「座り仕事、スキルアップ、高収入」キャリアに自信のなかった私が“欲張り転職”を叶えたワケ【日勤ドライバーの一日】
転職しようと思った時、「自分に合った仕事」を探すのは難しいもの。本当に自分の希望を叶える仕事は、どうやって見つければいいのでしょうか?
そこで今回は、「転職して、仕事は楽しくノンストレス、お給料もお休みにも満足いく仕事に出会えた」という、東京りんかい交通の平田友子さん(仮名)を紹介します。
小売接客業からタクシードライバーに転身、60代で新たな世界にチャレンジした結果、過去最高に充実した日々を過ごしていると話す彼女に「タクシードライバーの仕事の知られざる魅力」について聞いてみました。

東京りんかい交通株式会社 平田友子さん(仮名)
アパレル販売員として百貨店に勤務した後、販売職や事務職を経験。後に訪問介護のスタッフ送迎ドライバーとして4年働き、2018年8月に東京りんかい交通に入社
「キャリアがなくてもOK」「女性に優しい環境」に惹かれた
編集部:平田さんがタクシードライバーにチャレンジしようと思ったきっかけは何ですか?
私は今までアパレル販売や家業の酒店の手伝いなど、主に接客の仕事を続けてきました。その後、立ち仕事が辛くなり、訪問介護のスタッフ送迎ドライバーに転身。ところが、ある時、会社が休業することになってしまったんです。転職先を探す中、やはり60代で正社員雇用は難しいかなと思ったのですが、東京りんかい交通の求人広告を見て、「私にもできるかも」と思いました。
当時はタクシードライバーに必要な2種免許を持っていなかったのですが、東京りんかい交通なら、なんと会社の費用負担で免許を取得できるとのこと!
キャリアがなくても大丈夫で、ワークライフバランスも保たれて、給与もいい。さらに「女性に優しい環境」というのも決め手でしたね。
編集部:タクシー業界はなんとなく男性社会のイメージがありますが、女性ドライバーとして入社してみて、ギャップを感じることはありませんでしたか?
求人広告に書かれていた「女性に優しい環境」が、本当にそうだったことですね(笑)。女性専用のパウダールームや休憩室、仮眠室などの設備があるんですが、スポーツジムみたいにキレイでびっくりしました。また、人間関係という面でも女性が働きやすい職場だなと。家庭的で温かい雰囲気があって、所長や事務職の皆さん、男性ドライバーの皆さんも優しくて。女性ドライバーも私を含めて6人いて、みんな仲がいいんですよ。いろんな面で女性に優しい会社だと実感しています。

女性社員専用のパウダールーム。セキュリティも万全で、個別のロッカーまで完備されている。
希望通り、プライベートも充実! 日勤ドライバーの1日
編集部:今は現場に出てから1カ月が経つとのことですが、どんな働き方をされていますか?
私は日勤で、1カ月で22日勤務。5:30~9:00の間で出勤時間を選べるので、私は朝6時半に出社し、15時半には上がるシフトを選びました。担当エリアは特にないので、東京、赤坂、銀座あたりを走ることが多いです。マスコミ関係の方を空港に送ったり、銀座でショッピング帰りのセレブなお客さまを乗せたり、いろんな方と触れ合えることが楽しいですね。1日に15人程度のお客さまをお乗せしていますが、一人で街を走る時間もありますし、休憩のタイミングも自由なんです。
<平田さんの、ある1日のスケジュール>
6:30 出勤
車両の点検や、釣り銭の用意をし、出発の準備
7:00 実車
東京、赤坂方面を回り、7人のお客さまが乗車
10:00 休憩
トイレ休憩を取りつつ、車内でコーヒーを飲んで一息
10:15 実車
銀座、築地方面を回り、6人のお客さまが乗車
13:00 昼休憩
ランチタイム。カフェで45分の休憩
13:45 実車
目黒方面を回って、3人のお客さまが乗車
14:30 帰社
ちょうどお客さまが途切れたタイミングで回送に切り替え。
ガソリン補給後に、帰社。売上げの清算、洗車作業など
15:30 退勤
この日はピッタリ定時上がり!
愛車で自宅に戻る

