【仲里依紗】俳優、YouTube、子育て…多彩な顔を持つ彼女が「オンオフは切り替えない」と断言する理由

ゆるキャリもバリキャリもしっくりこないあなたへ
「ゆるバリLady」を目指してみない?

「ゆるキャリ」も「バリキャリ」もしっくりこないーー。そんな女性に提案したいのが、人生を楽しむゆとりと仕事を思い切り頑張ることで得られる充実感の両方を大切にする「ゆるバリLady」な生き方。2025年は、「ゆるバリLady」を目指してみない?

仕事をしている自分と、プライベートな時間を過ごす自分。多くの人が意識的に、あるいは無意識的にオンとオフの自分を切り替えながら過ごしているはず。

でも、どちらも全力で楽しみたいなら、そこにはっきりとした境界線は必ずしも必要ではないのかもしれない。

そう思わせてくれるのは、現在NHK連続テレビ小説『おむすび』に出演中の仲里依紗さん。作品ごとに多種多様な役を演じ分ける実力派の俳優だ。

一方、プライベートをさらけ出す自身のSNSやYouTubeでは、軽快なトークや見ているだけで気持ちいい「爆買い動画」が大人気。

今回の取材でも、弾丸トークとくるくる変わるチャーミングな表情で、現場をハッピーなムードに包んでいた。

仲里依紗

仲 里依紗(なか・りいさ)さん
1989年10月18日生まれ。長崎県出身。2006年、劇場版アニメ『時をかける少女』でヒロインの声を務め、高い評価を受け話題に。近年の出演作はNHKドラマ10『大奥』、Netflixシリーズ『離婚しようよ』、TBS金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』など。2024年秋から放送中の連続テレビ小説『おむすび』では主人公の姉役で出演。2020年4月に開設したYouTubeチャンネル「仲里依紗です。」も好評 InstagramXTikTok

そんな彼女に、どのように仕事とプライベートの「オン・オフ」を切り替えているのか聞いてみると、「私、オンもオフもないんですよ」という清々しい答えが返ってきた。

常にご機嫌で、仕事もプライベートも全力で楽しむ仲さん。その魅力的な生き方の原動力はどこにあるのだろうか。

オンもオフも「超しゃべる」! 人生楽しくてしょうがない

仲里依紗
編集部

映画やドラマ作品などでシリアスな役を演じる仲さんと、SNSやYouTubeで発信している素の仲さん。テンションの落差が大きい分、オンオフの切り替えに苦労することはありませんか?

仲さん

オンとオフ、特に切り替えてないんですよ。TikTok見ながら寝落ちしちゃう自分も、『大奥』で真面目な顔して仕事をしている自分も、私からするとどっちも同じなんですよね。

私、撮影現場でも家でもいつでも超しゃべっているので。一緒にいる人によって多少違うんですけどね。この人といると「ウェ~イ!」ってなっちゃうとか。

編集部

ご家族といる時もそうですか?

仲さん

夫にもいろいろしゃべるけど、彼は一緒に踊ってくれるほどはノリがよくないから、家では一人で踊って喋ってます(笑)

編集部

その様子、YouTubeでも見ています(笑)。でもそれは、相手が家族だからリラックスしているのでは?

仲さん

いや、一緒に踊ってくれる人がいたら、仕事の現場でも踊り出したいくらい。

一緒にふざけてくれる人は常に募集中です。短期の撮影現場だと、なかなか難しいんですけどね。マジで常に、YouTubeのあのままです。

ずっとしゃべったり踊ったりして楽しくしてると、普段から面白いことが次々と起こる。だから、「あ~カメラ回しておけばよかった~!」ってことがよくあります。

編集部

現場では、役に入って集中しなければならないときもあるのでは?

仲さん

役に入るためにスイッチをいれる、みたいな感覚もまったくないんですよね。

たまに真剣なシーンの撮影で、現場が集中モードの日があって、静かにしなきゃいけないんですけど、あの雰囲気が本当に苦手で……。コソコソしゃべりたくなっちゃう。

編集部

我慢しているんですね。

仲さん

逆に面白いシーンの撮影とか、現場がにぎやかな日はもう楽しくてしょうがない。しゃべることが現実逃避にもなっていて、仕事が大変だという感覚も麻痺させるんです。

真面目な役や難しい役を演じている時も、合間ではしゃべってるし、「これが終わったらご褒美だ~」とか考えてたら楽しくなってきちゃいます。

そこは撮影もYouTubeも関係なくって。いつでもとにかくしゃべって、涙が出るくらい笑い転げてる。もう、人生が楽しくて仕方ないです。

自分の人生を楽しめていれば、仕事もきっとうまくいく

仲里依紗
編集部

そうやって日々楽しくしゃべり倒して過ごすことが、仕事にも好影響を及ぼしていると感じますか。

仲さん

そうですね。やっぱり自分が人生そのものを楽しむつもりでいたら、仕事も楽しくこなせると思います。

もちろん大変な仕事が控えているときは、「早く終われ~」ってずっと思ってますよ。

でもどんなにつらいことも、時間が経てば終わるし、それを乗り切った先には楽しいことが待ってるって分かってますから。

編集部

人生を楽しんでるからこそ、つらいのも一時的だと思えるんですね。

仲さん

この先も楽しいと思うことがいっぱいあって、いつも「これしたい」「あれもしたい」って思ってるから、忙しくて仕方ない。

スマホだけじゃなくて、人生のスクリーンタイムをちゃんと管理しなきゃって思うほどです(笑)

