男性の3人に1人が「生理日はズレる」ことを知らない?横澤夏子×シオリーヌが願う“生理に優しい社会”のヒント

外出先や職場での急な生理に、生理用品の準備がなくて絶望。今この瞬間に、一つだけでいいから生理用ナプキンがほしい……!

そんな経験をしたことがある人には、ありがたすぎるサービス『トレルナ』が話題だ。

これは無料で手に入るトイレットペーパーのように、生理用ナプキンがさまざまな施設で無償提供されるサービス。

トレルナイベントレポ

『トレルナ』は、トイレ個室に入るとデジタルサイネージに広告が流れ、スマートフォンアプリとトイレ内のディスペンサーを連動させるとナプキンが無料で受け取れる仕組み

『トレルナ』の全国展開に先駆けて行われた発表記者会見では、『トレルナ』を展開する株式会社ネクイノが実施した「生理に関するアンケート」を見ながら、お笑い芸人の横澤夏子さんと、助産師・性教育YouTuberのシオリーヌさんが軽快なトークを繰り広げた。

本記事では、働く女性が避けては通れない「急な生理問題」について語り合った二人のセッションを一部紹介する。

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横澤夏子さん
33歳。新潟県出身のピン芸人。高校卒業後、NSC東京校に入学。一人芸で誰が一番おもしろいかを決める大会である「R-1ぐらんぷり」では2016年から2年連続で決勝進出。「女芸人No.1決定戦 THE W」では18年に準優勝という結果をおさめる。昨年末に放送された「こまかすぎて伝わらないモノマネ」にて優勝。プライベートでは17年7月20日、28歳の誕生日に結婚を発表。また、20年2月に第1子を出産、翌年10月に第2子を出産、そして23年6月に第3子を出産。現在は3人の子どもを子育てしながら、バラエティー番組やCM、情報番組などに幅広く出演中
助産師/性教育YouTuber 株式会社Rine代表取締役
シオリーヌ/大貫詩織さん

総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟にて勤務ののち、現在は学校での性教育に関する講演や性の知識を学べるイベント等の講師を務める。YouTubeチャンネルでは、性の知識を気軽に学べる動画を配信中

超困る!急な生理でナプキンがないときの絶望感たるや……

アンケートによると「急な生理で困ったことがある」女性は70.1%。中でも半数以上の人が「仕事中の急な生理」に困ったと回答した。この結果を見て「意外と少ない!」と驚いた様子の横澤さんとシオリーヌさん。

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横澤

この回答、100%じゃないんですか!? 3割も「困ったことがない」というしっかり者がいるのね。

シオリーヌ

私も「困ったことがない人、いないわけがない」って思っていました。急な生理って、絶望しますよね。あの「あ!」ってなる瞬間。

横澤

めちゃくちゃ分かるー。家には生理用品があるのに、仕事中や出先では準備できていない時もありますよね。

シオリーヌ

私も経験があります。生理用品を出先で買わなければいけない瞬間って、ちょっと悔しいんですよね。

横澤

電車で「やばい」と思って駅のトイレに駆け込んで、ナプキンがなくてどうしよう……って、あるあるです。バッグの中身をとにかく探すんだけど、ないものはないのよね。

シオリーヌ

結局ドラッグストアとかに駆け込んで。

横澤

でも大容量のナプキンしか置いていなくて、「今43個もいらないんだけどー!」って叫びたくなるの。しかも買ったら買ったで、黒いビニール袋をぶら下げて歩くことになりますしね。

シオリーヌ

小さいかばんしか持っていないときとか、せっかくオシャレしているときに限ってね。私は超応急処置で、トイレットペーパーを丸めて敷くこともありますよ……。

横澤

あるある! 歩き方とかも、工夫しながら歩かなきゃいけないんですよね。場数を経験したらそういったトラブルも減るけれど、それでもやっぱり、ない時はないのよ。

シオリーヌ

もうこれは、サバイバルですよね(笑)

生理日がズレやすいことを知らない男性が3割

前述のアンケートによると「生理はいつも予定通りにきますか?」という質問に「いいえ」と答えた女性は86%。生理日は予測通りにいかないことは「あるある」だと、横澤さんとシオリーヌさんも大きくうなずいていた。

