横澤夏子が女子が抱える“クヨクヨ病”を撃退! 不安・焦り・コンプレックスに対処するコツ
「私には無理」
「私にはできっこない……」。
謙遜の文化が強く根付く日本社会。いつの間にか自己肯定感が低くなっていき、気づけば「私なんて……」が口癖になっていた、なんて人もいるかもしれない。
しかし、自信を持って行動を起こさなければ、何となく冴えない毎日だって変わりようがない! そこで今回は、Netflixオリジナルドラマ『オルタード・カーボン』の配信記念イベントに登壇されたお笑い芸人の横澤夏子さんを直撃取材。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネを武器に、鋭い観察眼で女子の生態を斬ってきた横澤さんにクヨクヨモードを打開するための方法など話を聞いた。

横澤夏子さん
“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。2016年、2017年と『R-1ぐらんぷり』の決勝に2年連続で進出
同世代女芸人たちの華々しい活躍に焦りを感じる自分がいた
芸人なのに人の目を気にし過ぎてしまう、かつては「私なんて女子」の一人だったという横澤さん。女芸人戦国時代、自信のない自分と戦いながら、試行錯誤を続けてきた。
「ゆりやん(ゆりやんレトリィバァ)と、ブルゾン(ブルゾンちえみ)って、私と同い年で、今27歳なんですよ。同じだけ生きているのに、それぞれ活動の仕方が全く違うんですよね。ゆりやんは『THE Wで1000万円取ったんだ〜』、ブルゾンは『24時間走るんだ~』みたいな、同世代の活躍を見て『いいなあ』『それに比べて私なんてなぁ……』って卑屈になっちゃう時は正直ありましたね」
他人の気持ちや本音がよく分かる性格だからこそ、逆に、自分への評価が気になってしまうことも多いそうだ。

「『私なんて』って、めちゃくちゃ言っちゃうんですよ(笑)。もはや口癖。今日も『Netflix』さんのイベントでお話させていただきましたけど、『私の話なんて、皆本当に聞きたいかなあ』とか、過剰に心配になっちゃうんですよ。でも、『横澤さんに』って任せてもらった仕事なんだから、そこは自信を持って挑まないと失礼になっちゃう。『“私なんて”は禁止!』って自分に課して、どうにか頑張ってます」
トークイベントや、テレビ番組の収録の後には、一人反省会が常だという。
「『あぁこれは言わない方がよかったな』とか、『余計なこと言っちゃったかな』とか、後からあれこれ考えちゃうタイプです。でも、クヨクヨしている自分は好きじゃないから、やっぱりそこで気を取りなおさなきゃって思いますね」
「ちっぽけな悩みだな」と思うようにすることが大事
そもそも、幼い頃からコンプレックスが多かったと語る横澤さん。このコンプレックスも、自分に自信が持てない要因になっていた。
「皆さんご存知かもしれませんが、私、よく顔がでかいって言われるんですよ(笑)。小顔マッサージに行ったら『もうこれが限界です』って言われたり、月2万円ぐらいしかお給料をもらっていなかったころに、足を細くしたくて20万円のエステを予約しちゃったり!」

そう茶目っ気たっぷりに話す横澤さんが、クヨクヨモードを打開するために実践するのは、次の2つだそう。
1つ目は、自分を客観的に見ることだ。
「7年くらい前にTwitterの裏アカウントを作ったんですよ。そこで違う人格になりきって好きなようにつぶやき始めました(笑)。自分と一度距離を置いて別人格になってみると、何だかすごく落ち着くんですよ! それはたぶん、今の自分を客観的に見ることで『今悩んでることなんて、別にどうでもいいことじゃん』って思えるようになるからだと思います」
2つ目は、映画やドラマを観ること。プライベートタイムには、大好きな作品を一気に観るそうだ。
「物語の主人公にはマイナスな出来事が付き物じゃないですか。でも、それを乗り越えるから最後はハッピーエンドを迎えられる。悩んだり、つらい時期って絶対過ぎ去っていくし、そういう期間が主人公に成長をもたらしてくれたりもする。ドラマや映画を観ていると、そう感じられるからいいんでしょうね。
ドラマ『オルタード・カーボン』は特にオススメ! 未来の世界で全く違う体で蘇った主人公が、強制的にある殺人未遂事件の捜査を依頼されるんですけど、物語が進んでいくうちに過酷な未来で生きる意味を見つけていくんです。そして、このドラマ、とにかくテーマが壮大なんです。スケールもはんぱじゃない。こういう大作を観ちゃうと、私はなんてちっぽけなことで悩んでいたんだ……!って思える効果がありますね(笑)」 Netflixオリジナルドラマ『オルタード・カーボン』
自分の弱点は、実はチャームポイントだった
19歳で初舞台を踏んでから、8年が経った今、努力の甲斐もあって自信のなさとも向き合えるようになってきた。

「今では、コンプレックスがあった方が仕事の原動力になるかなって、少しは開き直れるようになりました。顔のデカさも『嫌だな』と思っていたけど、開き直ったらそれがいつの間にかチャームポイントになっていました」
自分の弱点を隠さないようにした途端、先輩芸人がそこをうまくネタにしてくれるようになったそう。自身の芸の幅も広がった。
「本気で芸人の仕事をしていたら、自分の嫌いなところもすべて受け入れちゃった方が楽だし、得だなって思えるようになったんです。とはいえ、まだ受け入れられてないところはたくさんあるんですけどね(笑)」
そう本音もこぼす。
「“病みツイート”は未だにたくさんしてます!!!(笑)」

皆の身に起こった嫌な出来事は、私がネタにしちゃうね!
上司に嫌味を言われたとき。
同僚と比べて自信が持てないとき。
仕事で失敗して打ちのめされてしまったとき。
恋愛がうまくいかないとき。
沈んだ気持ちを消化できずに「私なんて……」とつい口にしてしまいそうになったら、いっそ「SNSで私に報告して!」と横澤さん。「全部ネタにして『エンタの神様』でやりますよ」と笑って答えてくれた。

「私も落ち込んだ時は、元気いっぱいの人に話をしてリフレッシュしますよ。芸人仲間だと、渡辺直美さんかな。彼女はすごくポジティブで、生きるパワースポットみたいな人。このポジティブさはいつも尊敬しています。自分とはまるで違う価値観で生きてる人に、話を聞くのって刺激になりますね」
「でも、キラキラし過ぎな人に近づくと怖気づいちゃう人は、ちょっと卑屈なくらいの私にやっぱりメッセージして! 私もネタが集まって助かるから!(笑)」と冗談ぽく笑う。
「私なんて」と気にしていることは、他人から見れば実はちっぽけなことかもしれない。自分のコンプレックスや弱点をさらけ出すことで強みに変えてしまった横澤さんの言葉に、笑顔と勇気をもらった。

取材・文/天野夏海 栗原千明(編集部) 撮影/赤松洋太
作品情報
Netflixオリジナルドラマ『オルタード・カーボン』独占配信中
250年の眠りから覚め、新たな体でよみがえった犯罪者。だが自由と引き換えに突き付けられた条件は、絶対的権力を持つ大富豪殺害の謎を追うことだった・・・
出演: ジョエル・キナマン、 ジェームズ・ピュアフォイ、 マルタ・イガレータ