「休んでばかりで罪悪感…」限界だけどキャリアを諦めたくない働くママが現状を打破するための2ステップ【十束おとは】
20代~30代の女性が抱える仕事・キャリア・転職のお悩みに、その道のプロが本音でアドバイス! 「私らしい働き方」の発見や「いい転職」をかなえるためのヒントを提供します
今回寄せられたのは、「育休からフルタイムで復帰したけれど、子どもの体調不良で休んでばかり……」と罪悪感を抱える働くママのお悩み。
精神的につらいけれど、キャリアも諦めたくない。その狭間で悩む働くママが”今”を乗り切るためには、どうしたらいいのか。
おなじみ、メンタル心理カウンセラーやメンタルヘルス・マネジメント検定、産業カウンセラーの資格を持つ、「キャリア×メンタルヘルス」の専門家、十束おとはさんにアドバイスをもらいました。
十束 おとは(とつか・おとは)さん
アイドルグループ「フィロソフィーのダンス」を2022年11月に卒業。会社員を経て、現在はキャリアコンサルタントとして芸能人のセカンドキャリアや学生・女性のキャリア支援にも取り組む。キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、メンタル心理カウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定、産業カウンセラーを取得。ゲーム・アニメ・漫画・映画といったサブカルチャーにも精通し、イベントMC・タレント・ライターなどパラレルキャリアを邁進中■X/Instagram
お悩み:会社は理解があるのに…育児との両立で迷惑を掛けるのがつらい
育休からフルタイムで復職して半年が経ちましたが、子どもが頻繁に体調を崩します。
上司も同僚も理解があり、快くフォローしてくれるのですが、迷惑を掛け続けていることがつらく、精神的に限界を感じています。
夫も仕事が忙しいためパート勤務に切り替えようか悩んでいますが、キャリアを諦めたくない気持ちもあります。どうしたら今の時期を乗り越えられるのでしょうか。
ご相談いただき、ありがとうございます。
理解ある上司や同僚に支えられながらも「迷惑をかけている……」と心が重くなる瞬間があるとのこと、おつらいですね。
家庭とキャリアの両立で悩むのは、多くの働くママたちが経験するであろう自然な感情だと思います。この時期は永遠には続かないと分かっていても、もやもやしますよね。
今回は、この時期を乗り越えるための2ステップをご紹介していきます。
少しでも参考になれば幸いです。
STEP1:罪悪感の正体を突き止め、手放す
お子さんが体調を崩して職場を早退したり、同僚に仕事をお願いしたり。そんな日々の繰り返しの中で「私はだめな社員だ」「母親としても足りていない」とご自身を責めていませんか?
罪悪感は、仕事も家庭も大切に思っている証拠。自分の大切にしている価値観に反した時に罪悪感は生まれやすいと言われているので、まずはその正体をじっくり見つめてみましょう。
下記に、罪悪感を可視化して手放すためのステップをご紹介します。
1.どんな時につらくなるのかを文字にして書いてみる
目まぐるしい日々の中にいると、なかなか振り返る時間も取れないものです。少し時間をとって、今自分にとってつらいことは何なのか客観的に振り返ってみることをおすすめします。
「同僚も忙しいのに仕事をお願いしてしまう」「子どもと過ごす時間が減ってしまった」など、具体化していくと頭の中が整理されてすっきりしますし、漠然としたもやもやが“解決すべき課題”に変わって一歩踏み出しやすくなるかもしれません。
2.「自分の責任」と「過剰な責任」を分けて考える
次に、「その課題はどこまでが自分の責任で、どこまでが過剰な責任感なのか」を分けて考えてみてください。
罪悪感は、自分がコントロールできないことや他者の責任範囲まで背負い込んでしまうことで強まることがあります。
例えば「同僚に仕事を頼む罪悪感」を感じる場合、紙の真ん中に縦線を引き左に「自分がコントロールできること」(例:仕事の引き継ぎを丁寧にする)、右に「コントロールできないこと」(例:子どもの急な体調不良、同僚の感情)を書き出してみましょう。
