中村ゆり「結婚より仕事優先で後悔しない?」迷いの20代をへて、40代で見つけた納得できる人生選択の秘訣

中村ゆり「結婚より仕事優先で後悔しない?」迷いの20代をへて、40代で見つけた納得できる人生選択の秘訣

多様な生き方を選べる時代。

「今は恋愛より仕事したい」と仕事に全力投球する女性も増えているが、ふとした時に「本当にそれでいいんだっけ?」「将来後悔しない?」と不安に襲われたことがある人もいるのではないだろうか。

15歳で芸能界入りして以来、自分らしくキャリアを積み重ねてきた俳優の中村ゆりさんも、かつては同じように悩んだ経験があったと明かす。

中村さん

私は仕事がとても楽しかったので、自分の生き方に満足していたんですけど、地元に帰ると自分以外はみんな結婚していて。

「あれ、私本当にこのままでいいのかな?」と不安になることもありました。

迷いの時をへて、40代を迎えた中村さん。「今は、周りの価値観に惑わされなくなった」とその表情は晴れやかだ。

彼女が迷いを振り切り、自分の信じる幸せへと歩み続けられたのはなぜなのか。その背景には、中村さん流の強くしなやかな思考法があった。

カメラに向かってポーズを取る中村ゆりさん

中村ゆりさん

大阪府出身。2007年の映画『パッチギ!LOVE&PEACE』で多くの映画賞を受賞し、『市子』(23年)で第37回高崎映画祭 最優秀助演俳優賞を、『鬼平犯科帳 血闘』(24年)では第45回ポルト国際映画祭ディレクターズウィークベスト女優賞を受賞。近年の主な出演作に、ドラマ『今夜はコの字で』(20・22年 / BSテレ東)、『さよならのつづき』(24年 / NETFLIX)、『119エマージェンシーコール』(25年 / フジテレビ)、『終幕のロンドーもう二度と、会えないあなたにー』(25年10月13日放送開始 / カンテレ・フジテレビ)、『匿名の恋人たち』(25年10月16日配信 / NETFLIX)映画『窓辺にて』(22年)、『平場の月』(25年11月14日公開)がある

「恋愛、結婚より仕事をしていたいけど…」共感の大きかった最新作

現在、Prime Videoで配信中の恋愛考察バラエティー番組『セフレと恋人の境界線』の短編映画で中村さんが演じるのも、仕事と恋愛、結婚のバランスに悩む女性の役だ。

中村さん演じる人気雑誌の編集長・池上紗南は、恋愛よりも仕事や趣味、友人との時間を優先し、寂しさは気楽な関係のセフレで解消する……という毎日を送る38歳の女性。

充実した日々を過ごしているものの、友人たちは一人、また一人と結婚し、母になっていく。今幸せならいいのか。もっと先のことを考えた方がいいのか──。

そんな岐路に立たされる紗南に対し、中村さんは「共感できる部分が多かったので、すんなりと役に入り込むことができた」と話す。

中村さん

特別に役をつくり込むことはせず、現場で湧き上がる感情を大切にしました。

紗南はバリバリ働いていて、そんな毎日を楽しいと感じている。38歳ということで、自分の人生をある程度確立している部分もあって。

そんな人でも、恋人の存在でしか癒されない面というのは少なからずあると思うんですが、紗南は「選択肢を持てる」女性。

経済面で男性に頼るわけでもなく、「ただ自分が一緒にいて幸せな人」をポジティブに選んでいける女性像にしたいなという気持ちがありました。

『セフレと恋人の境界線』場面写真

自立して一人で生きていく覚悟をしているわけではなく、ちゃんと癒やしも欲しい。かといって、無理をして相手に合わせてまで寄りかかる必要もない。そんな現代の働く女性をリアルに演じきった中村さん。

作品の中で紗南は、対照的なタイプの男性の狭間で揺れ動くが、相手によって違う表情を見せる女性を表現していくのは、中村さんにとってチャレンジングな経験だったという。

中村さん

他人から見れば理想的な男性だけれど、自分はその人といると息苦しく感じてしまい自分らしくいられない。もう一方の男性といる時は、開放的になれる。

同じ人間でありながら、一緒にいる人によって見せる顔が変わる。そんな演じ分けをするのが、紗南という女性を表現する上で大切なポイントだったなと思います。

『セフレと恋人の境界線』場面写真

他人の「幸せ」の定義に振り回されてない?

仕事や趣味を最優先する生活に満足しているのに、周囲を見渡してふと寂しさを感じたり、焦ったりする瞬間もある。そんな紗南の姿は、かつての中村さん自身とも重なった。

中村さん

私は10代からこの世界に入り、もう30年近くになりますが、「仕事が一番大切」という考えがずっとありました。

でも、周りを見渡すと幸せな家庭を築いている友人たちがいる。そんな姿を見ると、一人で休日を過ごしながらふと寂しさを感じることはありましたね。

中村さん

地元に帰って友人たちと会うと、「子ども欲しくないの?」なんて言われることもあって。言葉にされなくても、何となくそう思われているのを感じることもありました。

そういった周囲の価値観に触れると、「私の人生、この選択で本当に間違ってないのかな」「いつか後悔するんじゃないかな」って悩んでしまって。

カメラに向かってポーズを取る中村ゆりさん

自分は後悔のない選択ができているのか。迷った時に中村さんの指針となったのは、自分の求めているものが「自分軸」なのか「他人軸」なのかに目を向けることだった。

中村さん

寂しいなと思った時は、今自分が感じている寂しさは「自分の中から湧き上がる寂しさ」なのか、それとも「周りから与えられた価値観にがんじがらめにされた寂しさ」なのかを考えるようにしていました。

