んだのですが、専業主婦になってみると、やっぱり働きたい気持ちが強くなって。
そこで、子どもが生まれてから別の職種でまた働き始めたのですが、やっぱりインサイドセールスの仕事がしたいと思い、レノボに再入社しました。
── 一度辞めた会社で再びインサイドセールスの仕事がしたいと思ったのは、なぜでしょう?
かれこれ13年くらいインサイドセールスをやってきましたが、何年やっていてもスキルアップできている実感がありましたし、私にとって働きがいを感じられる仕事なんですよね。
インサイドセールスの仕事をする場として再びレノボを選んだのは、私が退職した当時と環境面が大きく変わっていたからです。
育児と仕事を両立するインサイドセールスの女性も社内に増えていましたし、柔軟に働ける環境も整っていました。
例えば、コロナ禍に入る前からリモートワークを導入していたり、子どものお迎えで早く切り上げるといった時間の融通が利いたり。
今のレノボの環境なら、自分の理想とする働き方をしながら、大好きな営業の仕事を長く続けられるかもしれない。そんな思いから、レノボで再スタートを切ろうと決めました。
「営業で長く」をかなえるために、会社選びで意識した三つのこと
── 営業の仕事と子育てを両立して長く働ける環境を選んだということだと思いますが、後悔しない転職先を選ぶために入社前に意識的に取り組んだことがあれば教えてください。
転職先を決める前に意識的に取り組んだことは、大きく分けて三つあります。
【1】心配なことは選考段階ですべて聞く
働き方の融通はどのくらい利くのか、産休・育休は取得しやすいのかなど、長く働き続ける上で心配なことは、一つ一つ選考段階で確認するようにしていました。
自分の不安や要望を包み隠さずに伝えることで、会社のスタンスを知ることができます。
例えば、産休・育休が制度上は整っていても、いざ取得しようとしたときに周囲から苦い顔をされる風土であれば、結果的に長く働くことはできません。
「選考中にワークライフバランスについて質問してしまうと、不利になるのではないか」と不安になる人もきっと多いと思うのですが、「自分はこんなふうに調整しようと思っているけれど、それを実現できる環境か」と自分でも努力をする姿勢を見せれば、不利に働くことはないはず。
むしろ、長く働き続けたいと思っている意思表示にもなると思います。
レノボは、家庭と仕事を両立するための制度が整っているだけでなく、上司や同僚の育児中の女性への理解が深く、救われることが多々あります。
これも、入社前に上司や同僚の価値観が自分と合っているのかを確認できたことが大きいと思いますね。
【2】理想の働き方を体現する「ロールモデル」を見つける
どんなに会社の制度や環境が整っていたとしても、自分が理想としている働き方ができるとは限りません。
そこで、どのような工夫をしたら家庭と仕事を両立していけるのか。
具体的にイメージするために、自分の理想と近い働き方をしている女性を見つけて参考にしていました。
選考中の企業で働く社員の中から、ロールモデルとなるような人に直接話を聞けたら一番いいですが、それが難しい場合もあります。
そんなときは、求人広告や採用サイトなどに掲載されている女性社員のインタビューも参考にしていました。
私の場合は、子育てをしながら営業職の最前線で活躍している女性のインタビューを読んで、どんなふうに時間をやりくりしているのか学ぶようにしたり、「私だったらどこまでできるだろう」と自分自身に置き換えてみたりすることで、入社後に働く姿の解像度を上げていきました。
両立のために自分にとって必要な条件を明確にイメージできたことで、選考中に確認すべきことや注視するポイントがクリアになるので、後悔しない転職をかなえる上で重要な指針になったと感じています。
【3】本当にやりたいこととマッチしているか、仕事内容の細部まで確認する
インサイドセールスと一言で言っても、その定義や業務の範囲は会社によって異なることがあります。
例えば、オペレーティング業務だけを切り取って任されるケースもあれば、外勤営業と同じように目標を追い、お客さまと対面した営業活動を行うケースもある。
だからこそ、求人情報に書いてある仕事内容を具体的にイメージできるようにすることが重要だと考えて、自分は何をしたいのかを言語化できるようにしていました。
数字を追いかけることがストレスになるのか、モチベーションになるのか。お客さまと直接対峙するような仕事がしたいのか、裏から外勤営業をサポートする仕事がしたいのか。
自分は何にモチベーションを持てるのかを明確にした上で、任される業務範囲や求められる役割、売り上げ目標との向き合い方まで選考中に確認したからこそ、転職後に「働きやすいけれど、働きがいが感じられない」状態を防ぐことができたのだと思います。
