転職活動の面接でよく聞かれる27の質問って? 女性キャリアのプロに聞く“採用担当の本音”
転職活動を成功させるためには、面接で自分のスキルや魅力をうまくアピールすることが大切。だが、面接に苦手意識を持っている女性は少なくないだろう。
さらに、初めて転職活動をする人の多くが、「どんなことを聞かれるのだろう?」「うまく答えられるだろうか……」と不安を感じているもの。
自信を持って面接に臨むためにも、事前準備はしっかりしておきたい。
そこで今回は、転職活動の面接でよく聞かれる「志望動機」や「退職理由」など、27の質問を事例に、その質問をすることで採用担当がどんなことを知りたがっているのか、その上でどのような回答をすればいいのか、株式会社キャリエーラ代表、女性キャリアのプロ・藤井佐和子さんに聞いてみた。
よくある質問【1】
転職しようと思った理由は何ですか?
「『キャリアアップのため』というのが建前だということは採用担当者も承知の上。
『キャリアアップ』だけを貫き通してしまうと、『本音を隠しているのかな』と思われてしまう可能性も。
企業側は、応募者の本音を知りたがっているので、ある程度正直に答えるようにしてください。しかし、返答する際には、前職の愚痴にならないように注意することが必要です」(藤井さん)
よくある質問【2】
当社を志望した理由を教えてください。
「この質問では『入社意欲がどのくらいあるか』、『転職理由と志望理由に一貫性があるか』を確認しています。
『業界内でなぜその会社を選んだか』、『なぜこの仕事がしたいのか』、『入社後どうなりたいのか』の3点を盛り込んで話せば説得力のある答え方になりますよ」(藤井さん)
よくある質問【3】
どうしてこの仕事を選んだのですか?
「志望動機と同時に、仕事内容の理解度を見る質問です。特に未経験者の場合に聞かれる可能性が高いですね。
興味を持った経緯を答えるだけでなく、『これまでの経験や培った知識を仕事内容にどう活かせると思ったのか』を具体的に話してください。
また、具体性を持って話すためには、事前のリサーチも重要。どのような仕事なのか、事前にしっかり調べておきましょう」(藤井さん)
よくある質問【4】
当社のことはどの程度ご存知ですか?
「志望度はもちろん、社会人としてのマナーと情報に対する感度、概念的思考力を確認しています。
企業理念、提供する商品(サービス)、企業の現状を踏まえてどう考えたかをストーリー立てて話せればOK。しっかり調べているかどうかで、志望度の高さもアピールできます」(藤井さん)
よくある質問【5】
当社でどんな仕事がしたいですか?
「入社後すぐにしたいことだけでなく、中期的にどのようなキャリアを積んでいきたいのか、 それにはどのような能力スキルを身に付ける必要があるかを答えればOK。責任のある立場で何ができるのか、どうなりたいのかを話すようにしてください。
『やがては違う分野にチャレンジしたい』などと、募集職種以外の話をするのは避けた方が無難。
ステップアップのための足掛かりとして考えているのでは? と思われてしまいます」(藤井さん)
よくある質問【6】
別の職種に配属されたらどうしますか?
「希望職種に対する意欲を探る質問です。採用されたい一心で『何でもやります』、『頑張ります』という主張は逆効果になってしまうことも。
応募職種に役立つ経験や知識、意欲の高さを強調して応募職種への熱意を伝えてください。
ただし、職種にはこだわらずどうしてもその企業に入りたいと思っているのであれば『御社で働きたいという気持ちが強いため、チャンスは全て経験したい』と希望をしっかり伝えるようにしましょう」(藤井さん)
よくある質問【7】
前職の仕事内容を教えてください
「仕事の経験値や実力、入社後の仕事に適正があるかを見るのが狙いです。
必ず、受けたい会社の仕事内容につなげて前職の仕事内容を話すこと。直近の仕事について話すのが基本だが、入社後の仕事に関連した実務経験があれば、そちらの比重を多くしましょう。
その際、『どうやって関わったのか』『仕事の進め方』『工夫していた点』を伝えられると好印象に」(藤井さん)
よくある質問【8】
前の会社はどのような会社でしたか?
