26 DEC/2023

堀田真由「目標を口に出す」を怖がらずに、有言実行でチャンスをつかんでこられたワケ

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Another Action Starter

日々の暮らしの中で、ちょっとしたチャレンジをすること。それが、Woman typeが提案する「Another Action」。今をときめく女性たちへのインタビューから、挑戦の種を見つけよう!

透き通る白い肌と大きな瞳。かれんなルックスと天真爛漫な笑顔の裏に、ストイックな芯の強さを感じさせる俳優・堀田真由さん。

堀田真由さん

ミステリーをはじめラブストーリー、ホラー、アニメの声優と、守備範囲の広い実力派俳優として知られる彼女は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では主人公・北条義時の正室・比奈役を、『大奥』では3代将軍・徳川家光という難役を演じ、お茶の間に持ち前の演技力を見せつけた。

俳優業にとどまらず、2020年からは雑誌『non-no(ノンノ)』専属モデルにも起用されるなど、活躍の幅は広がる一方だ。

25歳にして彼女がここまでフィールドを広げてこられた背景には、堀田さんの「ある心掛け」がある。

堀田さん

やりたいことや目標は、口に出すようにしています。自分にプレッシャーをかけることで頑張れるし、言霊ってあると思うので。

そうは言っても、堀田さんのように「多くの人に自分の発言が届く立場」にいると、目標や挑戦したいことを口にする怖さもあるだろう。

彼女がそのような恐怖にのまれることなく、チャンスをつかんでこられたのは、なぜなのだろうか。

「役者でありながら役者を演じた」チャレンジングな作品

堀田さん

今回の役は、私にとって大きな挑戦でした。

堀田さんがそう撮影を振り返るのは、2024年1月12日(金)公開の映画『ある閉ざされた雪の山荘で』。人気作家・東野圭吾が1992年に発表した同名ベストセラー小説を初めて映像化したサスペンスミステリーだ。

「大雪で閉ざされた山荘」という架空のシチュエーションで開催された、とある劇団の最終オーディション。招待状を受け取った7人の役者が主演の座を争い“シナリオ”を演じるが、ある夜、殺人事件が起きる——。

フィクションなのか、本当の連続殺人事件なのか。最後まで展開が読めない本格ミステリーで、堀田さんは勝ち気なワガママ女優・笠原温子役を演じた。

堀田真由さん

トリックや人物描写、設定の複雑さから長年「映像化が困難」と言われていた本作。さらに堀田さんたちが演じるのは「劇中でもシナリオを演じる役者」の役だ。これまであらゆる役柄を演じてきた彼女にとっても大きな挑戦だった。

堀田さん

役者でありながら、役者の役を演じるのは初めて。「演じる人を演じる」のは私にとってチャレンジングな経験になるなと感じました。

堀田さん

加えて、私は舞台の経験がないんですが、温子は劇団に所属する役者で、気が強い女の子というキャラクターでもある。普段とせりふの言い回しや発声方法を変えて、声がはっきり聞こえるように意識しました。

緊迫感あるシーンの中で、7人の自然体でテンポ良い会話が観る者を和ませる。重岡大毅さんや中条あやみさん、間宮祥太朗さんといった今をときめく同世代の俳優たちとの共演は、堀田さんにとって刺激的な体験だったと振り返る。

堀田さん

みなさん、本来の人柄と今回の役柄のイメージがかけ離れている印象があったんですが、本番ギリギリまでおしゃべりしていても、本番になるとスッとそれぞれのキャラクターになる。そのお芝居のスイッチの入れ方みたいなものを間近で見て、とても刺激をもらいました。

堀田さん

特に主演の重岡さんは、長尺のセリフなど大変なシーンも多かったんですが、全く間違えないですし、音楽業や他のお仕事で忙しい中でもお芝居の質を追求するストイックさには、背筋が伸びました。

