「やる気がない」「ミスが多い」困った後輩にこそ期待をかけてあげるべき理由

挨拶、言葉遣い、身だしなみ、所作――。もう新人ではないという人の中にも、「あれ!? こんな時どうすればいいんだっけ」とビジネスマナーで急に困った経験があるという人は多いのでは? そこで、マナーのプロ・美月あきこさんが皆さんの悩みにキッパリ華麗に回答していきます。
美月あきこ
■FB:https://www.facebook.com/Akiko.Mizuki ■ブログ:http://ameblo.jp/lucille/

今回の質問
後輩女性の扱い方について悩んでいます。とにかく仕事へのやる気がなく、「最低限」のことしかしません。それに、めんどくさいことは平気で断ります。注意力がさんまんなのでミスもよくします。それに、求められているレベルの仕事をまったくこなせないにもかかわらず、さっさと帰ります。厳しく言うと、次の日会社を休んでしまったりもするので、正直職場のみんなが彼女の扱いに困っています。先輩としてどのように注意すればいいのでしょうか。(接客・販売/29歳)
プロの回答
この春から、新入社員を迎えた職場も多いことと思います。新人の教育担当を任された人もいるかもしれませんね。そして、後輩に仕事やビジネスマナーを教えてあげること難しさを痛感している人もきっと少なくないでしょう。
また、今回の質問者さまは、やる気のない後輩にどう怒っていいのか分からないということですが、まずは彼女のモチベーションを上げることが重要です。少しでも本人が仕事に対して前向きな気持ちになれなければ、結局のところ何を言っても響きません。
では、どうすればいいか。私がいろいろな人材の教育を担当してきて学んだのは、人は期待されていると感じると、もっと期待に応えようとするということ。人は周囲の目を気にし始めると、自分自身を変えよう、良く見せようと努力するものです。
今の状態では難しく感じるかもしれませんが、小さなことでもよいので彼女の美点を探してみてはいかがでしょうか。それを「隣の部署の●●課長が褒めていたよ」などと、社内の人が期待を寄せていることが分かるように伝えます。彼女が仕事に興味を持てないのは、どこか職場で疎外感を感じていたり、周囲の人が自分に興味を持ってくれていないと認識しているからかもしれないからです。
また、どうしても注意しなければいけないことがある場合は、理由を聞かずに頭ごなしに否定しないことは意識したいところ。本人が良かれと思ってやっていることを頭ごなしに否定してしまうと、余計にやる気が無くなってしまいます。指導する側も大変ですが、そこは大人になりましょう。こちらが相手の言い分を聞くだけの余裕を持っていなくては、人を育てることなど絶対にできません。
私が新人CAだった頃のことを少しお話します。研修が終わって実際にフライトし始めると、先輩のスピードに圧倒され、自分ももっとスピーディーに仕事をしたいと思うようになりました。すると、「あなたの仕事は雑だから、もっと丁寧に!」と怒られます。丁寧を心掛けると、「全体の流れを考えなさい!」とまた怒られます。いつも逆側から指導されるわけです。すると、自ら「業務全体の流れがどうなっているのか」、「自分の仕事が周囲にどのような影響を与えるのか」、先輩が言う「丁寧な仕事とはどういうものなのか」を考えるようになりました。自分で最適な答えを考えていくうちに、作業スピードも仕事の質も上がっていったように思います。自発的に学んでいくことが成長のカギなのです。
やる気のない後輩への指導は苦労することも多いと思いますが、自分自身が仕事の本質を見直す機会にもなるはず。突き放したり、怒りをぶつけたりするだけでは結局お互いがネガティブになるだけですから、根気強く向き合ってあげてくださいね。
取材・文/栗原 千明(編集部)
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