生成AIはスマホでも超簡単! アイデア出しや企画書作成、知っておトクの活用術【ハヤカワ五味】
私たちの日常を大きく変えつつある「生成AI」。最近よく耳にするワードだけれど、「何だか難しそうだし、自分には関係のないこと」と捉えている人も多いのでは?
しかしそんなWoman type読者に向けて「働く女性こそ、生成AIを活用した方がいい」と話すのが、先日生成AI関連のIT企業へと転職した実業家のハヤカワ五味さんだ。
実は特別な技術がなくても、生成AIは誰でも簡単に活用できるという。情報整理、アイデア出しや企画書作成、さらには健康・美容管理などプライベートまで、活用シーンはどんどん広がっており、それらはスマホからでも簡単にアクセスできるそうだ。
そこで今回はハヤカワさんに、生成AIの基本的な知識から、簡単にマネできる生成AIの活用術を教えてもらった。

ハヤカワ 五味さん
18 歳で起業後、ランジェリーブランド『feast』、フェムテック事業『ILLUMINATE』など、多数の事業を展開。2022年3月にはユーグレナグループに参画し、はたらく女性向けの新規事業開発に取り組む。24年4月に退職後、大手IT企業に生成AI関連の社内推進担当として転職。生成AIの利活用に関してSNSでも積極的に発信している X、Instagram、note
生成AIは“ドラえもん”や“魔法”ではない、それでも可能性は無限大
生成AIとはどんなものなのか、改めて簡単に教えてください。
生成AIは人工知能(AI)の一種で、「文章、画像、音声、動画などを生成できる技術」です。
特に注目されているのが対話型の生成AIで、先駆けとなったChatGPTを始めとして、GoogleのGemini、Claudeなどがその代表例ですね。
これまでのAIと違うのはどんな点でしょうか?
従来のAIは学習済みのデータから適切な回答を探したり、結果を予測したりする性質のものでしたが、生成AIは学習した膨大なデータをディープラーニング(深層学習)し、名前の通り「さまざまなコンテンツを生成するAI」ことができるのが大きな特長です。
なんだかすごそう……!

生成AIで作られたハヤカワさんの画像
ただ少し勘違いされやすいのが、生成AIでも「人間にできないことはできない」ということ。”ドラえもん”とか“魔法”のようなものだと思っている方もいると思いますが、実際はそうではないんですよ。
では、生成AIにできるのは一体どんなことなのでしょうか?
簡単に言うと、「使い手側ができること」をより効率的にする、「ちょっと面倒くさいけどできる作業」が得意で、それらを代わりにやってくれるイメージですね。
言い換えれば、誰かにお願いできないような作業は、生成AIにもできない可能性が高いです。
例えば会社の後輩に「この会議の議事録を取っておいて」と言ったらやってくれるでしょうが、「この議事録をもとに連絡が必要な人を推測して、各自のスケジュールを抑えておいて」とだけ言われても、社内の人のことをよく知らなければ後輩は困ってしまいますよね。
追加情報を渡せばできることは増えていくのですが、最初の段階としては、生成AIはあくまで「何も知らない後輩に、お願いできるくらいのことならできる」とイメージしておけるといいと思いますよ。
必要なのは、技術ではなく「コミュニケーション力」
では「これから生成AIを使ってみたい」という人は、まず何から始めればいいですか?
普段主にスマートフォンを使っている方なら、ChatGPTかGeminiのアプリがおすすめです。最近では無料版でも使える範囲がかなり広がっていますから、まずは無料でインストールして試してみるといいと思いますよ。
どちらのアプリにも、質問や指示文をいれる入力欄がありますから、そこに「〇〇を教えて」など人と話すようにコメントを入れるイメージです。

