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JUL/2014

働く女性が「管理職」になる前に身に付けるべき3つのこと

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「もしかして、次に管理職になるのって私……?」2020年までに女性管理職を30%にしたいという国の目標もあり、「管理職を目指せ」という会社からの空気を感じている女性も多いのでは? 「自分が上司になるなんてムリ!」と腰が引けてしまうかもしれないけれど、「周りが働きやすい環境を作るマネジメントの仕事は、実は女性に向いている」と、スリール代表取締役の堀江敦子さんは言う。経営者として日々マネジメントにまい進する堀江さんに、「これから管理職になるかも」という女性へのアドバイスを聞いた。

“管理職”に気負う必要はない!
「なりたくない」という気持ちの本質とは?

スリール株式会社 代表取締役 堀江敦子さん
スリール株式会社 代表取締役
堀江敦子さん
日本女子大学福祉学科卒業後、2007年、楽天に入社し、3年間マーケティング業務に携わる。10年8月に退社し、スリールを起業。学生が「仕事と家庭の両立」をリアルに学ぶ、ワーク&ライフ・インターン事業を展開中。新宿区男女共同参画推進委員、内閣府のプロジェクトへの参加など、仕事を通して子育て支援、少子化問題、女性のキャリア開発などに広く取り組んでいる。働きながら学ぶ社会人大学院生としての顔も持つ
IT企業に3年間勤務した後、2010年に起業した堀江敦子さん。現在代表を務めるスリール株式会社では、子どものいる共働きの家庭に学生インターンを紹介し、“共働き家庭の現実”を知ってもらい、将来のキャリア教育に活かすという事業を行っている。インターン経験者は、すでに280人に上る。

「社会人スタッフにはもちろん、インターンの一人一人にも、十分に力を発揮してほしい。それができる環境を整えるのも、経営者として、管理職としての私の仕事」と話す堀江さんだが、自身もかつては“ヒラ社員”だった経験から、“管理職”という言葉の違和感を指摘する。

「そもそも、管理されるのが好きな人っていないですよね(笑)? されたら嫌なことを率先してやらなきゃいけない仕事はしたくないと思うのは自然な気がします。管理職という呼び名のイメージに惑わされないでほしいです」

“管理職”と聞くと、「私には絶対ムリ!」と感じてしまう人に共感しつつも、「気負うことはない」と堀江さんは続ける。

「『ムリ!』と反射的に感じるのは、自分の将来の姿をじっくり考えたことがないからかもしれません。ロールモデルがいない、やり方が分からない、相談相手がいないといった状況の女性は多いと思います。でも、そうやってモヤモヤしたまま拒絶するのではなく、なぜ管理職になりたくないのか、管理職の何がイヤなのかを整理していくと、問題がクリアになっていくと思います」

例えば、「自分は管理職になるほど仕事が好きじゃない」と思っていたら、こんな方法で気持ちを整理できそうだ。スリールの社会人向けのあるワークショップでは、一日の行動の一つ一つを書き出して「快」か「不快」か振り分けてみる。すると、仕事が効率的に進まないことが不快だっただけで、仕事自体が嫌いなわけじゃない、と分かったりするという。

むしろ、仕事の効率化をして「快」にしてくためには、マネジメントに関わっていくことが近道かもしれないと気が付ける。

「そうやって自分の状態を細かく客観的に把握すると、むやみに自分の可能性を狭めてしまうこともなくなります。このやり方で、今一度、『仕事やプライベートも含めて、どんなキャリアを目指して行きたいのか』『その為に実施していくことは何か』を考えてみると、意外と管理職という道も見えて来るかもしれません」

マネジメントで力を発揮するために知っておくべき
「経営者視点」「多様な価値観」「No.2の考え」

自身が経営者になって、堀江さんは管理職のイメージが変わったそう。

「日本ではマネジメントとリーダーシップがごっちゃになっているところがありますが、マネジメントとは皆が働きやすい環境を作って、しっかりと目標へ向かえるようにすることだと私は考えます。細やかな気配りができたり、後輩に慕われることにやりがいを見出せる女性にこそ、向いているんじゃないかなって思うんです」

もちろん、マネジメントは簡単な仕事ではない。その根本的な難しさは、「人は多様だ」ということにあるという。「価値観もバックグラウンドも違う人間だから、理解できなくて当たり前と思うことが第一歩」と堀江さん。相互理解という大前提がある上で、「これから管理職になるかもしれない人に知っておいてほしいことが3つあります」と話す。

