大地真央×真矢ミキ「引き出しから取り出すだけの仕事はしない」元宝塚トップスターが贈る“枯れない挑戦心”の秘訣
キャリアや年齢を重ねるにつれ、変化を恐れて新しい挑戦をためらってしまうことは少なくない。
その変化を「老い」や「衰え」と捉えるか、自分をより身軽にする「アップデートの旅」として楽しむか。そのマインドの差は、女性の人生の豊かさを大きく左右するだろう。
そこで今回お話を伺ったのは、2026年6月19日公開の映画『免許返納!?』で、待望のスクリーン初共演を果たした大地真央さんと真矢ミキさん。
10代で宝塚歌劇団に入団し、男役トップスターとして一世を風靡。退団後も舞台や映像の世界で、60代、70代を迎えた今なお第一線を走り続ける彼女たち。
いつまでも進化を止めず、女性たちの憧れであり続けるお二人に、人生と仕事を軽やかに楽しみ続ける秘訣を聞いた。
大地真央さん
兵庫県出身。1973年に宝塚歌劇団に入団し、月組男役トップスターとして活躍後、85年に退団。舞台を中心にコマーシャル、TV、映画と幅広く活躍中。近年の主な出演作に、「最高のオバハン中島ハルコ」中島ハルコ役(25)・「おコメの女」飯島作久子役(26)・映画『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』コシノアヤコ役(25)・映画「正直不動産」マダム役(26)などがある。CMでも唯一無二の存在感を放ち続けている Instagram
真矢ミキさん
広島県生れ、大阪府出身。1981年に宝塚歌劇団に入団。花組男役トップスターとして活躍し、「宝塚の革命児」と呼ばれる。98年に退団。情報番組のキャスターやドラマ、舞台、CMなど幅広く活躍。近年は、NHK大河ドラマ 「どうする家康」 (23) 、 ドラマ「ブルーモーメント」 (24) 、「TOKYO VICE SEASON2」 (24) 、映画『九十歳。何がめでたい』(24)など。7月8日スタート日本テレビ系新水曜ドラマ「ファーストクライ 母子救命救急班」(毎週水曜よる10時放送)に出演 Instagram
映画『免許返納!?』大人の遊び心が詰まった撮影秘話
プライベートでは長年親交の深い二人。真矢さんは中学生の時に大地さんの舞台を観て大ファンになり、宝塚への入団を決意したという“筋金入りのファン”でもある。
憧れの存在との初共演に、取材中の真矢さんは嬉しさと照れくささを隠しきれない様子で語り始めた。
ずっと憧れてきた真央さんとの初共演ですから、現場に入る前から本当に緊張していました。「とにかく落ち着いて、堂々としよう」と何度も自分に言い聞かせて。
でも本番中、至近距離で見つめる真央さんは美しすぎて、一瞬セリフが飛びそうになりました(笑)。プライベートでは普通に話せても、お芝居の現場となるとやっぱり別格。改めて「永遠のスター」なのだと感動しっぱなしでした。
いつも一緒にお酒飲んでる仲じゃない(笑)。でも私も、ミキちゃんと一緒で本当に楽しかったんですよ。
時には記者さながらの熱量で大地さんに質問を投げかけるなど、真矢さんの微笑ましい“ファン魂”が垣間見えるインタビュー現場。大人の余裕が漂う撮影現場でも、真矢さんはある贅沢な体験にドギマギしていたと明かす。
撮影の合間に、主演の舘ひろしさんが真央さんに「俺は若い頃から、真央が好きだったんだけどね」とおしゃれなジョークを飛ばされていたんです。
その小粋なやり取りを間近で聞いて、心の中で「私は今ここにいちゃいけない!二人の邪魔をせず、とにかく去るべきだ!」とドキドキして(笑)。
あまりに映画のワンシーンのような大人の空気感に、すっかり圧倒されてしまいました。
お互いの呼吸を知り尽くしている二人だからこそ、劇中では台本にないアドリブも繰り広げられた。
舘さんを挟んで私とミキちゃんが会話をするシーンでも、セリフが終わっても二人の会話が全然止まらなくて。監督もなかなかカットをかけないものだから喋り続けていたら、間にいた舘さんが笑いながらその場を立ち去っていきました(笑)
「経験値だけで仕事はしない」目の前に100%向き合う
本作『免許返納!?』は、舘ひろしさん演じる昭和の大スター・南条が、自身の古い価値観をアップデートしていく姿がユーモラスに描かれるロードムービーだ。
10代の頃から第一線を走り続け、常に「アップデート」を体現しているお二人は、日々どのように自身を更新しているのだろうか。
意外にも大地さんは「実はそれほど意識していないんですよ」と微笑む。
「自分をアップデートしよう」と声高に意識しているわけではないんです。
ただ、目の前のお仕事に対して常に真摯に向き合うこと。緻密な計算をするのではなく、本番に向けて徹底的に思考し、準備し、役を読み込むこと。自分らしさを失わずにそれを愚直に貫く。私はそれだけを続けてきました。
大地さんがさらりと語るその「覚悟」に、真矢さんは「本当にすごいことなんです」と大きく頷き、熱を帯びた声で言葉を継いだ。
真央さんはそうおっしゃいますが、準備のすごさを本番では1ミリも見せないのが本当に格好いいんです。
エレガンスの中に、男前にバーンと走る激しさが代わる代わるやってくる。あのお芝居を見られるだけでも、チケット代以上の価値があります。
私自身は真央さんの背中を見ながら、地道に目の前のことに取り組むこと、そして「これまで培ってきた経験値だけでお芝居をしない」ことを強く意識しています。