この整理により、過剰な責任感(例:同僚の忙しさまで自分が悪いと感じる)を手放しやすくなり、現実的な解決策を考えやすくなります。
3.職場への感謝の気持ちを言葉にし、連携を図る
1、2のステップで「罪悪感」を可視化し解決できる課題が見えてきたら、職場の人たちとの連携の仕方を考えていきましょう。
上司や同僚に理解があるのは、相談者さんが築いてきた信頼の証。彼らにしてみると、フォローは迷惑ではなくチームワークの一部かもしれません。
「ありがとう」と伝えることは当たり前と思われがちですが、感謝の言葉は互いのストレスを減らし、協力関係を強化するという研究結果もあり、非常に大切なコミュニケーションです。
日頃から感謝を伝え、笑顔で働き、自分ができる範囲で業務内で恩返しをするというスタンスはチームを明るくする上で大切なことだと思います。
また、もし可能なら上司と話す時間を作ってもらい「今の状況でできること」「この日はカバーが難しいけれど、ここなら対応できる」など都度連携を図ることで罪悪感が「問題解決の方法」にシフトし、もやもやが解消されていくかもしれません。
4.現実的な期待値を設定する
子どもの体調不良はよくあること、と割り切って”完璧な両立”を手放し、できる限り最善を尽くす考えにシフトするのも一つの選択肢だと思います。
例えば、
・仕事と育児の両面でどこまでなら妥協しても罪悪感を感じないか考えてみる
・使えるサポート制度(ファミリー・サポート・センターなど)を活用して、1人で抱え込まないようにする
など、100%を目指さず現実可能なラインを模索し、試してみても良いかもしれません。
STEP2:納得できるキャリアを選ぶ
STEP1で、罪悪感を可視化し、軽減させることができたら、次は「キャリアを諦めたくない」というお悩みと向き合ってみましょう。
相談者さんにとってキャリアを築くという言葉はどんな働き方を指しているでしょうか。
同じ職場でキャリアアップしていくこと、転職をしてもっと輝ける場所に行くこと、異業種にチャレンジすること、資格を取って活かすことなど……。
現状全てを叶えることは難しいですが、譲れない点・譲っても良い点を考えながら現状でとれるベストを選択することも良いのかなと思います。以下の順に考えてみてください。
1.キャリアプランを考えてみる
今や、人生100年時代。まだまだキャリアは続いていきます。5年、10年後自分は何をしていたいかな……と未来を考えることで、新たな目標や夢が思い浮かぶこともあります。
そこから逆算して、今の職場で頑張り続けた方がいいのか、もう少し育児と両立しやすい会社に転職してもいいのか、改めて考えてみると、もしかしたらキャリアを諦めずとももう少し柔軟に働ける選択肢が見えてくるかもしれません。
2.職場内での働き方を改めて考えてみる
もし、今の会社で頑張り続けた方がご自身のキャリアプランにとって良さそうでしたら、職場内での働き方を改めて考えてみましょう。
上司や同僚が理解のある環境は、キャリアを続けるための大きな強み。キャリアを維持する方法を現状の中で模索してみるのも一つの選択肢だと思います。
同じようにフルタイムで復職し働かれている方が社内に居る場合は、その方の経験談を聞くことで気が付くこともありそうです。
また、フルタイムで復職されたとのことですが、時短勤務・フレックス制・在宅勤務など柔軟に働ける方法がないか相談してみることも働きやすい環境に近づく一歩になるかもしれません。
3.職場以外のサポート体制を探ってみる
1人で頑張らなきゃと抱え込まず、自治体など身近なサポートを活用することも一つの方法。
『子ども・子育て支援新制度』に基づく支援が各地にあるので、お住まいの市区町村のHPを見てみると相談者さんの力になるものがあるかもしれません。
また、パートナーはお忙しいとのことですが、相談してみることで相談者さんのご負担が減るかもしれません。
お子さんの体調不良は、幼少期には良くあること。そして生まれる罪悪感は、キャリアも家庭も大切にしている証です。
ご自身を否定しすぎず、今と未来を考えるきっかけとなれば幸いです。応援しています。
『働く女性の転職Q&A』の過去記事一覧はこちら
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