編集部

仲さんの人生が楽しそうなのは、YouTubeを見ても伝わってきます。

仲さん

YouTubeはアルバム感覚で、自分で見返してもププッって笑っちゃう。見返すとその日のトーク力も確認できるし。……なんて言うと芸人さんみたいですかね(笑)

編集部

トーク力は日によって差があるものなんですか?

仲さん

ありますよ。この日は言葉が流れるように出てきてエミネムみたいだったなとか、逆にテンポ遅いなとか。

それで思い返すと、「そういえば、この日はよく寝てたな」とか何かしら理由があるんです。

編集部

心身の状態がパフォーマンスに直結するんですね。

仲さん

ちゃんと睡眠がとれていなかったり、糖が足りていなかったりすると、脳の細胞が働いていない感じがするんですよね。

だから「今日、すごく絶好調だったな」っていう時は、自分が何をしたから絶好調だったのかを振り返るようにしています。

編集部

振り返ることで、絶好調を再現しやすくなりそうです。仕事にも使えそうな技ですね。

仲さん

そうですね。私の場合、YouTubeに膨大な分析データが残っている感覚です。

苦手な仕事は「楽しくやれる人」に渡せばいい

仲里依紗
編集部

仲さんは人生をまるごと楽しんでいる印象ですが、楽しく自分らしく働きたいのに、それができなくて悩んでいる世の女性は多いです。

仲さん

多分、「自分らしく」っていうこと自体が、この時代の押し付けだと思うんですよ。その言葉をすごく重く感じる人もいるのかなって。

編集部

仲さんはどう感じますか?

仲さん

私は自分が何をしたいかという目標もあるし、好きなものもはっきりしてるから重くは感じないけど、自分らしさが分からない人には重いかもしれませんよね。

最近よく聞く自己肯定感とかも、別に皆が持たなきゃいけないわけじゃないし、「そういうのマジで暑苦しい」っていう人も絶対いるだろうし。

でも、別にそう思うことを変える必要なんてないと思いますよ。

編集部

何となく「楽しい、充実=自分らしい」ことが正解みたいに思われてますよね。

仲さん

私が演じたドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS)では、最後に「寛容になりましょう」とメッセージを送っているんですけど、マジでそれだなって。いろいろな人がいることを認め合えばいい。

だから仕事でも、自分が楽しく過ごすために、苦手な仕事は苦手って言っていいと思うんです。その仕事が好きな人に回せばいい。それがめっちゃ好きな人って、絶対いますから。

編集部

あれもこれも頑張らなきゃって思い過ぎないことも、大事ですよね。それぞれが好きな仕事ができれば、それがベストなのかも。

仲さん

そうですよ。私も難しい仕事は、もっと得意な人に回してもいいと思っているし、逆に『おむすび』のギャル役は、絶対自分がやりたかった。

だって私、俳優の誰よりギャルのこと知ってるし、演じることなら負けない気持ちがあったから。実際やれてよかったなと思いますよ。

編集部

そんなふうに素直に自分の感覚に向き合えたら、もっと働きやすく、生きやすくなりそうです。

仲さん

そこで苦手な仕事を断ると、「今の子は~」とか言われるかもしれないですけど、仕方ないじゃん。だって、今の子だから(笑)

私は「平成元年生まれだし」って言うけど、逆に「昭和生まれだから」と言いたい人もいる。「私はこうだけど、あなたは違う。それでいいと思うよ」でいいんじゃないですかね。

皆で認め合って、違いを見つけたら観察して、「へえ」って面白がるくらいで。

仲里依紗
仲さん

自分と違う人に遭遇したら「こういう人もいるんだ」って社会勉強くらいに思えばよくって。合わない人とは無理して交わり続けなくていい。

そうやって日々「楽しさ」の方に意識的に目を向けていれば、仕事もプライベートもどっちもうまくいくような気がします。

別にこれが正解ではないと思いますけど、私はそうしたらいいかなって。ほんと、皆それぞれでいいんですよ!人生、楽しみましょ!

取材・文/古屋江美子 撮影/赤松洋太 編集/大室倫子(編集部)