編集部:ドライブ好きにとっては、とても楽しそうな仕事ですね! お気に入りの街はありますか?
目黒の閑静な住宅街など、落ち着いた街並みを走るのが好きです。休憩時間に散策して、たまにはお洒落なカフェでランチやお茶を楽しんだりもしています。お客さまを乗せながら、レインボーブリッジや六本木ヒルズなど、自分では行かなかったようなところにも行けるので、ちょっとした観光気分も味わえますよ。
編集部:日勤を選んだのはなぜですか?
私の場合は夜の運転が心配だったこともありますが、なるべく早い時間に自宅に帰りたいという気持ちが強くって。自宅で愛犬が待っているので、夕方からはその子のお世話をしたいんです。面接の時にその話をしたら、会社がこの働き方に理解を示してくれたのが嬉しかったですね。
お客さまと触れ合う楽しさ、頑張りがお給料に反映されるやりがいも
編集部:お仕事の楽しさややりがいって、どんなところでしょうか?
やっぱり、お客さまから「ありがとう」と言ってもらえるところですね。販売職をしていた頃は、接客をしていても「商品を売らなきゃ」という気持ちが強くありましたが、タクシーは乗りたい方が乗るものなので、対人ストレスが全くないんですよ。それに、まだ道がよく分からずに焦る私に、「大丈夫だよ」「頑張ってね」と声を掛けてくださる方も多く、その優しさが嬉しくって。
立ち仕事の接客とは違い、座ったままでゆったり会話も楽しめますし、いろんな方のお話を聞けるのが楽しいです。

編集部:お給料の面でも満足されているとのことでしたが、それもやりがいの一つでしょうか?
そうですね。タクシードライバーのお給料って、頑張ったら頑張った分だけ自分に返ってくるんですよ。「入社後の1年間は基本給30万円を保証してもらえる」ということも、ここで働くことを決め手だったんですが、歩合給が30万円を超えたらその金額がお給料になるんです。未経験入社だった私も、入社1カ月目から実際に30万円以上を稼ぐことができて、すごく嬉しかったですね。しっかり収入が得られるから、それも働くモチベーションになっています。
女性のための手当も支給。とにかく手厚いサポートも魅力
編集部:プライベートの時間も変化しましたか?
お休みを希望通りに取れるので、プライベートも満喫できています。私は平日1日と日曜日を休日とし、病院や銀行などの用事は平日に済ませ、日曜は友人と食べ歩きや日帰り温泉に出かけたり、愛犬を連れて海までドライブしています。最近は浜辺に落ちているシーグラスを拾い集めて、ランプシェードを作ることにハマってます。給与の高さと、ワークライフバランスが保たれる仕事だからこそ、プライベートも充実できていると感じますね。
編集部:その他にも、「女性にこそオススメしたい魅力」はありますか?
東京りんかい交通の魅力の一つは、女性のための手当がたくさんあるところです。例えば、隔月1万円を支給して頂ける「なでしこ手当」。化粧品やエステなど、美容のために使う手当です。私は美容院代に充てていますが、美容師さんにも「そんな手当がある会社、初めて聞いた!」と驚かれますよ。
他にも、誕生日手当や記念日手当もありますし、子どもがいる方には託児所手当も出ます。女性専用の設備も含め、とにかく女性へのサポートが手厚いと感じます。
編集部:美容院代まで支給してくれるんですか! 女性社員を大切にしてくれることが伝わってきます。
そうですね。所長は何でも相談に乗ってくれるし、希望もちゃんと叶えてくれるので、ありがたいことばかりです。急なお休みや出勤日の変更にも当たり前のように対応してくれますから、子育て中の女性も働きやすいでしょうね。
また、女性ドライバーの先輩たちも、「あのエリアでは、ここに行くとお客さまが多いよ」など、親身になっていろいろ教えてくれるんです。職場のムードや人間関係って、やっぱり大事ですよね。

編集部:最後に、タクシードライバーの仕事に興味を持った女性たちに向けてメッセージをお願いします。
タクシードライバーの仕事って、思っていたよりも「全然ラク」なんですよ(笑)。自分のペースや都合に合わせて働けて、お給料も満足できて、プライベートも充実できる。最初の研修期間は覚えることが多くて大変でしたが、途中からは「私、着実にスキルアップしてるんだ」と感じて、むしろ楽しかったですね。皆さんもチャレンジしてみたら、「こんなにいい仕事があるんだ!」って思えるかもしれませんよ。
取材・文/上野真理子 撮影/赤松洋太