売り手市場なのに転職できない人が急増? やりたいことが分からない“転職迷子”のための自己分析のススメ【田中美和】

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近年、転職希望者は増加していて2023年の総務省の資料によれば転職希望者は1035万人で10期連続で過去最多となっていることが話題です(下図)。

田中さんデータ

総務省資料より

一方、実際の転職者数は上図の青の折れ線グラフのように300万人強にとどまっています。その背景には、いわゆる「転職迷子」と呼ばれる状態に陥る人が多いことが挙げられます。

そもそも「転職迷子」とは、転職活動において、「なぜ転職したいのか」「どのようなキャリアを築きたいのか」が明確になっていない状態を指します。具体的には以下のような特徴が見られます。

☑漠然と「今の会社が嫌だ」と感じている

☑転職先企業や職種について具体的なイメージを持っていない

☑自分の強みや弱みが分からない

「転職迷子」になる原因はさまざまですが、自己分析の不足や転職に関する情報収集が不十分であること、キャリアプランをしっかりと立てていないことなどが考えられます。

みなさんはいかがですか?

ハッピーな転職をするためには、自己分析をしっかりと行い、自分の価値観、強みや弱み、興味・関心、スキルなどを理解した上で、今後どのようなキャリアを築きたいのかを明確にしておくことが大切です。

自己分析のやり方は多くの転職サイトでも紹介されていますが、今回「明確な転職軸がない」「自分は何がやりたいのか分からない」という方におススメの自己分析のポイントを3つご紹介します。

【1】学生時代まで遡り、楽しかったことやつらかったことを書き出す

田中美和さん

人は誰でも過去の積み重ねが今につながっています。過去の経験が自分自身を理解する上で重要な手がかりになるんですね。

このためまずは自己分析として学生時代から社会人時代まで、楽しかったこと、つらかったこと、やりがいを感じたことなどを具体的に書き出してみましょう。

ノートに箇条書きでもいいですし、パソコンやスマホを使って書き出すかたちでも大丈夫です。

☑学生時代の部活動やアルバイトを振り返り、どのような役割を担い、どのような成果を上げたのかを書き出す。

☑社会人時代の仕事内容を時系列にそって振り返り、どのようなスキルを身に付け、どのような経験を積んだのかを書き出す。

☑プライベートで力を入れたことや熱中したことを振り返り、どのような能力を発揮したのかを書き出す。

ポイントは「楽しかった」「やりがいを感じた」ポジティブな経験だけではなく、つらかったことやうまくいかなかったことなどネガティブな経験もふくめて振り返ることです。ネガティブな経験からも私たちは学んでいるからです。

実際に転職活動を行うにあたってはこれまでの仕事内容や成果を具体的にまとめた「職務経歴書」を用意する必要がありますが、【1】で述べたように過去の振り返りがしっかり言語化できていると職務経歴書作成にも生かすことができますし、書き出すことで自己理解が深まります。

【2】自分にとって大切なことや、ゆずれないことを書き出す

田中美和さん

価値観は、自分にとっては何が大切で、何を求めているのかという人生における指針です。強みは、自分が得意なことや周囲から評価されることです。

仕事選びにおいても自分の価値観に合っていて、強みを生かせる環境を選んだ方が充実感を得られますしモチベーションも維持しやすくなります。

自分の価値観を知るために以下のような問いを自分自身に投げかけながら答えを書き出してみましょう。

☑人生において最も大切にしたいこと、ゆずれないことは?

☑仕事において最も大切にしたいこと、ゆずれないことは?

☑仕事でもプライベートでも充実感が得られるのはどんなとき?

☑自分が尊敬する人(なりたい理想の人)は誰?その理由は?

「自分の強みが分からない……」という人は、以下のような問いを自分自身に投げかけながら具体的なエピソードを思い出してみるとその中にヒントがあることが多いです。

☑過去の仕事や経験で、周囲から褒められたことは何?

☑過去の仕事や経験で、自分が最も成果を出したと思うことは?

☑過去の仕事や経験で、自分が最も熱中したことは?

☑自分が周囲から頼られることはある?それはどんなとき?

「いやいや、私なんて何も強みがなくって…」という方は多いのですが、自分自身以上に周囲がよく理解している場合があります。

ですから上のような質問に自分で答えるのが難しければ家族や友人・同僚など周囲の人に聞いてみましょう。

クリフトンストレングステスト®のような客観的なツールを用いて自己分析する方法もありますし、キャリアカウンセリングやコーチングなどの手法を取り入れてもいいかもしれません。

価値観は、時間とともに変化する可能性もあります。変化してもかまわないのです。置かれている環境やライフステージの変化により移り変わる人もいらっしゃいます。そのときどきの自分が大切にしている価値観を把握して仕事選びに生かしていきたいですね。

また強みや弱みは、視点を変えると別の側面が見えてくることがあります。客観的な意見を聞くことで、自分では気づいていなかった強みや弱みを発見することができることはぜひ知っておいていただきたい点です。

【3】理想の仕事や働き方をイメージする

田中美和さん

3つ目のポイントは「理想の仕事や働き方をイメージしてみる」ことです。理想の仕事や働き方をイメージすることで、自分がどのようなキャリアを築きたいのか、どのような仕事を選ぶべきかを明確にすることができます。

☑5年後、10年後のありたい自分はどんな自分か

☑自分が理想だと思う仕事や働き方をしているのはどんな人か

☑どのようなスキルや能力を生かして働きたいか

☑どのような働き方をしたいか(正社員、フリーランスなどの雇用形態やリモートワークなどの働くスタイル)

ここで大切にしたいのは自分の理想のライフスタイルも考慮に入れることです。住む場所や家族やプライベートの時間など、「どう生きたいか」の中で仕事をとらえるようにしたほうが日々の充実感につながりやすくなります。

上記のような問いに対して生まれてきた理想の仕事や働き方を実現するために、これまでの自身のスキルで何が生かせるかを考えてみましょう。

これまでの経験だけでは不足しているということであれば新たなスキルを学んでキャリアチェンジにつなげるのもいいですね。

新卒の就職活動だけではなく、大人のキャリア選択でも自己分析は大切。忙しい毎日の中で少しでも今のキャリアに疑問を感じるのであれば、今回紹介したような手法で自己を振り返ることから始めてみてはいかがでしょうか。

転職するなら、今の「売り手市場の波」に乗りたいところ。まずは自分と向き合い、転職活動への第一歩を踏み出せるといいですね。

書籍情報

田中美和 自分らしく働くための 39のヒント Live My Life

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「私には強みもないし…」「人に誇れるような学歴や経歴がないんです」
みなさんの中にもそう思う人がいるかもしれません。でも安心してください!  
私たちは100人いれば100通りの人生があります。これまでやってきたこと、取り組んできたこと…今まで経験したことが一人ひとり必ずありますよね。

大切なことは歩んできた道のりをしっかり振り返ること、その結果として自分の手の中に何があるかを正しく理解すること、そして今後どんな人生を歩みたいかを考えて行動へつなげていくことです。
すべてが今につながっているし、振り返ればたどってきた道がある。

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田中美和

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和

大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事