リファレンスチェックの真の目的を人事が明かす!転職者のSNSチェックするって本当?

大きな声では言えない本音、ぶっちゃけます!
採用担当者の覆面ガチトーク

表立って聞きにくい「これってどうなの?」という転職にまつわる女性たちの疑問を中途採用担当者に直撃!人事のリアルな見解とは……?

採用担当者の覆面ガチトーク

最近、過去の職場での勤務状況や人となりを確認する「リファレンスチェック」を導入する企業が増えている。

少し検索すれば、転職者のSNSやブログなど、過去の発信が簡単に探せる今。企業は書類だけでは分からない転職者の情報について、どのくらいチェックしているのだろう。

3名の中途採用担当者に聞いてみた。

<お話を聞いた中途採用担当者>
●IT系メガベンチャーの採用担当者・加賀さん(仮名)
●大手アパレル企業の採用担当者・中野さん(仮名)
●スタートアップの採用担当者・石田さん(仮名)

転職者のSNSチェックはほとんどしない

編集部

採用候補者のSNSやブログなど、チェックしますか?

石田さん

履歴書やメールにURLが書いてあれば軽く見ますけど、わざわざ自分から探してチェックすることは基本的にないですね

加賀さん

同じく、URLが明記されている場合は見ない方が失礼だと思うのでチェックしますが、わざわざ検索してアカウントを探すようなことはしないです。

中野さん

私も調べないです。

積極的にSNSで発信をする業界や職種の人だった場合に、過去に過激な発言をしていないかチェックしたことはありますが、そのくらいですね。

編集部

SNSに限らず、フルネームで検索したりもしないですか?

中野さん

業界・業種的に発信が多そうな人であれば検索することもありますが、それ以外の場合はほとんどしないですね。

石田さん

スカウトメールを送る際に、もう少し情報がほしいなと思って検索をしたことはあります。

企業の採用ページやご本人のブログなど、その人のことを知る材料はないかな〜と。

加賀さん

最終ジャッジを下す前に「過去に問題がないか」をチェックする意味で一応検索することはあります

でも、役職者のポジションでの採用など、それなりに高い年収を提示する場合に限りますね。

特にエグゼクティブクラスだと取材を受けていたり自身で発信をしたりと、アウトプットが多い傾向にあるので、一つの参考情報として検索をすることはあるかな。

ただ、それ以外の人であれば検索することはほとんどないです。

編集部

意外にも、わざわざ調べてまでチェックすることは少ないんですね。

加賀さん

ご本人からいただいた書類の情報と、面接で得た情報から判断をするのが採用の基本ですからね。

リファレンスチェックの目的は「転職者の見極め」ではない?

編集部

リファレンスチェックはどうですか?

転職者の過去の職場での勤務状況や人物面を確認する目的で、導入する企業が増えていると聞きます。

石田さん

たしかに増えている印象はありますね。

ただ、役職者の採用時に行う傾向が強いかな。全員に対して行うわけではないと思います。

加賀さん

当社もリファレンスチェックのツールを導入していますが、全員に行うわけではないですね。

そもそもリファレンスチェックは本人の許可を得て、本人が指定した人に話を聞くものです。基本的にポジティブな話しか出てこないから、候補者を見極める参考にはならないかなと。

そういう意味でも、やっぱり候補者の見極めは選考の場でやるのが基本だと思います。

石田さん

こちらも「悪いことを書くわけない」と思って見ていますしね。だから正直、リファレンスチェックの内容を100%信じるわけでもないというか。

編集部

そうなると、リファレンスチェックはどういう目的で行うんですか?

加賀さん

入社後の参考情報を得るためです。

「こういう場面で落ち込みやすい」「こういうことでテンションが上がる」など、相手をより深く知り、入社後の早期活躍を後押しする材料として使うイメージです。

中野さん

あとは、選考で疑問や違和感があったときにも行いますね。

「前職で素晴らしい実績を出しているのに、なぜうちの会社に転職したいんだろう」

「なんとなくコミュニケーションで引っかかるところがあるな」

こういったクエスチョンマークをクリアする目的で実施することがあります。

編集部

その結果、お見送りになる人もいるんですか?

中野さん

1件だけありました。選考でネガティブな違和感があってリファレンスチェックをしたのですが、やはり不誠実な面があることが判明して採用を見送りましたね。

石田さん

私も過去に1人だけいましたね。

元上司の方とオンラインで直接話す機会をいただき、在籍期間中の活躍やマネジメント上の注意点、辞めたいと相談を受けた時にどう思ったかなど、いろいろ聞いた結果、面接で疑問に感じていたことが「やっぱり」となってしまいました。

加賀さん

どちらの場合も、本来であればネガティブなクエスチョンマークが付いた時点で落とすことが多いと思います。

それでも、最後の希望をかけてリファレンスチェックを行う。だから「やっぱり駄目だったか」という最終確認の意味合いが強いですよね。

リファレンスチェックの内容よりも大切なこと

石田さん

リファレンスチェックって、実は内容よりも「リファレンスチェックに協力してくれる人がいる」こと自体が重要なんですよ。

変な辞め方をしていたり、職場の人間関係をこじらせていたりすると、そもそも頼めないじゃないですか。

編集部

たしかに。

石田さん

だからリファレンスチェックを頼める人がいる事実そのものが、信用材料の一つになる。

そういう位置づけでリファレンスチェックを取り入れている会社もあると思いますよ。

加賀さん

リファレンスチェックで悪く書かれることはまずないのですが、ぼろくそに書かれてしまった人が過去に1人だけいました。

本人は良いことを書いてくれると思って依頼したけど、相手はそうじゃなかった。きっとよほどのことがあったのだろうなと思います。

実際、その方は選考をする中で人柄の面で懸念があり、もう1回面接をした結果お見送りになりました。

めったにないケースですが、まさにリファレンスチェックで本人の信頼性が現れた例ですよね。

編集部

普段から誠実に仕事をしているかが転職活動にも影響するのですね。

その上で、転職活動は選考で評価されるのが基本であり、仮に面接でうまく取り繕ったとしても、SNSやネットの検索結果、リファレンスチェックによってそれもばれてしまう。

以前「取り繕った状態で転職して本当に長く働けるのか、考えた方がいい」というお話がありましたが、本当にその通りだなと思いました。

石田さん

そうそう。やっぱり正直に自分を出していくことに尽きると思いますよ。

中野さん

SNSチェックやリファレンスチェックをしなくても、「社員の友達の友達だった」みたいなことはいくらでもありますからね。

特に同じ業界や職種で転職する場合はなおさら。そういう意味でも、うそはつけないなと思います。

企画・取材・文・編集/天野夏海