「大学職員になれば安定」は大間違い!? 29歳女子大勤務のAさんが直面した“正社員減らし”というワナ【FP監修】

高山一恵さん
職種別にチェック!
隣のアノ子のお財布事情

どんなに仲の良い友達でも、「年収どのくらいあるの?」「貯金いくら持ってるの?」なんて、聞きにくいもの。周囲の人のお財布事情が分からないだけに、今の自分のお金のやりくりが正しいのかどうか、判断できないものですよね。そこでこの連載では、ファイナンシャルプランナー高山一恵さんに、これまでにあった相談事例を元に、働く女性たちのお財布事情を職種別に解説してもらいます。

【この記事を書いた人】
ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)マネーマネジメントコーチ、DCプランナー
高山 一恵(たかやま・かずえ)

1974年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画し、10年間取締役を務め、退任。その後、2015年に株式会社Money&Youの取締役へ就任。女性FPと女性をつなぐマッチングサイト「FP Cafe」の事業に注力。また、全国で講演活動・執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書に『35歳までにはぜったい知っておきたい お金のきほん』(アスペクト)など多数

~File.18~
大学職員女子のお財布事情

最近、私が講師を務めたマネーセミナーに参加してくれたAさんが、後日、マネー相談にやってきました。Aさんは29歳の女性で、都内某女子大で大学事務として働いています。年収は490万円と同世代の女性に比べて高めです。

大学職員

採用倍率100倍とも言われる人気職種!
でも、少子化で正規職員の数も減らされていく……?

清潔感あふれる見た目で、「清楚」という言葉がとてもよく似合うAさん。性格も保守的で、就職を考えるにあたって重視したのは、「安定した職業」。そこで、大学職員が頭に浮かんだのだそうです。

大学により異なりますが、大学職員は、一般的には給与水準も高い上に残業も少なく、安定した仕事に就きたい人にはまさに人気の職業。大学によっては採用倍率が100倍になることもあるほどで、Aさんも現在の大学に就職するために数十倍の倍率という、狭き門を勝ち抜いたそうです。

実際のところ、繁忙期はあるものの、基本的には8時30分〜17時30分までの勤務で残業はほぼなし。シフト制で土曜日出勤もありますが、同世代の友人よりも給与水準は高く、自分がやりたいと思ったことや趣味はほぼできています。育児休業など、結婚、出産後も働きやすい環境も整っているため、職場には満足しているとのことでした。

ところが、少子高齢化で年々子どもの数が減り、Aさんが勤務する大学でも入学する生徒が年々減少。同僚の中には、正社員から契約社員へと契約を切り替えてほしいと打診された人もおり、Aさんは、漠然と不安になってしまったそうです。一生安定して働けると思っていたのに……。キャリアプランを見直すきっかけになりました。

AI時代に必要な+αの能力を磨く!
20代のうちから「仕事のスキルアップ」につながる習い事にお金を投資しよう

Aさんは、平日は定時で上がり、趣味の茶道やフラワーアレンジメント教室を楽しんでいるとのこと。週に2日はお稽古に行き、その後は教室の生徒さん同士で食事をして帰るのが日頃の楽しみだと言います。

ただ、趣味を楽しめるのも安定した収入があってこそ。現在の職場で契約の切り替えなどの「打診」が実際に起こっているとあれば、Aさんが正社員でい続けるためには、さらなるスキルアップが必要となります。IT化が進んでいる現代、単純な事務作業は、将来ロボットに代替されてしまうでしょう。また、グローバル化も進んでいるので、賃金の安い外国人が雇用されてしまう可能性も高まっています。

そんな環境で事務職の女性が生き残っていくためには、「Aさんしかできない+αの能力」を身につけることが有効だとアドバイスしました。例えば、会議の資料を作成するにしても、誰にでも分かりやすく、見やすい資料が作れる人はそう多くはありません。評価の高い資料を作れるということも、立派な+αの能力です。

趣味に使っているお金の一部を、パソコンや語学スキル習得のための自己投資にまわすなどして、仕事に役立つものに振り替えることがオススメです。仕事のスキルがアップすれば、将来の不安からも自然と解放されます。

本格的なキャリアアップを目指すなら2018年がチャンス!

キャリアアップのための勉強を本格的に始めるなら、来年がチャンスです。実は、来年から「専門実践教育訓練給付」の支給金額がアップするのをご存知でしょうか?

「専門実践教育訓練給付」とは「教育訓練給付制度」の中の1つで、雇用保険に10年以上加入している人が中長期的なキャリアアップを目指して、厚生労働大臣が専門的・実践的な教育訓練として指定した講座を受講した場合に給付金がもらえる制度のことです。現在は講座の受講料の40%がもらえ、さらに、定められた資格を取得し、雇用された場合など、条件を満たせばさらに20%相当額を追加してもらえます。それが、来年、平成30年1月1日からは、受講料の50%がもらえ、さらに条件を満たせばそれまで通り20%相当額も追加でもらえます。つまり支給金額が10%もアップするわけです。支給される上限金額も32万円から40万円に変更されます。

専門実践教育訓練給付の対象となる講座には、専門職大学院や情報処理などがあります。これを機会に一度、自分のキャリアプランを考え直してみるのもいいですね。

大学職員に限らず、これからの時代を安定して働き続けるためには、ロボットにも他人にも代替できないオンリーワンの技術を磨いていくことが不可欠! 長期的な視点を持ち、若いうちから自己投資をしてみましょう。

大学職員

次回は<大学病勤務医 女医>のお財布事情です。
お楽しみに!