働き方を選択できる自分になるために28歳でしておきたい3つの準備【田中美和】
もうすぐ30歳──「素敵な大人」になるために、28歳の今からやっておきたいことって何? サイトオープン13周年を迎えたWoman typeが、「なりたい自分」になるための“28歳のこれから”を一緒に考えます

連載『ニューノーマル時代のLive Your Life』が好評の田中美和さんに、今回はWoman type13周年特集「28歳、これからの私。」のテーマでアドバイスをいただきました!
これからの時代、自分の働き方を選び取れる自分になるためには、28歳のうちに何をすればいいのか。田中美和さんが注目したニュースからひも解いていきます。

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和
大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事
働く女性は増えているものの、約半数は非正規雇用
「共働き、専業主婦の3倍に 1200万世帯超す」ーー9月にこんな見出しの記事を目にしました。
記事によれば、夫婦ともに働いている「共働き」世帯が1206万世帯となり1985年の総務省の調査開始以来、過去最多に。一方で専業主婦世帯は404万世帯と、1985年と比較して約6割減少し過去最少となったといいます。
しかし働く女性は増えているものの、総務省の調査によれば多くは短時間の非正規労働者です。

女性の就業者は3051万人にのぼるものの、そのうち1441万人が非正規雇用者で、非正規雇用で働く人の比率は男性に比べて2倍以上。
非正規労働がだめということではないのですが、明らかに性別によってかたよりが見られるのは問題だと私は考えています。
女性は伝統的に家事や育児を担う役割が期待される場面が依然として多く、勤務時間や仕事内容の柔軟性を求めて非正規雇用を選ぶ女性が多いと考えられます。
また現在の日本の税や社会保障の仕組みが、女性たちが短時間の非正規雇用を選ぶことを後押ししている側面があるのも事実。
たとえば日本には「配偶者控除」という制度がありますが、この控除対象になる「配偶者」には、給与収入が103万円以下であることが求められます。
日本の税制や社会保障制度は、長年にわたり「男性が働き、女性が家事・育児に専念する」モデルを前提として設計されてきました。ところが社会の変化に伴い共働き世帯が一般化するなかで、これらの制度は女性の就業を阻害する要因になっています。

近年、これらの問題意識に基づき、日本の税制や社会保障制度は徐々に改革が進められてきました。今後さらに共働きが増えるなかでこうした制度面が見直されていく可能性も高いと考えられます。
「働き控え」の必要がなくなる時代を生きる28歳がしておくべき準備
女性が働き控えをする必要がなくなり、自分らしく働ける社会が到来しようとしている今、これから30代を迎えるタイミングで今後のキャリアを考えることは非常に重要です。
30代以降も「やりたい仕事をして、自分らしく働き続けられる」ように、今からできる準備を3つのポイントで解説します。
【1】どんな時代でも通用する力を身に付ける

どんな状況や環境においても役立つ、「コアスキル(核となる力)」を身に付けるために、まずは目の前の業務を通じて実務上の専門スキルを磨いていきましょう。
こういうお話をすると「資格を取得したらいいのでしょうか?」というご質問をよくいただくのですが、かならずしも「資格」とはかぎりません。
営業やマーケティング、人事、経理など自分の「好き」や「得意」が活かせる仕事の分野を発見し、そこで企画から実行までひととおりの業務を自律的に進行できるように経験を積みましょう。
まずはこうしたコアスキルをしっかり磨くことで、自身の市場価値が高まり、変化の激しい社会においても自分らしいキャリアをつくることにつながっていきます。
もし今の仕事が「自分に合っていない」と感じるのであれば、転職を検討するのも選択肢のひとつです。
未経験領域への転職が比較的しやすいとされるのは、20代後半から30代前半です。 この時期は、まだキャリアの選択肢が多く、新しいことに挑戦しやすいからです。逆に年齢が上がるにつれて、これまでの経験が重視される傾向が強くなることは知っておきましょう。
将来的に会社員に限らず、起業やフリーランスを選択する場合にもコアスキルが土台になります。
【2】変化に対応できる力を養う

社会は常に変化しており、求められるスキルも変化していきます。そのため、新しい知識やスキルを学び続ける「リスキリング」が今後ますます重要になってきます。
技術の進化や社会構造の変化は目まぐるしく、5年後、10年後には今とは全く異なるスキルが求められるかもしれません。
たとえばChatGPTに代表される生成AI(ジェネレーティブAI)の登場によって仕事のやり方がだいぶ変わったという人もいるのではないでしょうか?
ChatGPTは特に、膨大なテキストデータをもとに、質問に答えたり、会話をしたり、アイデアを提案したりすることができるように訓練されています。画像生成機能なども持っており、テキストの指示に基づいて画像も生成することができます。
今後はAIやロボットの進化により、多くの仕事が自動化される可能性があります。
こうした新しい技術を自身の取り入れることで仕事を効率化したり、より創造的にしたり、積極的に自分のキャリアに取り入れてみましょう。
常に新しい知識やスキルを身につけることで変化に対応し、キャリアの選択肢を広げることができます。
【3】マネジメント経験を積む

そして最後に、28歳というこれからキャリアが本格的に動き出す年齢だからこそ、マネジメント経験を積むことをおすすめします。
なぜマネジメント経験が重要なのか。大きく三つの理由が挙げられます。
一つは、「自分自身をより深く理解できるから」です。
人をまとめ、チームを動かすためには、自分の強み、弱み、そして価値観を深く理解する必要があります。この過程で、自分が本当にやりたいことや、どんな働き方をしたいのかが、明確に見えてくるでしょう。
二つ目は、「柔軟な思考や問題解決能力が身に付くから」。
さまざまなバックグラウンドを持つメンバーと協力することで、自分の考え方を広げ、新しい視点を得ることができます。これにより、柔軟な思考で問題を解決に導いていく経験ができるのは管理職になる大きなメリットと言えるでしょう。チームをまとめ、目標達成に導く経験は、自分の自信にもなるはずです。
三つ目は、「30代以降のキャリアの選択肢を広げるから」。
昇進や異動など、より大きな役割を担う機会が増えるでしょうし、そうした機会は自己成長につながります。
また、転職する場合、30代以降に特に意識したいのが「年齢と経験のバランス」です。年齢を重ねれば重ねるほど、求められてくるのが「マネジメント経験」です。マネジメント経験がなくても30代以降の転職は可能ですが、あったほうがキャリアの選択の幅が広がります。
少しでも興味があれば小さなものでも構いませんので「何らかのプロジェクトリーダーを志願する」といったことから始めてみてはいかがでしょうか。
28歳という年齢は、キャリアを大きく変えることができる貴重な時期です。
今、しっかりと準備することで、将来のキャリアをより豊かなものにすることができます。ぜひ、この機会に自分と向き合い、「自分らしく働く30代」へとつながるようなキャリアづくりを進めてみてください。