苦手なことをカバーし合いながら、チームで目標達成を目指す
── 自己分析を行った上で、選考中に疑問や不安点をしっかり払拭できたからこそ、営業職として長く働ける会社を選ぶことができたんですね。では、そんな吉原さんが現在レノボで担当している業務内容について教えてください。
パソコンをはじめとしたIT製品を企業にご提案しているのですが、外勤営業(フィールドセールス)と内勤営業(インサイドセールス)がチームになり、一緒に売り上げ目標を追い掛けていくのが、レノボのスタイルです。
私はインサイドセールスを担当していますが、フィールドセールスのサポートをするポジションではなく、対等な立場のパートナーとして、お互いの苦手な部分や手が回らない部分を補完し合いながら二人三脚で売り上げ目標の達成を目指していくイメージですね。
インサイドセールスだからといって完全内勤ではなく、お客さま先に訪問することもあります。仕事を進めやすい手法を自分たちで選んでいるので業務の幅も広いですし、その分やりがいも感じます。
特に、チームで助け合いながら目標を達成していけるところはこの仕事の醍醐味。私はお客さまにアピールをするのが得意ではないのでフィールドセールスにサポートしてもらうことが多いのですが、逆に細かいフォローアップが得意なので、そこは私がカバーしています。
また、困ったときに一人で抱え込まなくていいのも、チーム営業ならではのメリット。
つまずくことがあれば、フィールドセールスが一緒に解決策を考えてくれます。
個々人が得意なことを生かしつつ、チームメンバーと支え合いながら目標を達成できたときの喜びもひとしおです。
── 仕事をしていて、育児との両立に壁を感じたことはありますか?
リモートワークをはじめとした制度面が充実しているだけでなく、育児と両立して働くことへの理解が深い環境なので、壁を感じることは少ないです。
例えば、第二子出産後に入園できる保育園が見つからず、法令で定められた育休期間よりも延長しなければならないかもしれないと、上司に相談したことがありました。
その時、「会社のことは気にしなくて大丈夫。見つかり次第戻っておいで」と言ってもらえて。すごく心が楽になりました。
こういった環境だからこそ、子育てをしながら営業の仕事を続ける上で困ったことはほぼありませんし、子どもを理由に仕事をセーブしたこともありません。
長く営業の仕事を続ける秘訣は「小さな成功体験を積むこと」
── インサイドセールスとして13年以上働かれていますが、長く営業の仕事を続けるために日々の仕事の中で工夫していることはありますか?
仕事も家庭も完璧にこなそうと思わないようにしています。
多くの場合、営業の仕事はお客さまとコミュニケーションを取る機会が多く、お客さまに合わせて時間管理をしながらタスクをこなす必要がありますよね。
今でこそいいバランスで仕事を楽しめていますが、少し前までは、仕事にあてられる時間が制限されることで「独身時代はできたのに……」と過去の自分に劣等感を抱いてしまうことがありました。できないことばかりに目がいき、苦しくなってしまったんです。
そこで、「あれもこれもやらなきゃ」という発想をやめることにしました。
「ここからここまでをやろう」と現実的なラインでタスクを設定し、さらにそれを細分化。一つ一つクリアする度に、小さな達成感を得られるように仕掛けをつくったんです。
すると、気持ちもポジティブになり、どうしても抱えきれないタスクは仲間たちもサポートしてくれるようになりました。
ちょっとした考え方の転換ではありますが、ささやかなことでも「できたこと」の方に目を向けるようにすることで、仕事も家庭も良いサイクルで回せるようになったと感じています。
営業の仕事を長く続けていくためには、息切れしないマインドセットを持っておくことが重要だと思いますね。
── 環境選びだけでなく、自分自身のマインドセットも「長く働く」をかなえるためには大切ということですね。
そうですね。今は、今後もレノボで長く働いていきたいなと思っているので、営業現場で実績を出すだけでなく、自分が長年培ってきた経験を新入社員の育成など後輩のために生かせたらと考えています。
業務面もそうですが、以前の私のように育児と仕事の両立に不安を抱える後輩もいるでしょうし、そういう人たちに自らの経験を伝えることで、不安を少しでも取り除いてあげたいです。
後輩たちが「あの人みたいに自分もできるかも」と思えるような道筋を見せてあげられたらうれしいですね。
取材・文/井上茉優 撮影/鈴木 迅 編集/光谷麻里(編集部)