役を借りれば“内気な堀田真由”とはかけ離れた人間になれる

堀田真由さん

主演の座を勝ち取るべくオーディションに挑む温子たち同様、オーディションをきっかけに滋賀から単身上京した堀田さん。

以降、クラシックバレエで培った表現力と確かな演技力を武器に、青春ドラマから時代劇まで幅広い役柄を演じ分ける。

25歳という年齢を感じさせない落ち着いた佇まいの彼女だが、難易度の高い役柄やドラマ主演への抜てきといったチャレンジの数々に「プレッシャーを感じる場面もある」と本音をこぼす。

堀田さん

ありがたいことに、一筋縄じゃいかないような難しい役をいただくことも多くて。プレッシャーや怖さを感じて、心が折れそうになる瞬間はたくさんあります

それでも、監督や他の演者さんと話し合いながら、答えがないものを一緒に作りあげていく過程が楽しいんです。完成した作品やお客さんの反響を見たら、やっぱりお芝居はやめられないなって。エンターテインメントって本当に面白い世界だなって思います。

「芝居が楽しい」——。堀田さんを支えるのは、そんなピュアな思いだ。

とはいえ、プレッシャーの大きい仕事が続く中で、そこまで芝居にのめり込めるのはなぜなのか。そんな率直な疑問をぶつけると、はにかみながら意外な素顔を明かしてくれた。

堀田真由さん
堀田さん

私、実はもともと人前に出るのが苦手なタイプで、大人数でワイワイするのもあんまり得意じゃないんです。

それでも役を借りれば、“素の堀田真由”とは全然違うキャラクターになれる。温子みたいな、ちょっと勝ち気な女の子とかね。

そうやってお芝居を通していろんな人生を追体験できるのが、たまらなく楽しいんです。

自分を追い込まない“ゆとり”をつくれば、有言実行も怖くない

“素の堀田真由”はどんな女性なのか——。そう思わせるほど、明るい役からミステリアスな役まで、そして現代劇から時代劇まで、彼女が作品ごとに見せる表情は多彩だ。

俳優業で結果を出す一方で、人気ファッション誌の専属モデルとしても活躍する堀田さん。彼女がこんなにも数々のチャンスを引き寄せるのは、ある“マイルール”が関係しているようだ。

堀田さん

以前から、やってみたいことや目標があればなるべく声に出すようにしてきました。これまでも「俳優になりたい」「ファッション誌に出たい」って言い続けていたら、かなったから。

“言霊”っていうように、ご縁をつないでもらうことも多い世界だと思います。

堀田さん

有言実行できなかったら自分に納得できないタイプなので、口に出すことで頑張れるっていうのもあります。あえて言葉にすることで、自分に良いプレッシャーをかける

自分が言ったことは絶対に実現させたいと思うから、目標を達成するまで努力し続けられるのかもしれません。

なんともストイックな彼女らしい言葉だ。しかし「達成できなかったとき」を考えて、人前で目標を公言することをためらう人は多いかもしれない。

堀田さんのように表舞台に立つ職業なら、なおさらその怖さは増しそうだ。そんな疑問をぶつけてみると、少し意外な言葉が飛び出した。

堀田真由さん
堀田さん

あえて目標には厳しいリミットを設けないようにしているんです。お芝居って答えがない世界でもあるから、なるべく長いスパンで考えるようにしているというか。

あせらずに目の前にあることを一つ一つ着実にやっていくうちに、夢に近づいていればいいのかなって。ファンの方や周囲の人たちにも、同じように長い目で見守ってもらえるとうれしいですね。

そう話す堀田さんだが、以前は達成までの期限を決めて目標を掲げていたという。しかし、自分で決めた期限内で達成することに固執するあまり、結果に一喜一憂し苦しくなっていった。

堀田さん

今は、大きな目標だけ決めて、あとは流れに身を任せる方が私らしいのかなと思うようになりました。これまでを振り返っても、いただいた目の前のお仕事にがむしゃらに向き合ううちに、気づいたら夢がかなっていたことも多かったから。

