「私も使ってます~」で信頼ダウン!? “売れる販売女子”がわきまえている接客トークマナー

美月あきこ
マナーのプロが華麗に回答
もう迷わない!働くオンナのビジネスマナー

挨拶、言葉遣い、身だしなみ、所作――。もう新人ではないという人の中にも、「あれ!? こんな時どうすればいいんだっけ」とビジネスマナーで急に困った経験があるという人は多いのでは? そこで、マナーのプロ・美月あきこさんが皆さんの悩みにキッパリ華麗に回答していきます。

今回の質問

アパレル販売の仕事をしているのですが、お客さまとの会話が苦手です。お店からはどんどんお客さまに話しかけるように言われているのですが、不快な感じで冷たくあしらわれることもあるので、いろいろ気にし過ぎてあまりうまく話せません。お客さまとのコミュニケーションで気をつけたほうがいいマナーがあれば知りたいです。(アパレル販売/26歳)

プロの回答

今回の相談者さまが、普段どのようにお客さまにお声掛けをしているのかは分かりませんが、1つ言えることは、多くの場合、お客さまは「話しかけてほしくない」と思っているのではなく「プレッシャーをかけないでほしい」と思っているということです。

誰しも、「物を買うことを押し付けられたくない」、「無理やり売ろうとされたくない」と思うものですよね。冷たくあしらわれてしまっているということは、「売りたい」「買わせたい」という気持ちが態度から伝わってしまっている可能性があります。

販売で成果をあげている女性に共通するのは、「距離感」の詰め方が上手な人だと思います。アパレル販売の現場でいえば、自然な笑顔で感じの良い挨拶ができ、“自分都合”な声掛けを一切しない人です。

“自分都合”な声掛けとは、お客さまが「そんなこと聞いてないのに」、「見れば分かるよ」と感じてしまうような通り一辺倒な声掛けです。例えば、お客さまが商品を手に取るやいなや「私も使ってます~」、「皆さん買ってますよ」など。“自分に似合う服”をじっくり探している人からすれば、そこに知りたい情報は含まれていません。

また、ずっと後をついてまわったり、お客さま個人のことをあれこれ質問する行為も、気遣いというよりは“監視”のような印象を与えてしまい、「居心地が悪い」と感じさせます。相手にプレッシャーを与えるような行動を取っていないか、改めて見直してみましょう。

「買わせたい」という気持ちは分かりますし、「話しかけなきゃ」という気持ちも分かりますが、お客さまが必要とする情報を、必要とされているタイミングで出せるよう心掛けてみてください。自然な笑顔で気持ちの良い挨拶をし、「ご自由にご覧くださいませ。何かありましたらこちらにおりますので」と一言伝えて少し離れた場所に移るだけでも、だいぶ相手はプレッシャーを感じなくなるものです。


人財育成トレーナー、ビジネスマナー講師
美月あきこ

大学卒業後、日系および外資系航空会社にて国際線客室乗務員として17年間勤務。その後、人財育成トレーナーとして、接遇サービス、対人コミュニケーションについての講演・研修を企業や団体にて行う。客室乗務員時代に身につけたファーストクラス仕様のサービスを元にした、ユニー クな研修手法が好評を博す。すぐに効果の上がる「売れる営業マン・販売員」研修は全国からオファーが絶えず、年間180回以上の研修と講演を行う。著書に、ベストセラーとなった『ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣』(祥伝社)。シリーズ最新刊は、『15秒で口説く エレベーターピッチの達人』(祥伝社)
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アパレル店員

取材・文/栗原 千明(編集部)