過去のやり方に頼って、引き出しから似たようなお芝居を取り出すだけでは、新しい役は生まれませんないと思うんです。
今回の弁護士役でも、毎日たくさんの資料を読み込んで「弁護士の日常ってどういう感じなんだろう」「早口で喋るのかな」など、頭の中に新しい回路を作るように意識して臨みました。常にゼロから泥臭く挑戦していたいんです。
「経験値だけで仕事をしない」。その真意を真矢さんは熱く語る。その熱意を隣で嬉しそうに見つめていた大地さんが、深く共感するように優しく語りかける。
本当にその通りですね。私は古希(70歳)を迎えましたが、去年と今年で劇的に何かが変わるわけではありません。
一つ一つの仕事に向き合っていくことで、少しずつ変わっていくものなんだと思います。52年間続けてきた仕事へのスタンスを、これからも変わらず貫いていきたいですね。
「若い時はハチャメチャでもいい」
目の前の仕事に誠実に向き合うことで、自らの道を切り拓いてきたお二人。
しかし、キャリアやライフステージの過渡期に立ち、これから迎える変化や選択に、一歩を踏み出すのをためらってしまう女性も少なくない。
そんなWoman type読者が抱える焦りや不安を受け止めるように、二人は自らの若き日々を振り返りながら、飾らない言葉で力強いエールを贈ってくれた。
失敗したらどうしようなんて、私はそんなことを考える余裕もありませんでした(笑)。まさに「当たって砕けろ」みたいな生き方で。
もちろん、数え切れないほどの失敗をしてきましたよ。でも外側の目ばかりを気にするのではなく、「反省はしても、後悔はしない」という前向きな精神だけは失わないようにしてきました。
失敗しても、起きてしまったことは仕方がない。「今の自分にとって必然だったんだな」と捉えて、次の良いエネルギーに変えていく。それが人生を楽しむためのコツですね。
自分の20代、30代を思い返すと、もう本当にハチャメチャでした(笑)。でも、若い頃ってそれでいいんだと思います。
一番大切なのは、やりたいと思ったことは思いっきり全部チャレンジしてみること。果敢に吸収して、傷ついて、発信した上で、「あ、これは自分に要らないな」というものを少しずつそぎ落としていく。
その作業は一人ひとり違いますが、まずは怖がらずに打って出ることが大切だと思います。
一見、誰もがうらやむ「完璧な大人の女性」に見えるお二人だが、その素顔はどこまでもチャーミングで、好奇心に満ち溢れている。
不完全な部分を隠さず、むしろそれすらも楽しんでしまう余裕こそが、いつまでも錆びないアップデートの原動力なのだろう。
最後に二人は、映画の「免許返納」という一見シニア世代向けのテーマを通し、実は世代を超えて「自分の人生のハンドルをどう握るか」を爽快に問いかける内容だと口をそろえた。
『免許返納!?』は高齢者のテーマに思えるかもしれませんが、実は若い世代の心にも深く刺さる部分がたくさんあります。難しく考えずに、劇中の終盤に赤い車を譲り受ける素敵なシーンまで、とにかく劇場の大画面で楽しんでいただきたいですね。
映画では、私たちの世代と若い世代の人生が良い意味で交差しています。幅広い年齢層の考え方に触れることは、自分の世界を広げる素晴らしいきっかけになると思います。
失敗を恐れず、まずは目の前のことに全力でぶつかってみること。 そして本当に必要なものだけをそぎ落とした先にこそ、自分の「人生のハンドル」がある。
お二人の凛とした笑顔は、目の前の一歩を踏み出した先には、年齢を重ねるほどに新しく、愛おしい自由な未来が待っているのだと、静かに教えてくれた。
取材・文/大室倫子 撮影/笹井タカマサ
映画『免許返納!?』2026年6月19日(金)全国ロードショー
舘ひろしが1994年の映画『免許がない!』で演じた南条弘を主人公に、新たな物語が紡ぐノンストップドライブコメディ。
映画スター・南条弘は順風満帆な俳優人生を歩み続けていたが、心の内では若いころの様にアクション映画への出演を望んでいた。そんなある日、ライバル俳優・尾崎誠がバイク事故を起こし、同世代の俳優としてメディアから求められたコメントが誤解を生み、〈スター俳優。南条弘(70)免許を自主返納へ〉と拡大解釈されてしまう。
これからも愛車のフェラーリに乗り、アクション映画にも出たい南条の気持ちとは裏腹に、周囲からは免許返納を期待されるという人生最大のピンチに陥ってしまう──。
出演:舘ひろし
⻄野七瀬⿊川想⽮
河井⻘葉
伊能昌幸 佐藤五郎 泉⾕星奈 ⻫藤 暁
内藤剛志 ベンガル / ⼤地真央 / 品川 徹 ⻄岡德⾺
南野陽⼦⼋嶋智⼈ 中⼭ 忍 MEGUMI 真⽮ミキ
吉⽥鋼太郎
宇崎⻯童
監督:河合勇人(『俺物語!!』、『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』ほか)
脚本:林 民夫(『永遠の0』、『ラーゲリより愛を込めて』、『ディア・ファミリー』ほか)
公開日:2026年6月19日(金) 全国公開
公式サイト:https://menkyohenno-movie.com/
公式X:https://x.com/Menkyo_movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/menkyo_movie
ⓒ2026「免許返納!?」製作委員会
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