就職せずにキャリアを築く! “ライフスタイルプロデューサー”という新しい仕事を確立できたワケ―村上萌さん×藤井佐和子さん対談・前編

株式会社キャリエーラ 代表取締役 藤井 佐和子(ふじいさわこ)
大学卒業後、大手光学機器メーカーの事務職を経て、インテリジェンスにて女性の転職をサポート。現在は株式会社キャリエーラを設立し、キャリアコンサルタントとして、女性のキャリアカウンセリング、企業のダイバーシティーサポート、大学生のキャリアデザインなどに携わる。カウンセリング実績は1万2000人以上。オフィシャルブログ「藤井佐和子のキャリアカウンセリングブログ」も好評。

今回のゲスト:ライフスタイルプロデューサー 株式会社Garten 代表取締役 村上萌さん
1987年生まれ。大学時代にミス成蹊大学に選ばれ、「ズームイン!!SUPER」の学生レポーターとして活躍。2010年、「ミスFOREVER21コンテスト」でグランプリを獲得したのをきっかけに、ブロガーとして注目を集める。その後、企業やお店からの依頼で商品やイベントのプロデュースを手がけるように。「次の土日に取り入れたい」をコンセプトとした写真で綴る情報サイト「NEXTWEEKEND」も運営中。公式ブログ『Girls be Fabulous』

流行ってもいないものを、流行りものとして紹介する
ジレンマに悩んだレポーター時代
藤井:村上さんは「ライフスタイルプロデューサー」という肩書きでお仕事をされているそうですが、どういう経緯でこの職業を名乗るようになったんですか。
村上:私、大学時代にテレビの情報番組で流行りものを紹介するレポーターをしていた時期があるんです。でもその時は、自分が思ってもいないことを言わされるのがすごく嫌で。テレビ局の人から「今日はピンクのサロペットを紹介するからよろしくね」と言われれば、実際は全然流行っていないのに、「今年の春はピンクのサロペットがきてます!」って言わなくちゃいけない。「本当に流行っているのはこういうのですよ」と言っても、当時の私はただの女子大生レポーターに過ぎなかったから、話を聞いてもらえなくて。だから「自分が流行を仕掛ける側になって、しかもそれを皆にちゃんと聞いてもらえるくらい説得力のある人になりたい」と思ったんです。
藤井:なるほど。すでに大学時代には、“何かを仕掛けるプロデューサー”になりたいというイメージはあったわけですね。
村上:レポーターの仕事と併行して、雑貨メーカーでインターンをした経験も大きかったですね。企画会議にも参加させてもらったし、作り手の内部事情も知ることができました。原価も知っている商品が何倍もの売値で飛ぶように売れていくのを見ていて、商品名や売り出し方をどう演出するかによって消費者の心には届くということを目の当たりにしました。そのメーカーはPR会社の機能も持っていたので、ヒットを出すには商品力に加えてPR力もないといけないんだということも学びました。
藤井:大学時代に色々な経験をしたんですね。でも、就職活動はしなかったんですか?
村上:したことはしたんです。いくつか内定もいただいたのですが、なかなか自分がここだと思える会社に出会えなくて。そうするうちに、就職が決まらないまま大学を卒業して、4月1日を迎えてしまったんです。友人たちがSNSで「今から入社式なう」とか書き込んでいるのを、私は実家でパジャマのまま見ていただけ(笑)。ただ、なぜか「私は何とかなる」という根拠のない自信だけはありました。
ブログを匿名から実名へ
情報の発信者として注目を集める