1、経営者視点
チームを束ねて会社が目指す方向へと進むには、上司の考え、ひいては経営者の考えを知ることが大切だ。堀江さん自身はスタッフに向けて、今週誰に会って何を考えたか、プライベートも含めて1週間のできごとをメールで伝えている。

「スタッフからしたら、『私の言ってることがころころ変わる』ということもあると思うんです(笑)。でもそこには変わった経緯があるもの。少しでも、私の思考回路の変化を感じてもらえたらと思って週報を始めました。実際の経営者や直属の上司に聞くことができなくても、経営に近い仕事をしている人や事業部長クラスの人をつかまえて、話を聞いてみるのもいいと思います」

2、多様な価値観
「具体的には、子育て中の人、家族を介護している人など。それから心の病を抱えている人も今や珍しくありません。今後どんな会社でも、制限がある人は出てきますから、その人たちの能力も十分に発揮できる環境作りが管理職には求められるのです」

自らが週報を提示する一方で、スタッフには日報を書いてもらっている。就活や恋愛、家族といった、プライベートを含めてだ。子育て中のスタッフの「夜泣きが大変」といったこと認識していれば、「だから日中眠そうだったのかな。そんな人がうまく仕事を回せるようになるにはどんな仕組みがあればいいんだろう」という管理職として、次の動きが取れるからだ。

「管理職になる前から、ワークだけでなくライフについても共有するクセを付けておきましょう。もちろんナイーブ過ぎて言えないことを無理に伝える必要はありませんが、多様な状況の部下がいることが当たり前だと思えるようになっておきたいですね」

3、No.2の考え
「これは私が経営者になって痛感していることですが、自分の右腕になる人は、その他のスタッフとの間に入ってくれる人でもあります。その人と協力して仕事に取り組めるかどうかが、成果に大きく影響してくるんです」

チームのNo.2として、その人は一体どんな考えで仕事をしているか、それを分かった上でトップに立つことが大事。ポイントは、ただ中間管理職の人の話を聞くのではなく、“優秀なNo.2”の話を聞くこと。管理職といっても孤独ではないことを理解し、ミドルマネジャーと協力できるようになろう。

経営者、制限を抱えた人、優秀なミドルマネジャー――
さまざまな人の話を聞くことで「視点」を身に付ける

K.I.T.虎ノ門大学院
企業経営論の授業では部下のマネジメントで悩む女性の仲間もできたという。堀江さんが通っていたK.I.T.虎ノ門大学院は女性の履修者も多いそう
では、そんな3つの視点を身につけるためにはどうすればいいのだろうか? 堀江さんは、「ぜひさまざまな人に出会って話を聞くことをお薦めしたい」と話す。

まずは、社内で。実は会社は、自分の将来を考えるにもリソースの宝庫。堀江さんも会社員時代、よく他部署を訪ねて自主的に“異部署交流”をして、仕事上の課題解決の糸口や、働き方のヒントを見つけたりしたという。

「当時社内で知り合った15歳ほど年上の先輩は、お子さんもいながらバリバリ働いていて、今も折に触れて叱咤激励してもらえる大事な存在です。そんなロールモデルが身近にいないと言うのは本気で探していないだけ。自分で見付けられないときは、『こういう人はいませんか』と上司に紹介をお願いしてはどうでしょうか?」

それから、社外に出会いを求めてもいい。例えば堀江さんの場合、起業して1年目はあまり人にも相談せず、自身の信じる道を突き進んできたが、2年目はそれが正しいのか確かめたい、そして「仲間を作りたい」という思いから、社会人大学院に通うことに。企業戦略論やマーケティング論の講義を受講し、同じように「自分の仕事に何かプラスの糸口を見つけたい」と感じている人と出会って多くの刺激を受けたという。

「こうした場に一人で行くのは勇気がいる、と思う人もいるかもしれませんが、最初の一歩は堅実に低めのステップでいいんです。まずは場慣れすることが大事! 社会人大学院に通うにしても毎日ではなく、まずは1科目から学べる科目等履修生という形でいい。同じテーマに興味がある人たちと定期的に会えることで、単発のセミナーやイベントなどでは得られない継続したつながりを持てます。その仲間たちから先ほど挙げた3つの視点を学ぶことも多いですよ」

自分や周りの人が働きやすい環境を作るために、管理職をめざすのは選択肢の1つ。「そんな可能性も含めて自分の未来を考えてみてもいいんじゃないかなと思います」と堀江さん。社内外で新しい出会いを得る、そんな一歩一歩の積み重ねが未来への不安を取り除くのかもしれない。

取材・文/高島知子 撮影/赤松洋太

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