堀田さんが目標を口に出すことを恐れずにいられるのには、もう一つ理由がある。それは、目標ややりたいことだけでなく、悩みや葛藤などもオープンにしていることが大きい。

堀田さん

今までは何でも一人で解決しようとしていたんです。でも最近、悩みや葛藤も周りに言っていいんだなと思えるようになりました。

目標も、それをかなえていく段階でぶつかった壁も、どちらも口にするようにして自分一人で背負い込まない。そうして、周りの人たちの力を借りて夢に近づいていけたらいいんだなって。

堀田真由さん

「私、あんまり器用じゃないんです」と恥ずかしそうにほほ笑む。自分の弱さを見せられるようになった堀田さんの、挑戦への足取りはさらに軽やかになったようだ。

では、直近でやってみたいことは? そう尋ねると、「“本物”に触れたい」と前を見据えて語る。

堀田さん

洋服が好きなので、パリやミラノのファッションウィークに参加してみたいです。お芝居だと舞台にも挑戦してみたいし、朝ドラのように長期で一つの役を突き詰める経験もしたいなって。

プライベートでも、外を歩いて美しい風景を見たり、友達とたわいない会話をしたり。映像を通してではなくて、“本物”に触れる機会を増やしていきたいんです。

そう目を輝かせて話す彼女の根底にあるのは、やはり「芝居への情熱」のようだ。

堀田さん

仕事でもプライベートでも、いろんな経験をするほど、お芝居に厚みが出るじゃないですか。役者って、そんなところが面白いなと思うんです。

来年はどんな自分に出会えるんだろう。そう考えたら、年齢を重ねるのが楽しみ。そうやっていろいろな経験をして、最終的には全部お芝居に還元していけたらうれしいですね。

堀田真由さん

堀田真由(ほった・まゆ)さん

1998年4月2日生まれ 滋賀県出身。NHK連続テレビ小説「わろてんか」(2017年)で注目を集め、その後、NTV「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」、映画「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」などの話題作に多数出演し、映画「プリズン13」(2019年)、CXドラマ「サロガシー」(2021年)では主演を務める。 その他の出演作に、ドラマではNHK連続テレビ小説「エール」、FOD(CX)「いとしのニーナ」ヒロイン、TBS「危険なビーナス」、映画では「ライアー×ライアー」、「るろうに剣心 最終章 The Beginning」、「バカ塗りの娘」などがある。2022年に入ってからの出演作品は、初声優で主演を務めたアニメ「ブルーサーマル」、WOWOW連続ドラマW「正体」、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、NHK「大奥」、ABC「たとえあなたを忘れても」などがある。■XInstagram

作品情報

『ある閉ざされた雪の山荘で』2024年1月12日(金)全国公開

堀田真由さん

全員役者、全員容疑者。
果たしてこれは、演技か、事件か。

劇団に所属する役者7人に届いた、
4日間の合宿で行われる最終オーディションへの招待状。
新作舞台の主演を争う最終選考で彼らが“演じる”シナリオは、
【大雪で閉ざされた山荘】という架空のシチュエーションで起こる連続殺人事件。
出口のない密室で一人、また一人と消えていくメンバーたち。
果たしてこれは、フィクションか? それとも本当の連続殺人か?
彼らを待ち受ける衝撃の結末とは――

2024年1月12日(金)公開、東野圭吾原作!映画『ある閉ざされた雪の山荘で』ロング予告編
出演:重岡大毅、間宮祥太朗、中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵
監督:飯塚健
脚本: 加藤良太 飯塚健
原作:東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」(講談社文庫)
主題歌:「FICTION」(WEST.)
配給: ハピネットファントム・スタジオ

公式サイトXInstagram

©2024映画『ある閉ざされた雪の山荘で』製作委員会

取材・文/安心院 彩 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER) ヘアメイク/河嶋 希(io) スタイリスト/辻村真理 編集/光谷麻里(編集部)