藤井:そこからどうやって“仕掛ける側”になれたんですか?
村上:今になってみると、あまりにもビッグニュースが凝縮された1カ月だったのですが、始まりは、その翌日の4月2日に、自分がFOREVER21コンテストの1次審査に通ったのを知ったことでした。少し前に「コンテストの候補者を探しているから、写真を撮影させてください」と街で声を掛けられて、その時は気軽に応じたんです。でも自分が候補に残ったことが分かったら、「今の私には失う物なんてないし、格好つけてないでちゃんと勝ちにいきたい!」と思って。それで、以前から匿名で続けていたブログで実名を公開して、「コンテストで候補に残ったので、皆さん応援してください」って書いたんです。そこから21人の最終候補に残り、結果的にはリアルでのコンテストでグランプリを獲得することができました。
藤井:匿名から実名にするって、結構大きな決断だったんですか。
村上:私にとっては大きなことでした。その時点から、リアルとネットを連動させるようになったので。それまでは、匿名で本音を綴るブログと、違和感を覚えながらもキラキラした世界でレポーターなんかやっている現実の私との間に壁を作っていたんですが、実名を出したことで完全に両者が一致したんです。すると今度は、日本HPさんから、「当社がNYで開催するイベントがあるので、日本代表のブロガーとしてレポートしてきてください」という依頼が来て、その後すぐに、ファッション雑誌の『エル・ガール』さんのサイトでブロガーとして記事を書かせてもらうことになりました。
藤井:確かに、トントン拍子ですね。
村上:ただただ「説得力のある人になりたい」という思いだけで動いていたら、何かを言う場が少しずつできていったという感じです。ブログを書く時も、「イベント楽しかった!」で終わらせず、自分が見聞きした情報をきちんと整理して、常に「自分だから伝えられることは何か」を考えて書いていたのがよかったのかもしれません。
藤井:そうやって、まずはブロガーとして注目されたわけですね。
村上:そうした活動を1年ほど続けた時に、以前から大好きでブログでもよく紹介していたカフェから、「うちとコラボしてベーグルを作りませんか」という依頼が来たんです。その時ですね、「もしかしたらこれからはプロデューサーという肩書きで仕事をしていけるかもしれない」と思い、必死で自分なりの提案を考えました。レポーターやブロガーという立場だけではなく、その商品を自分が仕掛けたのだとはっきり分かる立場で仕事がしたいとずっと思っていたので。
藤井:“ライフスタイル”というのは、どこから?
村上:それはですね、たまたま出会った人から「ライフスタイルプロデューサーの村上さんですよね?」と言われたので、「それ、おしゃれでいいじゃん」と思っていただいてしまいました(笑)。でも確かに、自分にプロデュースできる分野は何かと考えると、ライフスタイルという言葉はぴったりなんですよね。
他の人が「無理だよ」ということでも
「どうすればできるんだろう」と考える

藤井:本当に何でも自分で考えて、自分で決断しているんですね。自分の進路や将来について、誰かにアドバイスをもらったことはないんですか。
村上:もちろんアドバイスは本当に参考になりますし、大事な時には相談させてもらう大切な人もいます。だけど最終的には絶対に自分で決める意識を持つことにしています。就職の時も、もし他人のアドバイスに従っていたら、内定をもらった会社に就職していたでしょうね。あの時は、100人に聞いたら100人が「就職しなよ」って言いましたから。友人と話していて、「企業やお店と組んで、商品やイベントをプロデュースする人になりたいなぁ」と言ったら、「そんなの、秋元康しか無理だよ」って言われたこともあります。でも私は、「なんで無理なんだろう?」と思って。むしろ「秋元康さんはどうやってそういう仕事をするようになったんだろう」って考えちゃうんです。
藤井:確かに他人のアドバイスって、「皆がこうしているのだから、あなたも同じようにしなさい」というものがほとんどですよね。でも、皆とは違う道を一人で進むのは、不安ではなかった?
村上:なんとも言葉にしづらいのですが、根拠のない自信があるんです。それは「わたしは何でも成功する!」という自信ではなく、「どう転んでも自分なら楽しめるんじゃないか?」という自分の決断すら面白いと感じているということなんです。もしかしたら父親の影響も大きいかもしれません。
私の父は若い頃ジャズバーのマスターをしていたのですが、40歳の時に突然「たぶん俺は良い広告を創り出せる気がする。これからは中国が伸びると思うし、挑戦するなら今が最後のチャンスだ」と言って、上海へ行ってしまったんです。そして上海の電話帳をめくって、現地の日本企業に電話をして「広告代理店の者ですが」というところから営業を始めたそうです。といっても、実際は広告の仕事なんてやったことないわけですよ(笑)。でも、見よう見まねでCMを作ったり、イベントを企画したりして、あれから17年一応現地で自分の会社を経営しているので、だいぶ規模も大きくなってきたようです。
自分が社会人になってようやくその大変さを尊敬できるようになりました。父親らしく言い聞かせてくれたことは一度もありませんが、何かを始めるのに、年齢や実績は関係ないんだと、父を見ていてつくづく実感します。だから私も、「まずはやってみよう」という精神を強く受け継いでいるんでしょうね。
取材・文/塚田有香 撮影/柴田 ひろあき


デイルズフォード ・ オーガニック 青山
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