06 OCT/2023

「未経験であることは、エンジニアの武器」育成に定評のあるIT企業が明かす、未経験者が育つ環境の特徴

「未経験であることは、エンジニアの武器」育成に定評のあるIT企業が明かす、未経験者が育つ環境の特徴

未経験からエンジニアデビューする場合、何を基準に会社を選べば良いのだろうか?

充実した研修体制はもちろんその一つだ。しかし、研修で身に付けられるのは、あくまで現場デビューするために最低限必要な知識・技術にすぎない。

エンジニアデビューしたその先も、市場で求められるエンジニアとして成長し続けるためには、何が必要になるのか。そしてそれは、どのような環境であれば得られるのか。

そのヒントを探るべく、数多くの未経験エンジニアを育成してきたIT企業、システム・リノベイトに未経験からエンジニアとして入社した有元遥さんと、多くの未経験者を育ててきた、IT業界歴15年のベテランエンジニア平田智子さんにインタビューを実施。

未経験入社2年目にして、お客さまへの提案や、お客さまの要望をシステムに落とし込んでいく上流工程を手掛けているという有元さんの成長の秘訣について、聞いてみた。

株式会社 システム・リノベイト 平田智子さん

株式会社 システム・リノベイト
リーダー 平田智子さん

2013年5月、システム・リノベイトの設立時に入社。IT業界は今年で15年目。プログラマーを経てSEとなり、現在は後輩指導をしつつ、プロジェクトリーダーも務めている

株式会社 システム・リノベイト 有元遥さん

株式会社 システム・リノベイト
ジュニアスタッフ 有元遥さん

新卒で繊維関係の専門商社に事務職として入社し、約4年間勤務。2022年7月にIT業界未経験でシステム・リノベイトに入社。現在はプログラマーとしてDX支援プラットホーム「kintone」の導入に携わっている

未経験者にはあって、経験者にはない三つのスキル

ーー有元さんは前職は事務職に就いていたそうですが、なぜエンジニアになろうと思ったのですか。

有元:もともとIT業界への憧れがありました。大学時代にIT業界で起業した友人をかっこいいなと思っていたんです。しかし私には、IT業界に対する知識や働き方のイメージが全くなかったため、自分の仕事にするのは難しいと思っていました。

転機となったのは、前職で携わったECサイトの立ち上げプロジェクトです。IT業界にどのような職種の人がいて、どのように役割分担がされているのかを知ると、何となく働くイメージが湧いてきたんです。「自分にもできることがあるかもしれない、挑戦してみたい」という気持ちが高まり、転職活動を始めました。

ーー転職先にシステム・リノベイトを選んだのはなぜですか。

有元:決め手の一つは、未経験者向けの丁寧な研修です。システム・リノベイトには未経験者を3年で一人前にするプランがあります。毎年何をどのように学んでいくのかを具体的に教えてもらえたことは、安心感につながりました。

でも何よりも心を引かれたのは、知識も経験もなかった私の「頑張りたい」という強い気持ちをしっかり受け止めてくれる風土でした。面接の中で、社長自ら私の話をじっくり聞いてくれて、意欲をくみ取って応援してくれたことに驚きましたし、うれしかった。こういう会社なら、エンジニアとして成長していけそうだなと感じましたね。

「未経験であることは、エンジニアの武器」育成に定評のあるIT企業が明かす、未経験者が育つ環境の特徴

ーーそもそも御社では、なぜ未経験者の採用を積極的に行っているのですか。

平田:未経験者には、経験がないからこそ利用者目線でのシステムのあり方や利用方法を考える視点があります。

また、IT用語も慣れていないため、お客さまへの説明も分かりやすい用語で丁寧に話せることで、お客さまに好印象を与えることができるんですよね。

経験が豊富にあるエンジニアの場合、慣れからくる独自の判断で、作り手視点の提案や一般的には分かりにくい用語を使ってしまう可能性があります。

このように、未経験者と一緒に仕事をすることで経験者も気付かされることがあると思っていて。未経験者を採用し続けることで、お客さまが理解しやすい言葉を使えたり、ユーザー視点での説明ができたりするので、常にお客さまに安心いただけるご提案が可能になる側面があります。

ーー未経験者であっても、すぐにお客さまと対面できるエンジニアになれるのでしょうか。

平田:むしろ未経験者だからこそ、お客さまとは積極的に関わってほしいと思っています。

IT業界はどうしてもプログラムをするイメージが強く、コミュニケーションの大切さが認知されづらい傾向があります。

無論、プログラムを極めて専門的な知識を身に付ける事も大切ですが、大事なのはシステムを扱う人は誰なのか。作ることよりも、お客さまにメリットあるかたちで利用してもらうことの方が大切であることを理解してほしい。

