元リクルート伝説の営業ウーマンが明かす“どこでも働ける人”になるための2つの戦略【森本千賀子】

「結婚相手を探すために会社で働くという時代は、もうとっくに終わりました。今は、結婚も仕事も、やりたいこと全部を女性が手に入れられる時代です」

そう語るのは、リクルート累計売上歴代トップを記録した伝説の営業ウーマン、森本千賀子さん。現在は、25年間勤めたリクルートを退職し、人材紹介やコンサルティング事業を手掛ける株式会社morichiの代表取締役として活躍する。

morichi

株式会社morich 代表取締役 / All Rounder Agent 森本千賀子さん
1970年生まれ。獨協大学外国語学部卒。93年リクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社。主に経営幹部・管理職クラスを求める企業の人材コーディネートに携わり、累計売上実績は歴代トップ。2017年3月に株式会社morichを設立し、同年10月にリクルートを退社。「転職エージェント」にとどまらず「All Rounder Agent」としてパラレルキャリアを意識した多様な働き方を自ら体現している

一貫して、人のキャリアを導く仕事をしてきた森本さんが語る、人生100年時代に理想のキャリアを築ける女性の条件とは? 2019年1月25日(金)、渋谷ヒカリエで行われた『長く働きたい女性のための転職イベント』講演内容から、森本さんのメッセージをご紹介しよう。

「変わらないこと=安定」という考えはNG

私がリクルートキャリアに入社したのは25年前のこと。入社のきっかけは、学生時代に大学の図書館で見つけた『スカウト』という1冊の本でした。当時の日本は、終身雇用、新卒で入社した1つの会社で生涯勤め上げることが当たり前でした。しかし、『スカウト』には、アメリカでは自分の市場価値を上げるため、転職しながらキャリアを積むのが主流と書かれており、そんな人たちをサポートするエージェントがいると書かれていました。それで、「日本でもそれが主流になるのではないか」と思い、当時はまだ数少なかった「転職エージェント」を持つリクルートで働きたいと思ったのです。

今は、誰でも「転職して当たり前」という時代になりましたね。25年前は100社もなかった転職エージェントも、2017年時点で2万社まで増えています。

さて、少し話は変わりますが、「49%」という数字を見て、何を想像しますか? 実はこれ、10~20年後にAIに淘汰されると言われている、日本の労働人口の割合を指しています。全体の約半分の人が、ゆくゆくは機械に置き換えられるような仕事を現在しているということです。

大げさな数字に思われるかもしれませんが、20年前は、今のようにインターネットが普及しているなんて誰も思っていなかったし、スマートフォンを一人一台持つ時代が来るなんて考えもしませんでした。すると、全く的外れな数字ではないように感じませんか?

「希少性×前倒しキャリア」で市場価値を上げて

morichi

世の中の変化が、すさまじいスピードで進んでいます。それと同時に、人の価値観や社会のルールも変わっていきますから、「変わらないこと」を選ぶ人ほどリスクにさらされてしまいます。キャリアについてもそうで、「会社に入れば一生安泰」ではありません。一人一人が自己責任で、自らのキャリアを築いていかなければいけない時代です。

では、理想のキャリアはどうすれば築けるのか。

まずは、「どこでも働ける」「どんな企業でも欲しいと言われる」市場価値の高い人になっておくことが大事です。自分の市場価値を上げるために意識してほしいのは、マイノリティーになることと、前倒しのキャリアを意識すること。

【1】マイノリティー戦略

例えば、今からオリンピックでメダルを獲ろうと思ったら、あなたはどのスポーツを選びますか? きっと、メジャー種目ではなく、マイナー種目を選ぶのではないでしょうか? ビジネスもそれと同じで、“他の人がやっていないこと”の領域に、チャンスがあるんです。

その、ブルーオーシャンを見つけるために手っ取り早いのは、女性の少ない場所に行ってみること。日本には、まだまだ男性が多い業界や、職種、ポジションが数多くあります。特に、最近求められているのが「女性管理職」ですね。管理職経験のある女性が相対的に少ないからこそ、その経験がある人は、あらゆる企業で必要とされます。「私なんて」と思わずに、思い切って周囲の人とは違う選択をしてみましょう。その経験が、あなたの市場価値を高めてくれます。

【2】前倒し戦略

今は、子どもができても働き続ける女性が増えていますね。仕事も家庭も、バランスよく両立していきたいと考える人は多いと思います。私自身、過去を振り返って「良かった」と感じるのは、出産前に管理職経験を積めたことでした。もしあの経験がなければ、初めての子育てに、初めてのマネジメントと、二重の高い壁にぶつかっていたのではないかと思うからです。

自分の得意不得意も、好き嫌いも、全ては経験から見えてくるもの。早いうちにさまざまな仕事にチャレンジして、責任あるポジションにも就いてみるといいですね。結果的に、今の会社にいるべきか、他にうつるべきか、分かってくると思いますよ。

「自分の居場所」を増やすことが大切

また、これから企業に必要とされる人とは、特にどんなスキルを備えた人なのか。

ここでもキーワードは「変化に対応できる人」ということになってくると思います。まずは思い切って、自分の身の丈より上の仕事にチャレンジしてみてください。失敗や挫折を経験し、場数を踏むことで、「変化」を乗り越える力が身に付いていきます。

最後に、働く女性にお伝えしたいことがあります。それは、人生100年時代には、「自分の居場所を見つける」ということがとても大事だということ。

長い長い人生では、誰しも、ずっと順風満帆というわけにはいきません。仕事を失うこともあるかもしれないし、家族や友人関係で何か問題を抱えるかもしれない。困ったときや悩んだときに、自分のよりどころになる場所が多ければ多い人ほど、強い心を保っていられるはずです。「家庭だけ」「仕事だけ」にならないよう、自分の活動の場を広げることを20代、30代のうちから意識してみてください。

そして、もう一つ。「夢中になれること」を見つけてください。先日トークセッションで、ご一緒した為末大さんが、「夢中は努力に勝る」とおっしゃっていました。今、夢中になれるものがないと感じるなら、しっかり内省してみるべきです。自分がご機嫌でいられる場所、わくわくできる場所を見つけることができたら、勝ち。より良い人生を、送ることができるようになります。

自分は何のために働いているのか、何にわくわくし、夢中になれるのか。己を知ることを、大事にしましょう。
皆さん一人一人が「正解」を見つけていけるよう、応援しています。

>>次回の『長く働きたい女性のための転職イベント』情報はこちらから

取材・文/於ありさ 撮影/Woman type編集部