「本当の退職理由や応募者の人柄が出る質問です。気が緩んできたころに聞かれても、 前職の職場や体制などの悪口を言わないことが答え方のポイント。
会社の良いところを挙げておき、そこで学んだことを具体的に伝えるように心掛けてください。
また、雰囲気のみでなく、業界内の立ち位置、会社の状態も伝えられるとよりGOODです」(藤井さん)
よくある質問【9】
今までで一番頑張った仕事は何ですか?
「仕事の経験値や、その仕事の難易度、身に付けたスキルなどを見る質問です。一気に細かい説明をせず、まずは『いつ』『どんな状況で』『どんな仕事に』携わったかを端的に分かりやすく説明しましょう。
あとは面接官の質問に応じて補足しよう。大切なのは活き活きと話すこと。頑張った仕事でどのような成果を出したのかもしっかり伝えましょう」(藤井さん)
よくある質問【10】
あなたの強みと弱みを教えてください
「強みは『志望している会社や仕事にどう活かせるか』を踏まえてアピールしましょう。弱みは致命的なものではなく、『その程度だったらOK』ということを話すようにしてください。
また、『それをどう克服しようとしているか』をセットで話すことが大切です。
弱みをしっかり把握できていないと、自己認識の甘さが露呈してしまうので『弱みはない』という返答はしないように注意しましょう」(藤井さん)
よくある質問【11】
仕事の環境が変わった経験はありますか?
「職場環境への適応力を見ています。前職の経験の中から『異なるタイプの上司に適応するためにどのような努力をしたか』など、具体的なエピソードを上げて説明するように心掛けてください」(藤井さん)
よくある質問【12】
パソコンはどの程度使えますか?
「デザイナーやSEなどの専門職種以外なら、参考程度に聞いているだけの場合が多いので現状を素直に伝えて大丈夫。
どんな作業で使用していたのかを伝えると分かりやすくなります。ただし、WordやExcelなどの基本的なソフトが全く使えないという場合には、併せて今後の習得意欲もアピールしておこう」(藤井さん)
よくある質問【13】
前職での実績を教えてください
「営業職なら数字で示せるが、事務職の場合は答えにくいこの質問。
その場合、ちょっとしたことでも実績として話すことが大事になります。工夫・改善・提案したことなら些細なことでOK。
『備品の補充』や『職場の美化に関わったこと』などを、周囲からの評価も含めて具体的に話しましょう」(藤井さん)
よくある質問【14】
自己PRをお願いします
「『自分の強み』という自己認識と応募書類を応募職種をどれだけ関連付けて考えられているかを確認している質問です。『コミュニケーション能力がある』などではなく、『強みを志望職種にどう活かせるか』を具体的にアピールしましょう」(藤井さん)
よくある質問【15】
(職務経歴書を踏まえて)この実績をどうやってあげましましたか?
「仕事への向き合い方や、成果を出す上でのやり方を見る質問です。期間や難易度などを含めつつ、具体的にアピールすることが大切!」(藤井さん)
よくある質問【16】
何かこだわりを持って仕事をされていましたか?
「あなたが仕事をする上で『何を大切にしているか』を問う質問です。『これはやり遂げたい』という信念のようなものを持っているかが見られている。
人それぞれ違うものなので『仕事のスピード』でも『相手の立場に合わせたコミュニケーション』でもいい。
大切なのはしっかりと自分の考えや軸を持っていることです」(藤井さん)
よくある質問【17】
失業期間が長いようですが、何かスキルアップなどはされていましたか?
「即戦力として活躍できるかを探っている質問です。採用担当者が知りたいのは、必要な意識やスキルがあるかどうかという点です。
例えば、ブランクが3カ月以上あると、『転職活動がうまくいっていない』などと勘ぐられてしまうことも。
独学でもいいのでビジネススキルの向上のためにできることをして、求職中は仕事に役立つ勉強をしていたことをアピールできるようにしましょう」(藤井さん)
よくある質問【18】
お子さんが小さいようですが大丈夫ですか?
「ただ、大丈夫と答えるだけでは説得力に欠けます。
実家など子育てをサポートしてくれる人の有無や、預けられる施設、利用を想定している制度などについて説明しましょう。最初にしっかり現状を話しておくと、入社後融通が利きやすいこともあります」(藤井さん)
よくある質問【19】
結婚後のキャリアはどうお考えですか?
