愛情だけでは半人前! これからの商品企画に必要なもの/カルビー株式会社

女性活用が声高に叫ばれている昨今、多くの働く女性たちが、ビジネスパーソンとしてのスキルやマインドを磨き、自分の市場価値を高めていく必要性を感じ始めている。
でも、市場価値の高い女性って、実際のところどんな女性? 身に付けているべきスキルやワークマインドってどんなもの……? まだまだ働く女性のロールモデルが少ない中、ぴんとこないことが多いのではないだろうか。
そこで今回は、現代の日本社会における“市場価値の高いオンナ”の姿を浮き彫りにすべく、日本のトップカンパニーで活躍中の管理職の方にインタビューを実施。
各界のプロフェッショナルが考える“今、一緒に働きたい女性像”を参考に、業界、職種の壁を越えて社会に必要とされる女性になるための第一歩を踏み出そう。
特集第4弾は、カルビー株式会社で商品企画を担当する荒木友紀さん。
人気メーカーの商品企画といえば、多くの人が一度は憧れたことがある職種ではないだろうか。誰もが知るメジャーブランドを扱いながら、時代の先頭を突き進む荒木さんに、これからの社会で商品企画として活躍できる人の条件を聞いた。
オフィスにいても何も生まれない!
外へ飛び出し、時代の変化をキャッチする

カルビー株式会社
マーケティング本部スナック部2課
課長 荒木 友紀さん
2004年入社。入社以来、商品企画として野菜スナックやポテトチップスなどのヒット商品の裏側を支え続ける。14年4月より現職。現在は、長男(8)、長女(5)の2児の子育てを両立しながら、2人の部下を持つ管理職として活躍している
健康志向や食の安全性へのこだわり。目新しい食品への好奇心――。
今、日本社会の食に対する意識はすごいスピードで変化をしています。だからこそ、私たち商品企画が持たなければいけないのは、変化に対する順応力。人々の意識の変化を敏感に察知して、すぐに企画に落とし込めることがこのフィールドで活躍できる人の絶対条件です。
変化を感じ取るために必要となるのは、外に出て世の中を観察する行動力ですね。
会社で机に向かっていても世の中のことは見えないし、良いアイデアも生まれてこない。だから、スーパーに行って主婦の皆さんがどこに注目して商品を手に取っているかを見たり、話題のお店に足を運んだり、繁華街を歩きながら目立つ広告をチェックしたり。
今、世の中では何が流行っているのかを自分の目で見て確かめる。そこで得たものが、自分の商品を進化させるヒントになるんです。
私自身も普段から目にとまった商品に出会うとすぐ手にとります。
それは何も自分の扱っている食品という分野のものだけではありません。化粧品から日用品まで、人の意識を引く物だったら何でも興味を持ってみることが大事。
あとは、周囲の友達にも気になることがあれば「何でそれを買ったの?」と聞いてみる。もちろん仕事でモニター調査などは行いますが、アンケートなどで得られる回答ってどうしても用意されたものになりがち。
友人同士の何気ない会話の中から出てきた答えの方が、参考になることも多いんです。友達からしたら「何でそんなに聞いてくるの!?」って若干引いているかもしれないけど(笑)、それくらいしつこく質問してでも、彼女たちの行動の根っこにあるものを掘り出したい。
こうやって自分の普段の行動を改めて振り返ってみると、仕事とプライベートであまり明確な線引きはないかもしれませんね。
自分が普通に生活している中で「何で?」と思って起こしたアクションの数だけ企画の引き出しが増えていくものです。それが楽しめるくらいじゃないと、商品企画を仕事にするのは難しいかもしれません。
守るべきものと変えるべきものを取捨選択
アグレッシブに挑戦し続ける
その上で、これからの時代にさらに強く求められるもの。それは、長年多くの人に愛されてきたブランドに目新しい要素をプラスし、“ニュース”をつくっていくようなチャレンジスピリッツ。
今はとにかく消費者の飽きるスピードが速い。その中で、多くの人の目にとまるような話題性を商品に与えることが私たちには求められています。
例えば、私たちが扱っている『サッポロポテト』のようなロングセラー商品でも、時代が変わっても守り続けなければいけないところと、時代に合わせて変化しなければいけないところがあります。
私も自分の子どもを持ったときに実感したのですが、子どもって目新しいものが大好きなんですよ。友達同士でお菓子を持ち寄ったときも、「何でこれを買ったの?」と聞いたら「だって見たことないでしょ?」というような珍しいものを好んで選んでくる。
だから、『サッポロポテト』のような定番商品は子どもたちから注目されにくいんです。
じゃあ、その中でどうやって子どもたちに振り向いてもらう“話題性”や“目新しさ”をつくっていくか――。
去年は、『日本全国キャラクターなりきりオーディション』と題して、小学生のみなさんに『サッポロポテト』に合ったキャラクターを考えて、それになりきったポーズの写真を投稿してもらいました。
そして、その中から審査で選ばれたものをパッケージの表面に掲載したんです。
これまでなら、こういう試みは『サッポロポテト』のようなロングラセラー商品ではなかなか怖くてできなかった。だけど、消費者の間で話題にのぼっていくためには守りの姿勢に入ってはいけない。果敢に攻め続ける姿勢が、商品企画には大切なんです。
その上で、パッケージの基本的なカラーだったり、皆さんにもお馴染みのあのポテトのキャラクターだったり、変わらずに受け継いでいかなければいけないところはちゃんと守り続ける。
守るべきものと変えるべきものを適切に取捨選択することが、これからの商品企画にはより必要となるセンスなのではないかと思います。
商品をフラットに観察する視点が
課題解決のヒントを生む

また、商品企画を担当する人の多くがぶつかる壁があります。それは、自分の担当商品に対して盲目的になってしまうこと。
私たちはパッケージのデザインから味や食感、そして販促キャンペーンに至るまで、商品の全てに関わる仕事をしています。
ですから、自分の担当するブランド・商品を子どものように愛するがあまり、その商品が抱えている問題点や課題に盲目的になってしまうことがあるのです。
もちろん、自分の子どもを育てるような気持ちでその商品に愛情を注ぎ、責任感を持って世に送り出せる力を持っていることは大前提です。
でも、それができるだけじゃ半人前。一人前の商品企画は、自分の担当ブランドへの愛情と責任感に加えて、そのブランドに対する“フラットな視点”を持ち合わせているものです。
例えば、「スナック菓子は子どもには食べさせたくない」と考えるお母さんたちも少なくないと思います。でも、本当は『サッポロポテト』って素材にもすごくこだわりを持っているんです。
じゃがいもは工場で蒸かしたものを使っているし、丸ごとのチキンと野菜も煮込んでスープにしたものを使っています。
長く働いている私たちにとっては当たり前のことだったのですが、新しく入社してきた社員に、「何でもっとちゃんと伝えていかないんですか? それを知ったらもっと食べたいと思うのに……」と言われたことがあって。
私自身その一言を受けて、フラットな視点が欠けていたことを改めて気付かされたんです。こんなに長くお客さまに愛されているブランド・商品であっても、まだまだ改善していく余地は残されている。そして、そういった課題に気付けるかどうかで商品企画としての力量が試されるのでしょう。
先ほども申し上げたように、自分の担当するブランド・商品に愛情と責任感があることは大前提。でも、それだけじゃダメ。これまでの常識にとらわれず殻を破ってくれるような人はこれからの時代できっと活躍していくだろうし、私も一緒に働きたいなって思いますね。
取材・文/横川 良明 撮影/赤松洋太
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