そのためには、早い段階からお客さまと対面する機会を設けて、その大切さを知ってもらう必要があると考えています。

「未経験であることは、エンジニアの武器」育成に定評のあるIT企業が明かす、未経験者が育つ環境の特徴

未経験入社2年目が、新人育成を担当

ーー入社後に受けた研修プログラムの内容について教えてください。

有元:入社後は、3カ月間の研修を通して、ビジネスマナーやIT業界の基礎用語、プロジェクトで必要となる技術について学びました。

研修中は「難しいな」と感じる瞬間もありましたが、徐々にレベルが上がっていくように構成されていたので、自然とステップアップすることができたと思います。研修が終わる頃には、Webアプリの簡易登録画面を作成できるレベルまで到達できました。

プロジェクト配属後も、研修中に自分が書いたプログラムを見て疑問点を解消することが多々あり、実務に直結する研修だったと感じています。

研修ももちろんためになったんですが、実際のプロジェクトに入ってみて、研修で教わったこと以外の経験もすごく生きているのを実感しているんです。

ーー研修以外の経験と言いますと?

有元:新人育成です。私は今年入社2年目になるのですが、この4月に入社したばかりの新入社員の育成を任せてもらっています。

頭の中にある知識を言語化しなければならないため、勉強し直すこともあり、自分自身の理解も深められていますね。

ーー未経験で入社して2年目で、新入社員の育成を担当しているんですね!

平田:未経験スタートのエンジニアに早めに育成の立場を経験してもらうのは、システム・リノベイトの方針でもあります。

先述した通り、プロジェクトを円滑に進めるためには、エンジニアがお客さまときちんと意思疎通できることが必要不可欠なため、当社ではそうした能力の高いエンジニアの育成に力を入れているんです。早めに後輩指導を経験することが、「プロジェクトで必要なコミュニケーション能力」の向上にも役立っていると感じます。

ーーエンジニアのコミュニケーション力アップに力を入れるのは、システム・リノベイトのこだわりなんですね。その他にも育成でこだわっていることはありますか?

平田:もう一つは、直接顔を合わせた状態での育成にこだわりを持っています。お客さまとの打ち合わせはリモートの場合も多いですが、少なくとも当社側のメンバーが同じ空間にいれば、困っている時に横からフォローできます。こうしたサポート体制も、未経験者の成長を促すためには大切な要素だと思っています。

有元:やっぱりすぐ隣に先輩がいる安心感は大きいですね。お客さまと話をしている最中に一回先輩と作戦会議をする、なんていうこともよくあります(笑)

平田:ちなみにシステム・リノべイトでは、上下だけでなく横のつながりも強く、新人同士での教え合いが盛んです。「これはあの人に聞くといいよ」といった情報交換も行われていて、つながりの強い風土が成長を促進していると感じます。

有元:
横のつながりがあって良かったなと感じるのは、未経験者ならではの目線で教え合えることです。未経験者同士ならば相手の置かれた状況を理解しつつ、難しい言葉を使わずに教え合うことができるんです。

「未経験であることは、エンジニアの武器」育成に定評のあるIT企業が明かす、未経験者が育つ環境の特徴

ーー相手に合わせたコミュニケーションを取る力は、エンジニアとしての市場価値を高めていると感じますか?

有元:間違いなく高めてくれていると思います。技術は学べば身に付けられますし、いずれ経験者との差も埋めていけると思うんです。

そのうえでエンジニアとしての付加価値になるのは、お客さまと会話をしながら、お客さまが求めているものをくみ取り、実装していくことなんですよね。この力を未経験入社1年目から鍛えてもらえているのは、すごくラッキーなことだなと感じています。

平田:プロジェクトを円滑に進める上で、社員同士であっても対お客さまであっても、しっかり意思疎通をとるスキルって必要不可欠だと思うんですよね。

お客さまが困っていることをうまく聞き出しながら、お客さま自身が気付いていない課題も可視化する。そうすることで、間違った方向に進むことがないよう確認を取り、お客さまが求める結果へと導いていく。

この一連の流れをリードできる人こそが、市場から求められるエンジニアだと、私自身現場で実感してきました。だからこそ、育成の過程でも密なコミュニケーションを取り、指導するエンジニアと未経験者の間での意思疎通も重視しています。

ーー意思疎通を大切にしているからこそ、つながりの強い社風を築いているんですね。システム・リノベイトは今地方拠点の拡大を進めているそうですが、将来拠点が増えてもコミュニケーションを重視した開発や未経験者育成を続けていくのでしょうか。