「結婚・出産後も働き続ける意志があるかは、企業側としても気になるところ。
突然抜けられては困るポジションに就く人材を募集するケースなどで聞かれることが多い質問です。
そのため、この質問に対しては働き続ける意志があることをしっかりと伝えましょう。
具体的に出産後のことなどを考えている場合は、家族のサポートなど得られる予定の支援を伝えておくのも一つの手です」(藤井さん)
よくある質問【19】
通勤時間が長くなりそうですが大丈夫ですか?
「採用担当者は、通勤に疲れて仕事に支障が出ないかを心配しています。
『前の職場でも通勤時間は同程度だったが、遅刻をしたことはない』、『入社が決まったら引越しを考えている』、『実は1時間で通勤できる』など通勤時間に関しては問題がないという理由を具体的に話しておきましょう」(藤井さん)
よくある質問【20】
残業がありますが大丈夫ですか?
「勤務体制に対する柔軟性を聞かれています。この質問に対しては、基本的には『できます』と答えるべき。
これまで残業をしてきた人はどれくらい残業をしてきたかを伝えるとイメージが伝わりやすいです。もちろん、どの程度の残業があるのかを聞くのはOK。どうしても残業が難しい場合は、その理由を話してください。
絶対に無理という言い方はせず、業務上どうしても残業が必要な時は対応したいという謙虚な姿勢を忘れないようにしましょう」(藤井さん)
よくある質問【21】
勤務のシフト制や休日出勤には対応できますか?
「流通・小売業界、ファッション業界、飲食業界でよくある質問です。基本的には覚悟して『対応できます』と答えるべき。もし勤務が難しい時間、曜日があるなら、理解してもらえるよう正直に伝えておきましょう」(藤井さん)
よくある質問【22】
転職回数が多いのはなぜですか?
「会社の倒産や家庭の事情などやむを得ない事情がある際は、正直に話しましょう。そうでない場合『キャリアアップのため』だけで片付けると、自己中心的で飽きやすい性格だと思われてしまう可能性があります。何か一貫した理由を考えて話すように心掛けてください」(藤井さん)
よくある質問【23】
前職をすぐに辞めた理由はなぜですか?
「『飽きっぽくて仕事が長続きしないのでは?』『トラブルを引き起こすタイプなのでは?』という不安を解消するためにしている質問です。たとえ前職に不満があって辞めたとしてもそれをあからさまに出すのはNG。ネガティブになり過ぎず、企業が安心できる理由を話してください」(藤井さん)
よくある質問【24】
応募資格の条件を満たしていないようですが……?
「応募条件に資格が明記してある場合でも、その資格を持たない人が選考に通過するケースもあります。
この質問ではその資格と同等の業務スキルがあるかを確認するためのものです。相応するレベルの実務経験を積んできた話をすれば大丈夫です」(藤井さん)
よくある質問【25】
他にどのような会社を受けていますか?
「正直に答えて構いませんが、まったく別の業界を受けている場合は『さっき聞いた話は何だったんだろう』と面接官が疑問を持つことに。受けている会社の基準を一貫性を持って説明できるようにしておこう」(藤井さん)
よくある質問【27】
質問はありますか?
「『特にない』では『当社に興味がない』と受け取られかねません。
事前に会社の情報を調べたときに、少しでも疑問に思ったことはメモに残しておくといいですよ。『同じ年齢くらいの社員の方とお会いしたいのですが』などの要望を伝えるのもOKです。だらだらと時間を使わないよう、質問は2~3つに留めておきましょう」
今回紹介した質問事例は、業界や職種に関係なく、よく聞かれるものばかり。
こういった基本的な質問にはすべて自信を持って答えられるよう、しっかり準備をしておこう。また、面接対策をしていると、自分が仕事を続けていく上で本当に大切にしたいものが見えてくることもある。キャリアのたな卸しにも役立ててみよう!
※こちらの記事は『女の転職@type』のコンテンツ『藤井佐和子の転職完璧マニュアル』より一部編集の上で転載しております