14 NOV/2023

リーマン後最大級の売り手市場で「女性の転職」に追い風? このチャンスを生かす4つの行動

女性は年齢を重ねても年収が上がらない?

「来春大卒内定者伸び、リーマン後最大7.4%増」――日本経済新聞社が先月発表した2024年度の採用状況調査によれば、主要企業の大卒内定者(24年春入社)は23年春の入社数に比べ7.4%増となりました。

コロナ禍をへて経済が回復してきていることから2年連続プラスとなり、大卒内定者の伸び率はリーマン・ショック後の2009年度以降で最大だったそうです。

リーマン後最大級の売り手市場で「女性の転職」に追い風? このチャンスを生かす3つの行動

もともと少子高齢化に直面している日本では、働ける人の数が急速に減少し、圧倒的な売り手市場が続いています。2065年の労働力人口は約4割減って4000万人弱になるという試算も出ているくらいです。

また今月、厚生労働省から発表された調査結果によれば2023年上半期の出生数は35万2240人となっており、年間の出生数が70万人を割り込む可能性も出てきました。さらに急速に労働力の減少が進む可能性があります。そんな中で働ける人、一人ひとりの価値が一層高まっていきます。

人的資本情報の開示義務化で高まる「多様な人材の採用」への意識

加えて最近のトレンドとして押さえておきたいのが「人的資本の情報開示義務化」の流れです。「人的資本」とは、個人が持つ知識、スキル、能力、経験、価値観などを指します。企業がこれらに投資をすることによって、人的資本を高め、企業の競争力を強化することができます。

この「人的資本」という言葉、最近よく耳にするようになったとは思いませんか?

それもそのはず、2023年3月期決算以降、大手企業4000社を対象に人的資本の情報開示が義務化され、大きな話題となりました。具体的に開示するべき項目も決められており、その中には「人的資本の多様性」として従業員の国籍や性別などの情報もふくまれています。

こういった背景から、「女性をはじめとした多様な人材の採用・育成」に注力する企業がいまだかつてないほど増えています。私がここ数カ月の間にお話しした人事関係者からも以下のような声があがっています。

・「人的資本の情報開示義務のプレッシャーが想像以上。今こそ本格的に女性活躍に取り組まなければいけない」(大手サービス企業・人事担当)

・「社内の重要指標として女性社員比率、女性管理職比率などを月次で確認するほど、女性活躍への意識が高まっている。女性が活躍できる環境整備のためにあらゆる施策を打っている」(大手メーカー子会社・人事担当)

・「女性管理職・女性役員を増やすためには新卒もキャリア採用も両方注力していかないと到底目標を達成できない。間に合わない」(大手IT企業・人事担当)

こちらのコラムでも何度かふれていますが、こうした傾向は働く女性にとっては本当に追い風です!

ここではこうした傾向を踏まえたうえで、20代女性たちがこのチャンスを生かすためにどんなアクションを起こせばいいのかをお伝えします。

ポイント① 自分が「どうありたいか」を明確にする

リーマン後最大級の売り手市場で「女性の転職」に追い風? このチャンスを生かす3つの行動

そもそも「働ける人」自体が日本国内で減っていく中で「人的資本経営」強化の流れもあり、「働きたい女性たち」の労働市場における価値は高まっています。

今いる企業の中で女性リーダー・マネジャーとして昇進・昇格していく道もありますし、自社で能力発揮が難しいということであれば転職や独立・起業などの道もあります。

環境面でもリモートワークOK、フレックスタイムOKといった柔軟な制度を整える企業が増えています。そういった中で3年後、5年後を見据えたときに「どうありたいか」「何をしたいか」をまずは明確にすることを意識しましょう。

ノートに書き出してみるといったことでもいいですし、過去の仕事経験を一度振り返ってみることで見えてくるものもあるはずです。「どうありたいか」「何をしたいか」はすぐに分からないことも多いので、あせらなくても大丈夫です!

ただアンテナをはっておいたほうが有意義な情報にたどりつきやすいので、今すぐにわからなくても意識しておくことが大事です。

ポイント② 自分ができること(Can)を増やす

「自分のありたい姿」を明確にしたうえで、実現するためにあなたに足りていないスキル・経験は何でしょうか?それらを身につけていきましょう。自分ができること(Can)を増やすことが、自分らしく働くことにもつながっていきます。

現在の担当業務の中で深められる部分もあるでしょうし、それが難しいようでしたら社内で異動や兼務などでスキル・経験を広げられないか考えてみましょう。

上司との面談や周囲との会話の中で自分が今後チャレンジしてみたいことについて伝えるのもいいですね。社外のスクールや講座で学びを深めるのも選択肢のひとつです。

ポイント③ 転職するなら、優先順位を明確に!

リーマン後最大級の売り手市場で「女性の転職」に追い風? このチャンスを生かす3つの行動

①②をへて現在の会社ではなく、「転職で新たな環境でチャレンジしたい」という結論に達する人もいることでしょう。そのときは「優先順位をつける」のが何より大切です。

「転職で自分は何を実現したいのか?」──仕事のやりがい、報酬、リモートワークなどの働き方の柔軟性…など重視したいポイントは人によって異なります。

またライフステージによっても変化します。「今回の転職で実現したいことは何か?」「重視したいことは何か?」ぜひ明確に優先順位をつけて企業を探していただきたいですし、エージェントなどの転職サービスを利用する際は担当者に自身の優先順位を伝えていただくことがハッピーな転職には重要です。

ポイント④ 企業の女性活躍に取り組む本気度をチェック

女性のみなさんにぜひ見ていただきたいポイントのひとつが、「その企業が女性を登用することに本気で取り組む意志があるかどうか」です。

その企業の女性管理職比率や女性役員比率はどうでしょうか?

企業トップは女性の登用やDE&I推進(Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包摂性))についてプラスのメッセージを発信しているでしょうか?多様なメンバーが力を発揮するための制度やトレーニングなどの環境整備はされているでしょうか?

ホームページや採用サイトを通して分かる情報もありますし、そういったところに出ていない情報はぜひエージェントや面接などの採用プロセスを通じて企業側との会話の中から必要な情報を得ていきましょう。

女性に対して圧倒的な追い風が吹いているなか、ぜひ自信をもって自分らしく力を発揮できる場所を見つけていきたいですね。

書籍情報

田中美和 自分らしく働くための 39のヒント Live My Life

『Live My Life 自分らしく働くための 39のヒント』
実例もあり! 超実践的フロー&ワークシートであなたの才能をみるみる体系化

「私には強みもないし…」「人に誇れるような学歴や経歴がないんです」
みなさんの中にもそう思う人がいるかもしれません。でも安心してください!  
私たちは100人いれば100通りの人生があります。これまでやってきたこと、取り組んできたこと…今まで経験したことが一人ひとり必ずありますよね。

大切なことは歩んできた道のりをしっかり振り返ること、その結果として自分の手の中に何があるかを正しく理解すること、そして今後どんな人生を歩みたいかを考えて行動へつなげていくことです。
すべてが今につながっているし、振り返ればたどってきた道がある。

>>詳細はこちらから

田中美和

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和

大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事