他人の考える「女性の幸せ」に自分を当てはめてしまうと、窮屈になっちゃうから。

中村さんが演じた紗南も、無理をして合わせなければいけない相手と過ごし、少しずつ削られていく描写がある。

「紗南もきっと、周囲の人たちが考える“女性の幸せ”に無理やり自分を当てはめた結果、息苦しくなってしまったのではないか」と中村さんは分析する。

中村さん

でもそれは決して失敗ではなくて。恋愛や結婚がもたらしてくれる良さもあれば、仕事や趣味に全てのパワーを使う良さもある。紗南はそのどちらも体験し、失敗もしながら、チャレンジしているだけの女性なんだと思います。

カメラに向かってポーズを取る中村ゆりさん
中村さん

私も40代になって、若い頃には見えなかったものが少しずつ見えてきました。

悩みながらでも仕事を頑張ってきた結果、自分の中である程度考え方や価値観が確立された感覚があって。そうすると、周囲の価値観に惑わされなくなるんです。

中村さん

自分の大切にしたいものが見えるようになってからは、「早く結婚した方がいい」と言われても、「大丈夫、私はちゃんと自分のことを大切にできているから」と思えるようになりました

納得できる生き方をするカギは「選択肢」を持つこと

何が自分にとっての幸せなのか。その答えは結局自分の中にしかない。

「この選択をしたら幸せになれる」なんていう保証はどこにもない中で、自分の生き方に納得感を持つためには、「選択できる自分」でいることが大事だと中村さんは続ける。

中村さん

たとえば、誰もがうらやむような人と結婚したとしても、その人に傷つけられるようになってしまう可能性だってあるじゃないですか。

このまま突き進んでも幸せになれないなと思った時に、自分を大切にする選択ができる状態でいることが本当に大事ですよね。

中村さん

結婚するにしても、「結婚しか幸せになる選択肢がない」状態でするのと、さまざまな選択肢の中から結婚を選ぶのとでは全然違います

自分の心の声を聞きながら、自分の生き方を楽しく選択していけたらいいなと思います。

カメラに向かってポーズを取る中村ゆりさん

中村さんが生き方の選択肢を持ち、自分にとってベストだと思う道を選び取ることができたのは、自分にとっての「小さな幸せ」を積み重ねてきたからに他ならない。

中村さん

自分の中で「これをしていると楽しい」「これを食べると幸せ」といった小さな幸せを見つけて選択していくことが、自分に対して責任を持てるようになるための第一歩だと思っています。

その癖がつけば、もっと大きな選択においても自分の中での幸せや楽しさを軸にできるようになるはず。

中村さん

そしてその「幸せ」は、他人に委ねなければ得られないものではなく、自分で実現できることであることも大切

自分で幸せをつくり上げられるようになれば、どんな選択をしてもきっと納得感を持って生きられるのではないでしょうか。

「結婚する・しない」なんて覚悟を持って決める必要もなくて、軽やかに選択していける自分になりたいですね。

カメラに向かってポーズを取る中村ゆりさん

取材・文/光谷麻里(編集部) 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER)

作品情報

恋愛考察バラエティ『セフレと恋人の境界線』Prime Videoで独占配信中

『セフレと恋人の境界線』キービジュアル
Prime Video新番組『セフレと恋人の境界線』ポスター

YOU、令和ロマンくるま、ラランドサーヤ、千葉雄大

様々な恋愛観を持った 4 名のスタジオ MC が<セフレと恋人>について忖度なしの赤裸々トーク!

<二作目「結婚学入門」あらすじ>
人気雑誌の編集長として働く38歳の池上紗南(演:中村ゆり)は、恋愛よりも仕事や自分の時間を優先し、寂しさは気楽な関係のセフレ・金子達也(演:前原滉)で解消…という充実した日々を送っていた。ある日紗南は、地元の結婚式で人気者の同級生だった竹林圭太(演:永岡佑)と再会。2人は結婚前提の交際を始めるが、長年の一人暮らしで築き上げてきた自分のルーティーンが徐々に崩れていくことにストレスを感じてしまう…飾らず自然体で何でも話せるセフレと、優しくて真面目な“理想的な”彼氏。正反対の2人の間で揺れ動く紗南が下す決断とは?

出演:YOU 髙比良くるま(令和ロマン) サーヤ(ラランド) 千葉雄大
中田青渚 金子大地 (「恋人になれたら」)
中村ゆり 永岡佑 前原滉 (「結婚学入門」)
山下美月 芳村宗治郎 (「特別な人」)   

監督:今泉力哉 山中瑶子
脚本:今泉かおり 今泉力哉

配信日:9月3日(水)
話数:全7話 (本編4話+短編映画のみ3話)

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