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AUG/2016

人気アナウンサーを辞めて、憧れだったフラワーアーティストへ。社会人になったあとの夢の叶え方/元テレビ朝日 前田有紀さん

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現在の職場で楽しく働きながらも、「本当にやりたい仕事はこれではないかもしれない」という迷いを抱えている人もいるだろう。

でも、「今の仕事がそこそこ充実している」、「社会人になって何年も経ってしまっている」、「そもそもやりたいことが分からない」などと言い訳を重ねながら、自分の気持ちに“常識”というフタをして生きている――。

そんな心のモヤモヤに少しでも思い当たる人は、人気アナウンサーという立場を捨ててまで好きなことを貫く道を選んだ、前田有紀さんのメッセージに耳を傾けてみてほしい。

入社10年を目の前に退職し、植物の世界に飛び込んだ彼女は、「都会のマンションが緑であふれる」様子を夢見て、がむしゃらに走り続けている。

前田有紀
前田有紀さん
1981年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、2003年4月、テレビ朝日アナウンス部に入社。2010年のサッカーワールドカップ南アフリカ大会では、テレビ朝日の「W杯応援団長」を務める。2013年3月に退社後、イギリスへ。フラワースクールのワークショップなどに通ったのち、見習いガーデナー(庭師)としてインターンを経験。帰国後、生花店で経験を積み、フラワーアーティストとして活躍。
■Facebookページ 「一日一花」 https://www.facebook.com/maedayuki.flower/
■instagram「一日一花」 https://www.instagram.com/yukimaeda0117

一流と呼ばれる人たちが“好き”の強さを教えてくれた

前田有紀さんというと、サッカー情報番組のアシスタントMCの様子を覚えている人も多いだろう。アスリートをはじめ、さまざまな分野の第一線で活躍している人に会って取材をし、自分の発する言葉に載せて情報を伝える。そんな生活を10年近く続けていくうちに、前田さんの心にある疑問が浮かんだ。

「私の本当に“好き”なことって、何だろう?」

第一線で活躍し、結果を残している人は、その仕事が心底好きで、全身全霊で向きあっている。自分もアナウンサーという仕事が大好きだけど、もしかしたら、もっともっと好きなものがあるのではないか?

前田有紀
「一度そう考え出したら止まらなくなってしまったんです」と話す前田さん。改めて幼いころからの“好き”を掘り起こし、自分の心に問うことを始めた。

小さなころから好きだったのは、花や植物だった。夏休みに過ごした母方の実家の自然あふれる環境、家で母が育てていた植物や野菜、常に生けられていた花々。そういえば、自分自身も忙しいアナウンサー生活の帰りにフラワーアレンジメントを習ったり、花を買って帰ったりしたっけ……。

「花と緑に関わる仕事をしてみたいと思ったら、もう止まらなくなってしまいました。元々冒険心や好奇心がかなり強いタイプ。当然周囲からは『恵まれているお仕事に就いているのにどうして?』という声もいただきましたが、植物を通してどんな出会いが待っているんだろうと思ったら、ワクワクしてしまって。もう、その世界に飛び込むしかないと思ったんです」

テレビ局を退社してすぐにロンドンに留学。語学学校やフラワースクールに通い、その後、コッツウォルズのガーデナー(庭師)のもと、見習いガーデナーとして仕事を学んだ。

「日本から離れ、広大な庭に水をやり、雑草を抜いてバラの世話をするという生活を送るなかで、徐々に花と緑に関わる仕事をするんだという覚悟が固まっていった気がします」

帰国後は、生花店で2年半の経験を積んだ。朝は早く、冬は寒いし、夏は虫に刺される。服にはすぐに穴が開き、手もボロボロ。そんな生活のなかでも、「起こるすべてのことが楽しくて、自分自身にパワーが湧いてくるのを感じていた」という。