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横澤

生理が1日前後ズレることも、全然こないんだけど!?って不安になる時も普通にあります。

シオリーヌ

今回はピタッと予想通りの日にきたけれど、次の周期では1週間ズレたとか、周期ごとにも違いますよね。

生理周期は年齢によるバランス変化、生活習慣・ストレスなどの体調変化によってもズレますし、妊娠後、授乳中も人によってばらつきがあります。

横澤

私は生理を月1回のバロメーターのように捉えていて、サイクルが出来上がっていたら体調が良いという感覚になります。

でも授乳中はおっぱいが痛くて、落ちついてきたと思ったら生理が再開して生理痛があって……と、いつもどこかしら何かしら痛いじゃん! って落ち込むことも。生理とうまく付き合うのって本当に難しいですよね。

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また『トレルナ』の別のアンケートでは、男性に向けて「生理の予定日がズレるということを知っているか」を聞いたところ、33%が「知らない」と回答。

男性の3人に1人は「女性の生理は予定通りにくるもの」だと認識している現状は、社会や教育の問題でもあるとシオリーヌさんは指摘した。

シオリーヌ

私は普段性教育に関する情報発信をしていて、いろいろな方からコメントをいただきます。その中には、カップルで生理の予定日をずらして旅行に行く予定だったのに急に生理がきてしまって、パートナーの男性から「この日、生理来ないって言ったじゃん」と責められてしまった人もいました

横澤

えー!そんな人いまだにいるの!?

シオリーヌ

いるみたいです。生理予定日ってぴたっと当たるものじゃないんだよと説明したかったけれど、男性の機嫌が悪くなっちゃって……という声を聞くこともあります。

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シオリーヌ

今は少しずつ変わってきていますが、私たち世代が学校で性教育を受けたときって、男女で分けられてましたよね。女の子だけ集められて生理の話を聞いて、そのとき男の子は外でドッジボールしている、みたいな経験をしている年代はまだまだたくさんいるんですよ。

そうすると女性だけが生理の知識や情報を持っているシチュエーションができやすいですし、何となく踏み込んではいけない女性だけの領域のように感じやすくなってしまうのかなと思います。

横澤

女性の中でも「え、生理はズレないものでしょ?」って当たり前に思う人もいますから、男女問わず経験しないと分からないものですよね。

でも皆が「生理はズレることも多い」というのを頭の隅に置いておけたら、優しい世界が広がるのかなと思います。そこで気遣いや、ちょっとした配慮が生まれるといいですよね。

「自分が我慢したら何とかなるんじゃないか」は変な忍耐力

最後のアンケートは、「生理について、パートナーに相談したことがあるか?」という質問。63.4%の女性が「ない」と回答したことに、「たしかに隠せる範囲だったら隠す人が多いよね……!」と二人の話は続いた。

シオリーヌ

本当によっぽどの時でないと言わない人が多そうですよね。どうしてもトイレから出られないとか。

横澤

言うほどでもない、自分が我慢したら何とかなるんじゃないかって、今までもそうやって生きてきたからこその忍耐力が、変な方向で生きてきちゃうのかも。

シオリーヌ

言ったところで何をしてほしいのか、自分でも分からない人もいそうです。

横澤

私の場合は妊活中から、夫に全てを伝えられるようになりました。「この機嫌の悪さは生理中だからだよ!」と大っぴらに言っちゃうとか。

あとは急遽ナプキンが必要になったけれど手が離せない時は「この世で一番でかいナプキン買ってきて、とにかくでかいものを!!」って夫にお願いしたこともあります(笑)

シオリーヌ

大きくて安心なものですね!(笑)

横澤

そうやって大っぴらにいうのは難しいかもしれませんけどね。でも『トレルナ』みたいなサービスが広がって、生理の問題やその解決策が当たり前に思える世の中になるとすごくいいなと思います。

シオリーヌ

急な生理の悩みを持つ人が一人、また一人と減っていってほしいです。まずは『トイレの個室にナプキンがあるのが当たり前』で心強い世の中になったらいいなというのは、私も強く思いますね。

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生理との付き合い方や悩みは十人十色。だからこそ「自分の場合はこうだから」と決めつけずに、相手を思いやってお互い気分よく毎日を過ごしたいものだ。二人のトークには、そんな「優しい世界」へのヒントが隠されていた。

文/大室倫子(編集部)