平田:もちろんです。当社は現在、東京、大阪に次ぐ第3の拠点を7月に福岡で開設しました。その後も徐々に全国各地に拠点を広げていく計画です。

今はリモート時代ですので、支店を立ち上げなくてもバーチャルオフィスなど、リスクが少なく地方の人材を増やすことが可能です。

ただ、その土地でちゃんと支店を作ることで集まる仲間を大切にしたい。お客さまのそばで対応できるようにしたい。そのためにリスクがあっても支店を作ることを大事にしています。

育成においても、対面でしっかりコミュニケーションを取っていくスタイルは維持したいと考えていますので、拠点が拡大しても、未経験者との向き合い方は何ら変わりません。

ーー全国各地に拠点を立ち上げていくのなら、地元や住みたい地域に住みながら、“つながり”を感じられそうですね。

平田:その通りです。「将来は地元に帰りたい」「結婚したら自然の豊かな地方で子育てがしたい」など、自分らしいライフプランを実現しながらも、仲間と一緒に成長していける環境をつくることは、代表のこだわりの一つでもあるんです。

新しい土地でいろいろな人と出会い、つながりを持ちながらエンジニアとして成長していける環境があるのも、当社ならでは。東京や大阪の拠点と変わらない成長を遂げられる地方拠点をこれから拡大していくので、今地方に住んでいる人も、これから移住を考えている人も、安心して仲間に加わっていただければと思います。

任せる分、フォローも手厚く

ーー有元さんは、未経験エンジニアとして入社してから1年余りがたちました。ご自身の成長についてどのように感じますか。

有元:まだ入社2年目ですが、お客さまの希望をどのようなシステムにすれば実現できるのかを考える仕事をさせてもらったり、お客さまとのMTGの場で私に提案を任せてもらえるパートがあったりと、「コードを書く」以外の仕事でも少しずつ価値を出せるようになってきたように感じます。

平田:有元さんのように、入社1~2年目の若手エンジニアたちがお客さまと直接コミュニケーションを取ってバリバリ進めていく姿を見ると、すごく成長を感じますね。会社としても、なるべく早めにお客さまと会話するポジションを経験してもらえるように心掛けていますが、無理のないように徐々に任せるようにしています。

「未経験であることは、エンジニアの武器」育成に定評のあるIT企業が明かす、未経験者が育つ環境の特徴

有元:いきなり全てを任されるのではなく、少しずつ話せる範囲を広げてもらえているので、程よいペースで成長していけるのは安心ですね。

また、任せてくれる分、何かあればフォローしてくれる体制も心強いです。未経験者は特に、「自分で考えて解決するべきこと」と「先輩に聞くべきこと」の判断がつかずに、つい抱え込んでしまうことがあると思います。

でも当社では、悩んでいると先輩から「どんな感じ?」と声をかけてくださるんです。むしろ、現場に入ってからの方が先輩社員を近くに感じているかもしれません。

平田:プロジェクトデビュー後にしっかりフォローしていくのは、私たちのこだわりの一つ。プロジェクトには100%チーム体制で入り、少しでも困った様子があったら私たちから声を掛けることを意識しています。

未経験者の中にはすぐ聞ける人もいれば、なかなか聞けない人もいると思うので。相手の性格を踏まえた上で声をかけるようにしているんです。有元さんはちゃんと聞くべきときに聞いてくれるので、あまり心配していませんよ。

有元:それは平田さんたち先輩社員の皆さんがとても穏やかで、話しかけやすい雰囲気があるからです。私が相談すると、いつも一緒に画面を見ながら親身にアドバイスしてくださいますよね。親身に向き合ってくださるので、分からないところはどんどん質問しながら成長して来られたんだと思います。

ーー最後に、有元さんの今後の目標を教えてください。

有元:今まで先輩たちは、私に本当にたくさんのことを教えてくれました。未経験ながらエンジニアとして成長してこられたのは、ただ研修で技術を学ぶだけでなく、市場で求められるエンジニアにとって必要になる「お客さまと通じ合う力」が1年目から身に付くように育成をしていただけたからです。

これからは今まで教わったことを、自分が理解するだけでなく、新しく入ってくる方にも分かりやすく伝えられるようになりたいです。

そして、お客さまからも社内からも、「この仕事は有元に任せたい」と言ってもらえるような存在になれるように成長していきたいと思います。

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取材・文/一本麻衣 撮影/鈴木 迅 編集/光谷麻里(編集部)