積んできた社会人経験が、新しい世界を進む強みになっていく

全く違う仕事に飛び込んだからこその想定外も数多くあった。

前田有紀
「レジを打つとか、お金を管理することも初めてでしたし、ペーパードライバーだったので、お花を届けに行くのも大変。アナウンサーとしていろいろなことを知った気でいましたが、私には足りないことが多いということに気付かされました」

一方、10年近くアナウンサーとしての社会人経験をしていたからこその強みも発見できた。たとえばお客さまからアレンジメントやウエディングの装花の依頼があったとき、どういったものを希望しているのかを掘り下げていく取材力は、前田さんならではともいえる。

「お客さまの想いや大切にしていることを粘り強く聞いて、お花という形にして表現するのは、表現の方法が言葉かお花かという違いだけで、アナウンスの仕事と近いと感じています。興味を持ったらすぐに会いに行く行動力も前職で培われた強み。生産者の方々に会いにいくのも大好きなので、これからは、作り手の想いとお花とを絡めながら紹介していくような企画をやっていきたいと思っています」

発信者としての経験を生かした活動としては、アフリカの学校建設を手掛けているアパレルブランド『CLOUDY』とコラボして、ケニア産のバラを、ケニアの情報とともに提供するプロジェクトなどに関わってきた。

「実は、地震で被害があった熊本も、いいお花の産地なんです。こうした情報をお伝えすることで、普段はあまりお花を手に取らない人が興味を持ってくださることも。作り手の気持ちをお花に載せてお伝えすると、受け取ってくれた人は本当に素晴らしい笑顔を見せてくれるんですね。その笑顔を見たら、もっともっと頑張らなくっちゃと思うんです」

どんなライフイベントも、夢をあきらめる言い訳にしたくない

就職して10年、30歳を過ぎての転身が怖くなかったといえばウソになると、前田さんは言う。でも、「人生の選択肢を前に、言い訳はしたくなかったんです」と断言する。

「やりたいことは別にないという人も多いけれど、ワクワクすることをたどっていったら、たくさんの選択肢があることに気付くと思うんです。私自身、今の仕事も30歳を越えてからのゼロスタートで、それでもこんなにできるようになったという自信に繋がりましたし、人生が広がっていく感覚がまた次の挑戦に繋がっています。女性にはライフイベントがたくさんありますが、それだって、やりたいことをあきらめる理由にはしたくない。実は今第一子を妊娠しているのですが、子供に自分が夢を叶えながら仕事を楽しむ姿を見せたいと、むしろ意欲が湧いているくらい(笑)。周りの人にも、人生の選択肢を増やすような新しい道を提示できたら嬉しいです」

現在前田さんは、新しい挑戦として、花と緑を手軽に生活に取り入れられるようなアイデアを紹介する動画作りを手掛けている。イギリス時代に知った「スモールスペースガーデニング」という考え方や、その手法を日本に広める夢を実現するためだ。ゆくゆくは多くの人がアクセスしやすいウェブメディアで情報発信をすることも目指し、準備を進めているそう。

前田有紀
「みんなが気軽に『やってみようかな』と思えるような、おしゃれで、でも、ちゃんとガーデニングの専門知識もお伝えできるメディアを作りたいんです。そして最終的には、東京を緑あふれる街にしたい。植物とふれ合い、自分にしかできないと思える仕事を重ねるほど、どんどんやりたいことが広がっていくんです」

もちろん今も、数字に四苦八苦したり、身だしなみに気がまわらないほど時間に追われたりすることもある。しかし会社員時代以上に、今は何もかもが輝いて見えるという。

「本当に好きなことに携わることができると、仕事に向かう道も軽やかで、夜寝るときも明日が楽しみでウキウキしてくるんです。だから、ひとりでも多くの人に本当に好きなことを見つけてもらって、人生って楽しいということに気付いてもらいたいなと思います」

今、ようやくスタート地点に立てたと話す前田さん。夢への熱量とアナウンサー時代に学んだ“伝える力”を組み合わせながら、これまでなかった視点で植物の楽しみ方を多くの人に伝えていきたいと意気込む。

取材・文/朝倉真弓 撮影/赤松洋太

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