Gemmiのデモ画面
ただ生成AIは、質問や指示文がうまく書けないと使いこなすのが難しいイメージがあります。
たしかに1年ほど前は、プロンプト(ユーザー側の質問や指示文)によってアウトプットのクオリティーに大きな差が生まれていましたし、使い物にならないと感じられた方も多いと思います。でも、最近の生成AIは認識力が高いので、そこまでビビる必要はないんですよ。
コードなど書く必要はなく、「〇〇を教えて」「〇〇を作って」など好きに指示を出せば答えてくれます。
そうなんですね、安心しました……!
ただ、「必要な背景情報をきちんと伝えること」は大切です。AIに「察する」ことを求めると、想定していないアウトプットになることが多いので、必要な情報は全て明示的に伝えることが重要です。
例えば、「おいしいお店を教えて」と漠然と聞くよりも、「取引先との会食で、このような条件の店を探しているから、レビューが高いお店を教えて」といった具体的な情報を与えれば、より適切な回答が得られる、といったイメージです。
より具体的に指示を出すことが大切だと。
これはマネジメントにも通じる面があるかもしれません。質問や指示文を書く際は、同僚や部下に仕事を依頼する時と同じように考えてみてください。
ちなみに、プロンプト上で「不明なことがあったら聞いてください」「分からないことがあったら、分からないと返してください」と指示すると、知ったかぶりやあいまいな回答を避けられますよ。人間と変わらないですよね(笑)
生成AIとも、コミュニケーション力が求められるのですね。
そうですね。そうして依頼するときは「粘り強さ」も大切です。
1回でうまくいかないからと諦めてしまう人が多いのですが、それではもったいない。
Googleでも検索してうまく出なかったら、単語を変えてもう1回検索しますよね。それと同じように、聞き方を変えてみると求めていた答えがでてくるかもしれません。
特に、生成AIの特徴として(値を固定しない限り)毎回出力が変化するというのもあるし、モデルごとの差分もあるので、同じプロンプトでもタイミングやモデルによっても答えは変わりますよ。
仕事・プライベートで広がる生成AIの活用シーン
具体的に、仕事ではどのように活用できるんでしょうか?
おすすめの活用方法の一つは、Excel作業の効率化ですね。これはパソコンからやるのがいいと思いますが、私はよくExcelのマクロを組んでもらったり、複雑な関数を書いてもらったりしています。
あと生成AIは、情報の整理やアイデア出しも得意です。
例えば私は、X(旧Twitter)の過去1カ月分くらいの分析データを出力して生成AIに読み込ませ、エンゲージメント(投稿に対するユーザーの反応)をもとにブログの企画案を10個提案してもらったことも。そのままでも採用できそうなキャッチーなアイデアがいくつも出てきて、感激しました。

おお、それはすごい……!情報収集にも使えそうですが、どうでしょうか?
『Perplexity』などAI検索エンジンと呼ばれるものであればかなり期待通りの出力ですし、私も活用していますが、ChatGPTやGeminiでの検索に関して、個人的にはまだ推奨しづらいです。
イメージとしては、間違ってはないけどめっちゃ合ってるわけでもない、期待よりやや残念……みたいなことが多いように思います。
きっと半年後くらいには状況が変わっていると思いますが、今のところは検索すべきものが明快な場合は、普通にGoogleなどで検索した方が早い場合が多いと思います。
その時に何と検索したらいいか分からない時には、ChatGPTやGeminiなども活用してみてください。
なるほど。では、生成AIの得意・不得意を見極めながら使えるといいんですね。
そうですね。生成AIの得意といえば、一般的にはテキストの印象が強いかもしれませんが、実は「画像認識」もかなり得意です。画像から情報を読み取って変換できるんですよ。
例えば、冷蔵庫の中の写真を撮って「これで作れる献立を考えて」とか、今日お昼に食べたご飯の写真を撮って「カロリー計算をして」という使い方もできます。
あとプリントとか、文字起こしするのは面倒だけど、捨てたい紙は写真に撮って文字起こししてもらってます。
それは、プライベートでかなり使えそう!
あとは健康管理にも使えますよ。「私は30歳の女性で、普段の運動はこれくらいです。この食事のカロリー量は適切ですか?」というように、自分の状況も含めて聞くとより適切な回答が得られるんです。
他にも、「どういうストレッチ運動をしたらいいか」とか「最近肌荒れがひどいから、ビタミンCが豊富な食べ物を教えて」といった質問もできるので、自分に合った活用法を見つけてみるのも面白いですね。
働く女性こそ、生成AIを活用してほしい
私でも使えるかもと、少しやる気がでてきました。
よかったです。あとは考える前に、まずは実際にいろいろな生成AIを触ってみるといいと思いますよ。活用術やTipsは探せばたくさんありますが、自分で実際に使ってみるのが一番の活用の近道なので。
実は、GPTやGemini、Claudeなど、それぞれのアプリによってキャラクターが少し違うんです。例えば、絵文字をよく使うモデルもあれば、真面目な感じのモデルも。使っていくうちに自分の好みに合ったものが見つかるのも、生成AIの面白さの一つです。
実際に使いながら知識やスキルをアップデートしていくのが良さそうですね。
生成AIの世界は変化が速いので、定期的に新しい情報をチェックできるとより良いと思います。私自身も、信頼できるSNSのアカウントをチェックしたり、実際に使ってみたりすることで知識をアップデートしています。
最後に、私は「働く女性」にこそ生成AIを活用してもらいたいなと思っているんですよ。
出産や子育てなどのライフイベントをきっかけに、働ける時間が制限されてしまう女性も多いはず。生成AIを使いこなせるようになると、もっと自分がやりたいことに時間を割けるようになります。
これまで時間や労力を掛けていた作業はAIに任せて、働き方をアップデートするような人が増えると良いですね!
取材・文/安心院彩 編集/大室倫子