70歳を越えても現役!? イタリア人女性が考える、仕事を長く続けるためのワークスピリットとは

女性活用」が盛んに叫ばれている昨今。“女性が長く働ける環境づくり”が日本社会全体にとっての課題となっている。

だが、今の働く女性たちからすると、ロールモデルとなるような女性が少なく、生涯をかけて「長く働く」のイメージが持てずにいるという人も多いだろう。

一方、イタリアでは、年齢を重ねても仕事を辞めてしまう女性が少なく、ほとんどの女性が長期的に働き続けるそうだ。

国ごとの環境や制度の違いはあれど、なぜ、イタリアでは多くの女性たちが長く働き続けられるのだろうか。イタリア発のナチュラルコスメブランド『DR.TAFFI』でセールスマネジャーを務めるイタリア人女性、エリザベッタさんに、イタリア人女性が大切にする、長期的に仕事と向き合い続けるためのワークスピリットを教えてもらった。

父から学んだ「根気強く仕事に向き合う姿勢」

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『DR.TAFFI』セールスマネジャーのエリザベッタさん

現在29歳のエリザベッタさんは、同社のマーケティングを担う部門のマネジャーとして、『DR.TAFFI』の世界展開を手掛けている。

イタリアでは、家族で会社を経営するケースが多いそうだが、『DR.TAFFI』もエリザベッタさんの父、植物博士のエニオ・タッフィ氏が作った、家族経営企業の一つ。

そこで、若くして会社で責任あるポジションを任された彼女は、大きなプレッシャーと戦ってきたと語る。

「『DR.TAFFI』は私が幼いころ、父が当時勤めていた製薬会社を脱サラして始めたビジネスなので、まだ会社としての歴史は浅く、私にセールスマネジャーとしてのノウハウを教えてくれる人も少ない環境です。

経験のある先輩がいつも横で仕事を見ていてくれるわけでもありませんし、自分がマネジャーとしてやるべきことも、自分で模索していくしかない状況。常に不安がつきまといます」

そんなエリザベッタさんが、プレッシャーに負けずに仕事を続ける支えとなっているのは、同社の創業者である父親の存在。彼のビジネスにかける強い想いと行動力が、彼女の仕事への向き合い方に大きく影響を与えているそうだ。

「父は40歳のときに『DR.TAFFI』を立ち上げたのですが、彼のこの行動は、私に『何事にも根気強く取り組めば、必ず結果を出せる』ということを自然と確信させてくれました。私も、普段の仕事の中で幾多の壁にぶつかってきましたが、そんなときはいつも、父のことを思い出すようにしています」

70歳を超えても現役! 女性が長期的に活躍する国・イタリア

前例の無い仕事に挑戦する上で、家族から教わることが多いというエリザベッタさん。父親だけでなく、働く女性の先輩である母親や姉の存在もまた彼女の大きな支えとなっていると語る。

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「実は、私の姉も当社で働く社員の一人なのですが、10歳以上年齢が離れているため、すごく頼れる存在。

仕事で迷ったときには、いつも彼女に相談してアドバイスをもらうんです。姉は2人の子供を育てながらフルタイムで働くワーキングマザーでもあるので、自分の少し先をいく働く女性として、良きロールモデルになってくれています」

また、70歳を超えるエリザベッタさんのお母さんも現役のワーキングウーマンだそう。

「今も当社で働いていている母は、とにかく元気いっぱい。70歳の女性が仕事をしていると聞くと驚かれるかもしれませんが、イタリアの女性にとって、人生をかけて仕事に向き合うというのは当然のことなんです」

そんな母親の姿を見て、「やりがいのある仕事を続けて行くことが、生きる活力につながっていく」ということを確信しているそうだ。

「私の家族もそうなのですが、イタリアの女性は非常にアクティブかつ自由な人ばかり。やりたいことを仕事にして、自分の人生を完成させようと努力しているんです。

私自身も『仕事は自分の人生そのもの』だと考えている一人なので、どんなに忙しくても、あるいは母親になったとしても、簡単に仕事を投げ出すつもりはありません」

仕事を続けられる環境に感謝し、長期的に働ける健康な体をつくる

仕事にかける熱い想いを語るエリザベッタさんは、自国の環境に対する感謝も口にする。

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「自然の恩恵を最大限に取り入れることができる『DR.TAFFI』のスキンケア商品は、自信を持ってお薦めできます。私自身も乾燥肌なので、スクラブとボディバターを使ったケアは欠かしません」(エリザベッタさん)
写真左:『アクア ディ ボルゲリ フィリオーリビアンキ ボディバター ホワイトローズ』 8,264円/税別、写真右:『アクア ディ ボルゲリ フィリオーリビアンキ ボディスクラブ ホワイトローズ』 6,248円/税別
■HP:http://drtaffi.jp.net/

「イタリアの女性たちが長期的に仕事で活躍できる背景には、政府によって作られる社会環境という要因も大きいと思いますよ。

最近では、子どものいる女性たちをサポートするための保育関連事業の発達が著しく、女性たちが仕事と家庭を両立しやすい環境がますます整えられているんです。

私のように、ずっと仕事を続けたいと考えている女性たちの希望が叶えられるように、本気でサポートしてくれるイタリアという国には、いつも感謝しています」

そんなイタリアの状況を知り、「日本では女性を取り巻く環境が全然違う」と少し落胆してしまう人もいるかもしれない。だが、彼女は次のように続ける。

「生涯にわたって働き続けるために最も必要だと思うのは、健康な体です。私自身も、両親には『健康が一番大切だ』とずっと言われて育ったので、食生活にはかなり気を付けています。

少しストイックかもしれませんが、肉類や乳製品はほとんど取らず、フルーツや野菜、豆類をたくさん食べるようにしています。体を鍛えるためにしていることとしては、ウォーキング。時間があるときには、10キロくらい歩きますね。

努力が必要なことではありますが、こうしてつくった健康な体があってこそ、結果的には美容も維持されていきますし、良質な仕事を生み出すことにもつながっていると思います」 

まずは女性たち自身から、長く働き続けられる状態を作っておくことが何より大事、ということだろう。

日本がイタリアのように女性にとって働きやすい国になるためには、もう少し時間が掛かるだろう。

だが、今回エリザベッタさんが教えてくれた“仕事は自分の人生を完成させるもの”という考え方や、“まずは長く働ける自分の体づくりから”というイタリア人女性流のワークスピリットを参考にすれば、日本でも新たな働く女性像を作っていけそうだ。

取材・文/掛谷 泉 撮影/赤松洋太 商品画像提供/DR.TAFFI